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第10話「雨あがりのにじ
ひとしきり雨が降って、やんだ。
チビが真っ先に縁側から飛び出した。草がびしょびしょで、足の裏がひやっとする。水たまりを踏んだら、ぱしゃっと音がした。
「にじ!」
東の空に、うすい虹がかかっていた。赤、橙、黄、緑、青、と、ぼんやりと。
コンも外に出て、空を見上げた。
「きれいだね」
「さわれる?」
「さわれないよ」
「なんで?」
「遠いから」
チビはむうっとした。さわれないのが気に入らないらしい。
ポンが縁側から顔だけ出して、虹を眺めた。しばらく見て、また引っこんだ。
「ポン、見ないの?」
「見た」
「もっと見ようよ」
「消えるから、今のうちに見ておいた」
コンとチビは顔を見合わせた。
たしかに、虹はすこしずつ薄くなっていた。チビはあわてて、もう一度じっと見た。消えないように、目に焼き付けるみたいに。
虹は、雲が流れてくるころには、ほとんど見えなくなっていた。
「消えちゃった」
「また雨が降ったら出るよ」
チビは空を見上げたまま、しばらく動かなかった。




