第1話「朝のおむすび」
その日の朝、かあさんが大きなおむすびをにぎってくれた。
三角のおむすびが三つ、竹の皮に並んでいる。具は梅干しと、山菜と、もう一つはなんだろう。
「いちばん大きいの、ぼくがもらう!」
チビが真っ先に手をのばした。コンがため息をついて、チビの手をぽんとはじく。
「大きさで選ぶんじゃない。ちゃんとわけっこするの」
「でもでも、こっちの方がぜったい大きい」
「どれもおんなじだよ」
ポンはすでに一つを手に取って、縁側にぺたんと座っていた。ほこほこと湯気がたちのぼっている。ひとくち食べて、ほうっと息をついた。
「おいしい」
それだけ言って、またもぐもぐと食べはじめる。
コンとチビが言い争っているあいだに、ポンはおむすびを半分食べてしまっていた。
「ポン!もう食べてる!」
「うん。おいしいよ」
チビはぷくっとほっぺをふくらませて、それでも残りの二つを手に取った。一つをコンに渡す。
「じゃあ、おんなじの。わけっこ」
「……最初からそうしなさい」
三匹は縁側に並んで、朝の光の中でおむすびを食べた。遠くで鳥が鳴いている。山からやわらかな風が吹いてきて、チビのほわほわしっぽをゆらした。
かあさんが縁側から顔を出して、にこにこ笑いながら言った。
「おかわりもあるよ」
チビが「やったあ!」と飛び上がって、縁側から落っこちた。コンがすばやく尻尾をつかむ。
いつもどおりの朝だった。




