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あなたが楽を語るのに、どうして
力が必要だろうか。そうして
指を何気に動かす、これだけで、
世界はすでに旋律なのだ。あのレテで、
私が流した庭の香りに、
蝶の群れがやってくる。曇りに
差しこむ晴れ間のなかで、私は
問う――生きた轍の数の皺、
連なる音に打ち込む律動、そう、
それら両者が混ざって争う、
赤い調和の血液に、次なる
萌芽が光の根を張る。広がる
千の色「大地」の声に結んで
鳴らせ。天の雫を吸いこんで。
――――解題――――
ここに書いているのはもちろん輪廻転生に関与することである。だがもっと広範囲な視点で見るとすれば、肉体が天からのものであるものを受け取って人間存在が地上に現れるということまで表現されているように思う。




