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記録72:探偵の本領発揮

ワンから上海が襲撃にあって自由派の主力が撃滅されたとの報告を受けて、私は彼と一緒に自由派を殲滅する作戦を立てていた。

中国の東側にある武夷山と近くの沿岸部に立てこもる自由派の勢力は未だ合衆国の強い支援を受けて激しい抵抗を見せている。


軍閥派が北上して他の派閥を倒している最中に背中からの一月を企てているに違いないと、ワンたち軍閥派トップは睨んでいる。(実際は鬱陶しいからさっさと亡きものにしたいらしいが)


「それで、私に何をしてほしいの?」


結構傷も癒えてきて、元気になってきたが、未だ激しい運動は苦手である。できるなら諜報活動以外の仕事がほしい。

ワンの顔を見てみると、諜報活動ではなさそうだったので内心安心しているが、ここは中国だ。

どんな仕事があるか分かったものではない。

彼の言葉を待っていると、私の後ろからラシードがひょこっと顔を出した。

どうやら自分も仕事仲間に入れてくれということらしい。危ないから駄目だと言ったが、ワンは大して危ない仕事ではないと言って私の意見を一蹴した。


「そうだね、君たち、特に明日香には、ちょっとした、探し物を、してもらおうかな」

「探偵業?」

「そう。探偵業。好きだろ?」


生業キタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!

と叫びそうになってしまったが、何とか抑えて、私は一度咳払いをして彼に依頼内容を聞いた。


「近頃、広州の、軍閥派の中でも、分裂が、起きている。そして、一つの勢力が、テロを、企んでいるらしい。だから、その犯人を、やんわりとでも良いから、掴んできてくれ」

「分かった。じゃあ、この軍閥派本拠地で、聞き込み調査をしても?」

「ああ、許可しよう」


小さくガッツポーズを決めて、私はラシードに向き直って言った。


「じゃ、まずは準備からだね。着替えるよ」



「ねえ、これで本当に大丈夫なのかい?」

「大丈夫さ。似合ってる」


軍閥派の暗い紫色の憲兵の制服を着ているラシードに言った。

念のためにセーフハウスから何とか持ってきたシャムシールを二人共装備して、部屋を出た。

部屋の前にはワンが待機していて、僕達の姿を見て頷いた。

彼から見ても問題ないそうだ。


「お前は、これを、被っていろ」


アラブ人の顔立ちの気になったワンが、ラシードに目出し帽と官帽を渡して彼に被らせた。


「懐かしい...」


ラシードがなにか意味ありげなことを呟いたが、一旦気にしないことにして、僕達は軍閥派本拠地の正面玄関に移動した。


「交代だ。君たちは、少し休むと良い」


ワンが警備員に直接声をかけて強制的に退勤させた。

そこに僕とラシードが座り、ワンからここで次から次に来る軍閥派の重要人物の身分証を受け取っては簡単な質問をするという業務をこなせとの命令を受けた。


「じゃ、始めようか。中国語は私が話すから、身分証の確認とそのメモをお願い」

「分かったよ」


❖以下、一日中監視していて、権力があり尚且つ人望の厚い人物をまとめた。


◆一人目

名前:林堅稲

役割:軍務部次席


「簡易的な質問をさせていただきます。王軍務主席兼、国家主席の改善点を王様本人様から効くようにと承っておりますので、どこか一点でも良いので、ありませんか?」

「そうか。なら、一つ挙げておこう。あの御方は、少し若い。行動力はあるが、それだけだ。彼の父のように指導力がないのだ。私がもっと近くで補佐ができれば良いのであるが...」


◆二人目

名前:高正明

役割:政務部主席


「王主席について、なにか聞いておきたいことはございますか?政治的要望でも、何でも構いません」

「ならば、我の言うことは唯一つよな。主席には、父のように脇を固める人間が居ないのだよ。それ故、我のような人間を据えることを...いや、これは出過ぎた真似であるな。すまない、もう終わりにさせてくれ」


◆三人目

名前:馬勇樹

役割:教育部主席


「昔から王主席を近くで見てこられた貴方様なら、なにかあの方についてお気づきになるところはがあるはずです。なにかございますか?」

「ふぅむ、それならば...彼にはもう少し民の前に出てほしいのです。そして声を出して頂きたい。民と触れ合って心をひらいてほしいのです。どうか、お伝え願いますよ」


◆四人目

名前:陳昇大

役割:宣伝部主席


「軍閥派の事を知り尽くしているあなたなら、王主席の知らない軍閥派の欠点を見抜くことが出来るはずですと、主席が仰っておりました。陳宣伝部主席、何かございますか?」

「儂のような人間に聞くもんでもなかろうに。ここに足りぬものは唯一つ。それは兵器、それも小銃などがたりぬ。大型兵器で前線を破壊できても、最後に制圧をするのは歩兵じゃ。この旨、よろしく伝えておくのじゃぞ」


◆五人目

名前:周剛人

役割:外務部主席


「海外の情勢に明るい貴方様なら、軍閥派になにか足りないものを知っているのではありませんか?王主席からも効くように言われておりまして、なにとぞ、ご協力ください」

「フン。そんなもの、主席も分かっているだろう。今更言うまでもない。ただ、その考え方で正しいとだけ伝えておけ」


❖聞き込み終了


「っはぁ~、疲れた!」


部屋のソファに寝転ぶラシードを横目に、僕は資料を並べ、誰が怪しいかを吟味し、上記の五名を選抜した。

おそらくテロを企てるのは彼ら五人のうちの誰かだ。

単数かも知れないし、複数かもしれない。なら、やることは一つだ。


「ラシード!行くよ。『中華人民代表議会』の盗撮だ!」

「えぇっ!?死ぬよ?」

「死なないから大丈夫。ほら、この小型カメラ持って行こう!」


久しぶりの本業で乗りに乗っている僕はそのままの勢いでワンに人民代の盗撮の許可を求めに行った。

お読み頂きありがとう御座いました。次回もこうご期待!(よければ評価していってネ)


次回『中華人民代表議会』

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