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記録60:NOT SAFE HOUSE

明日香が二階に行ってすぐに、カフェの玄関から大量のスモークグレネードが投げ込まれた。すぐに中峰を店の裏手に退避させた。アナスタシアは拳銃が上手く使えないので、自分のナイフを構えていた。


「二人共、危険よ!下がりなさい!」


中峰がそう叫んだ。それと同時に、壁を数発の弾丸が貫通した。

そのうちの一発がラシードをかすめ、かれは苦悶の表情を浮かべて肩を押さえた。若干血が滲んでいて、なかなか痛そうだった。

俺とアナスタシアは顔を見合わせて頷き、中峰にこの場の指揮権を預けた。


「あんたがここで一番実戦経験があるはずだ!頼むぜ!」

「私は空軍の人間ですよ!?」

「マジで!?」


中峰に指揮権を預けようとした自分が馬鹿に思えて虚しくなった。


ラシードが急いで二階から明日香と知らないちびっ子を連れて裏口から出ていった。

俺は拳銃を構えて店の表に戻った。


扉の隙間から見えた敵の部隊章は宣教師隊のものだった。遠路はるばるラシードを殺しに来たのか?


「アナ!二階に回れ!奴らの狙いはラシードだ!」

「え?しかし彼は今......分かりました。一階は頼みますよ」


俺の言いたいことを理解してくれたようで、アナスタシアはすぐに二階に走っていった。

さて、ここからは俺の戦場だ。


「イッツ、ショータイム」


拳銃を持って表に飛び出してカウンターの裏に滑り込んだ。

敵の注意が俺に向き、カウンターに弾丸が打ち込まれた。カウンターを滑るように移動し、角から飛び出ると同時に一人を始末した。


二発程度銃弾を貰ったが、ただの鉛玉では少し痛い程度だ。続けざまに二人目も排除し、カウンターの裏まで戻った。残っている敵は三人、アナスタシアが撹乱のために二階に回ってくれているから、恐らく敵はいずれここに密集することになるだろう。


そうなれば二階のアナスタシアも危険にさらされる。できるだけ早く屋内の敵を一掃してバリケードでも作って二階に行こうか、そんな事を思っていたとき、後ろから、中峰の声が聞こえ、振り返ると同時に、彼女は俺にガスマスクを渡してきた。


なんだか嫌な予感がするので、ささっとマスクを装着してもう一度扉の方を見た。


銃口の広すぎる、見た目で言えばHK69のような武器を室内に向けて発射した。


ぽん、という低い音と共に着弾音が聞こえ、一瞬湯気のような母屋が見えたかと思うと、宣教師隊の人間が、何も言わずに、すぐにバタバタと倒れていった。

一間眠っているようだったが、近づいて確認してみると、どれも死んでいた。


「中峰...二階のアナはは大丈夫なのか?」

「ええ。大丈夫よ。着弾から十秒もせずに、ガスは自然に分解されるから。多分もうマスクも外していいわよ」


中身値がマスクを外して問題なく活動できているのを確認してから、俺もマスクを外した。

急いで死体を引きずってじゃまにならない場所に運び込み、扉を施錠してシャッターを下ろした。中峰達近衛隊が改造したのか、シャッターに防弾、防爆性能がついていた。


「これで一旦大丈夫ね。二階のアナスタシアさんを呼びに行きましょう。念の為、ゆっくり武器を構えてね」

「了解だ」


拳銃を構え、俺達は二階に上がっていった。



アレックスから二階に上がるように言われて二階にやってきた。明日香さんたちは逃げ切れていたようで、ラシード以外の血液は落ちていなかった。


誰も居ない部屋をぐるっと見渡すと、誰かの置き手紙があった。紙面には明日香さんの字で『拳銃ニ盗聴器アリ』と書かれていた。

他の人、特にアレックスにバレたら何をしでかすか分かったものではないので、私はその紙片を上着のポケットにしまった。


急に、窓の外から気配を感じた。


私は部屋の電気を消して、息を潜めていた。


何者かが、フラッシュライトで索敵を開始していた。ライフルを持った敵部隊員が三人程度、なかなか手強そうな相手だ。


先手必勝ですね。


そうつぶやき、私はまず、博士から支給されたが、長らく使ってこなかったナイフを持ち出した。一応スペツナズナイフの部類に入るので、扱いやすい。

ナイフの柄の部分のスイッチを押し込むと、火薬の使われた柄からは火花と同時に刀身が飛び出し、窓ガラスを突き破って一人の腹部に刺さった。


残りの二人が応戦しようとライフルを向ける間に、一気に接近し、喉元を掻き切った。返り血が顔についた感触がして、顔をしかめた。腹部にナイフが刺さっている最後の一人は首元にナイフを押し当て、スイッチを押し込み頚椎を貫通させた。


「清掃完了...あっ」


いつものクセで殺し屋任務を完遂した時に発する言葉を出してしまった。

まあ、いっかと思いながら、屈強な男たちだったものからナイフを一本ずつ丁寧に引っこ抜いて黒いコートの内側に仕舞った。

ため息をついていると、急に電気が付けられ、驚いて後ろを振り向くと、アレックスと中峰がいた。


「終わったんですか?」


私がそう聞くと、中峰が私に手鏡を渡して言った。


「凄い、顔になってるよ?」


手鏡には、顔が血まみれになりながらも呆けた顔をしている私が映っていた。

やっぱり血が飛んでた、汚いなぁ、と思い、私はコートの裾で顔を拭おうとした所、アレックスが制止してポケットから手巾を取り出して私に渡した。


「これで顔拭け。返すなよ」

「......まあ、受け取っておきます。有難うございます」


顔を綺麗に拭いて私はアレックスの持っている拳銃を


「この拳銃じゃ、威力不足ですね」


と言って即座に奪って三階の武器庫に放り込んだ。すぐに二階に戻って、武器を取られて当惑しているアレックスに先ほど私の見つけた紙片を見せた。今なら声も届かないだろう。

アレックスは紙片を読み、私に返して言った。


「悪い、俺ロシア語は分かんねえんだ」


私は大きくため息をついて彼らを念の為に一階につれていき、そこで私の憶測含め事細かに話した。

お読み頂きありがとう御座いました。次回もこうご期待!


次回『なんか大きくて厳ついやつ』

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