記録40:拉致られた先がバージニアだった件
分岐前章はまだ20%くらいかも...気長に待ってね☆
あ、朝日だ。久しぶりに...っていうか、僕は何をしてたんだっけ...
ああ、そうか、精神解析されて、その他の身体検査もして、なんにも異常がなかったから、とりあえず寝たんだっけ。でも眠ったのは牢屋の中だった気が...
じゃあここは、牢屋の外?
「起きましたね。おはよう御座います」
ウーヴのヘルメットが僕を覗いた。急いで起き上がってみると、そこは港だった。
港には星条旗...星条旗!?
「アメリカ...合衆国!?」
「ええ、そうです。上手く輸送できました」
「どうやって!?普通にやったら爆撃されるんじゃないの?」
「それは、簡単です―――」
まず、周辺監視カメラを全て停止させ、カモフラージュのために車を百台くらい出します。
近くの下水道を通って米空軍基地まで移動。速やかに室内に突入し、二人を爆弾に見せかけた木箱の中に突っ込んで改造済みB52の爆弾倉に突っ込みます。ここで先に爆弾型木箱から出ておきます。
しばらく飛行し、目的地点になったらB52の爆弾倉が開かれます。
しかし改造済みB52なので爆弾が一つも落ちません。
そこで二人で飛び降ります。事前に装備しておいたパラシュートを開いて上手く近くの米空母艦隊の旗艦に着陸します。
「ちょっと待って、色々突っ込みどころが満載なんだが、あず、私が途中で起きたらどうするつもりだったのさ?」
「それは安心して下さい。睡眠薬を注射してますので、今目覚めるのが早いくらいです」
「...ん゙っ?まあいい。次だ。わざわざB52から降りる必要なんてなかっただろ?」
「あの後、B52は原因不明の事故により墜落する運命だったので...」
「ん゙ッ?乱暴だねぇ...もう他のことは聞かないでおくよ。で、君の話によれば、ここは今、米空母の中じゃないか?」
「そうですね。折角ですから、甲板に出てみましょう」
ウーヴに連れられ、僕は空母の甲板に連れ出された。
途中で船員と出会ったが、僕の衣服が米海兵隊のものに変えられたいたので、特に不審な目では見られなかった。ただ少し、英語に訛りがあるとは思われていただろうが...
「ここの扉を開ければ、甲板です。どうです?開けてみますか?」
「うん、開けさせて」
僕は甲板に続く扉を開けた。思ったよりも扉は重くて全身を使って扉を開けることになるとは思っても見なかった。
甲板に出た瞬間、心地よい潮風と、日差しが出迎えてくれた。
甲板上には、いつでも発進できるように準備されているF35が並べられていた。が、点検員やパイロットも港前なので完全に気を緩ませて談笑している。日本軍なら絶対にありえないような光景だ。
さすが、自由の国、米帝。
「後何分で到着だ?」
「いえ、今からヘリで出発するので、着港まで待ちませんよ」
「あ、そう...」
空母の着港を見れないのが少し惜しまれるが、まあ仕方ない。
僕はウーヴの後についていき準備されているヘリコプターに乗り込み、同時にウーヴが僕に言った。
「実は、この空母、カーネル・トランプ級航空母艦の一番艦『カーネル・トランプ』なんです。外国人が乗るのは、初めてですから誇ってくれても良いですよ?」
「はは、誇れないよ。こんな不名誉な乗船は」
「すぐに名誉なものにしてあげますよ。パイロットさん。よろしくお願いします」
ウーヴはパイロットにそう言った。パイロットはただ頷くだけで、目立った反応は見せなかった。
パイロットが発艦準備をしている間に、ウーヴが僕に聞いた。
「随分と大人しいのですね。そんなに命が大切なのですか?」
「ああ、大切さ。ウーヴも、一回死んでみたらどうだ?向こう側の景色を見たら現世に居たいと思うだろうしね」
「...遠慮しておきます」
パイロットが手慣れた手つきで操縦桿をいじくり回して、発艦した。
向かう先は恐らくノーフォーク海軍基地で、ヘリを使った理由はよく分からない。地上だと危ないのかな?
「もうすぐつきますよ」
「やっぱり...」
ほんの五分程度しか、空中からの景色を楽しめていないのにヘリは無慈悲にも着陸した。
僕達をおろしたヘリは、その豪快な音を自慢するように空母に戻っていった。
ノーフォーク海軍基地の屋上には、僕とウーヴ、それからなんか偉そうなおっちゃん。彼は目は僕の方を向いているものの、僕を人間としてみている様子ではなかった。物か何かだと思っているだろう。
「君が、アスカだね?僕はアメリカ合衆国副大統領のジョニーだ。覚えておいてくれたまえ」
僕は彼の言葉に何も言わずに彼をじっくりと見た。黒いスーツ、赤いネクタイ、左手の薬指には指輪、ダイヤモンドがかなり大きいから、相当金持ちだ。
歯に薄っすらとヤニがついているのでタバコを吸っている。となると、ライターは右ポケットに、煙草は左胸ポケットといったところだ。
「副大統領である僕の自己紹介に何も答えないか。まあ、強情な物も嫌いではないさ。さ、おいで」
手を差し伸べてきたが、ウーヴがそれはいけませんと言って止めた。
「たかが特殊部隊のくせに...」
ジョニーは悪態をつきながらも建物の中へと案内してくれた。
道中、ナンパ話に織り交ぜられて、この建物について話してくれた。
どうやら、ヘリで屋上に着陸したのは、今いる場所、彼曰くサイボーグ研究所は屋上からしか侵入できないようになっているためだったようだ。
そして、これから僕は暫くの間監禁され、徹底的に体を検査されるようだ。
ウーヴも少し説明してくれて、本国の調査のほうが失敗確率も少ないし、痛くもないのだという。
ただ、それ以降のことについては話したがらなかったので、恐らく殺されるのだろう。
まあ、脱走する筋は見当がついているからいつでも大丈夫なのだが...もう少し個々の情報を抜き取ってからにしても問題ないだろう。
日本の情報がバレたところで、恐らく天菊の予想範疇と言うか予想ドンピシャくらいだろう。
「さぁ、ここだアスカ。これが今日から君の部屋だ。そしてウーヴも一緒の部屋に居るから、くれぐれも脱走なんてしようと思うんじゃないぞ?」
「.......」
「また無視か...?まぁ良い。下等な列島の民族なのだから、白人の言葉が理解できなくても問題ない。ウーヴ!あとは頼んだぞ」
「了解しました。おまかせを」
ジョニーに押し込まれた部屋は綺麗で、ホテルの客室のような綺麗さを保っている部屋だった。なぜこんなに綺麗なのかは、おおよそ見当がつく。サイボーグになるような人間は普通、人間の器ではない。もっと大きな使命やら運命やらを背負っている人間がなるものだ。そんな元人間に拷問をした所で、なにか変わるだろうか?いや、変わらないのは明白だ。
そこで、衣食住環境与えて仲良くなった所で、情報を聞き出すか検査に部分的に応じてもらう感じだろう。
雰囲気的には、一度目や二度目の大戦でもあったような、ビールと煙草で仲良くなって情報を聞き出すようなものだ。そっちのほうが随分と効率がいいことは、誰でも考えれば分かることだ。
恐らく、僕にもこうしようとしてきているのだろう。
だが、無駄だ。むしろ僕にとっては好都合だ。逃げられる確率がこれでグンッと上がったからだ。
部屋の隅でニヤニヤしていると、ウーヴが僕に話しかけてきた。
「Mr.明日香。一つ、質問いいですか?」
「ああ、良いよ。どうしたの?そんなに改まって」
身なりをきちっと整えたウーヴは、畏まってヘルメットを脱ぎ、僕を真正面からじっと見ながら言った。
「悲しみを教えてください」
「は?」
お読み頂きありがとう御座いました。次回もこうご期待!
次回『心、こ↑こ↓にあらず』




