記録30:Go Mon Day
今回は拷問シーン多数!きつい内容です。オキヲツケヲ...
「やあ、アナスタシア。何日ぶりかな?」
「二日ぶりだ」
アレックスが小声で囁いた。つまり彼女は二日間食べさせてもらっていないようだ。
まだ生きているということは、水は拷問中に飲んでいたのだろう。全くしぶとい女だ。
「アナスタシア!」
僕は彼女に呼びかけた。彼女は少し顔を上げるだけで、その他には目立った行動はしなかった。随分と衰弱している。
僕はアレックスに言って栄養剤の入った注射器を持ってこさせた。
栄養剤を彼女に打ち込んで、意識がはっきりするまでしばらく待っていた。彼女の拘束具を外していると、アレックスが止めに入った。僕は大丈夫だとだけ言ってそのまますべての拘束具を外した。
「...うぁ...水を」
アナスタシアの要求通り、僕は彼女に水の入ったコップを渡した。
彼女は水を一気に飲み干して一息ついた後、小さな声で威嚇するように言った。
「何の用ですか?」
「ちょっとね」
そう言って、僕は近くにあった椅子を持ってきて彼女の前に座った。
僕の椅子の軋む音と同時に、アナスタシアは銀色の腕で僕に掴みかかろうとしたが、それをアレックスがいとも簡単に封じ込めて彼女を床に叩きつけた。ちょっとばかりやりすぎである。
「アナスタシア。この二日間、一体何をされたんだい?」
僕の問に、彼女は歯ぎしりをして口ごもっていたが、アレックスがため息をついて無理やり吐かせようとした途端に話しだした。
「電気椅子、ウォーターボーディング、むち打ち、後は普通の暴行...です」
「ふーん、なら良かった。まだまだ途中だね」
アレックスがぎょっとした顔で僕を見た。僕は鼻で笑った後、近くに置いてあったロープを彼女の首に巻き付け、天井のフックから吊るし、顔を前に向けていなければ窒息してしまうような体制にした。勿論暴れないように両手両足は拘束した。
アレックスに言って彼女には目隠しをしてもらい、僕はとある準備をした。
◆
「もう良いよ、アレックス」
「ああ、分かった」
アレックスがアナスタシアの目隠しを取って後ろに下った。
アナスタシアの凍りついた視線が僕に突き刺さる。だが、拷問に慣れていない、且つまだ幼い彼女はこれで完全に駄目になるはずだ。
僕は一歩ずつ彼女に近づき、その頬を両手で優しく包みこんだ。
そして、言った。
「ムル、出てきてくれ。友人との再開だ」
「...っ!やめて!ムルさんには、こんな姿―――」
「あぁ...アナスタシア。久しぶり」
交代成功。
私は恭明に代わって目の前にいるアナスタシアに話しかけようとした。しかし、彼女は私を見ても泣きわめくばかりで、何も言わない。
ガンッ!
私は椅子を蹴り飛ばした。
アナスタシアは苦しんでいる。必死に縛られた両手で首の縄を外そうともがいている。
しかし、段々意識が飛んできて、その手の動きも鈍くなってきた所で、私は彼女の椅子を下に戻して気道を確保してやった。
顔から大量の体液を垂らしながら嗚咽を繰り返す彼女の顔を、正面からじっくりと見て微笑んだ。
「アナスタシアには、それがお似合いだね」
「そんな―――」
ガンッ!
もう一度椅子を蹴り飛ばした。彼女は再び、もがき出し今度は顔以外からも体液が流出しだした。彼女の心拍が早くなるのが感じられた。
もう一度椅子を戻すと、段々と呼吸に必死になっている様子だった。私が話しかけても、何も返事をしなかったので、もう一度椅子を蹴る素振りを見せると、ぎゅっと目を閉じて覚悟をした。
私はそこで彼女の首筋に手を当てて、言った。
「愛してるよ。アナスタシア」
「愛している...?愛している、なら!どうしてこんな事―――」
ガンッ!
もう一度椅子を蹴り飛ばして、今度は少し首が締まる程度にした。
彼女の呼吸が荒くなり、呂律も回っていない。焦点の合わない目玉は、私を捉えているのかも定かではない。彼女の意識が再びはっきりするまで、私は待った。
「はぁ...はぁ」
彼女の意識がようやく戻ってきた所で、私は質問をした。
「アナスタシア、あなたが合衆国から入手した情報を、言って。もう...次はないよ」
「特殊なサイボーグだからって、明日香さんが特殊なサイボーグということだけです!それ以外は、何も知りません...!」
「そう...」
ガンッ!
今度はすぐに椅子を戻した。彼女の心はもう壊れかかっている。
私は、最後の工程として、彼女の首の縄を切って、リードのようにして扱った。
「跪いて」
「......はい」
彼女は両手両膝を地面について顔を伏せた。完全に犬だ。全く、耐性がないからこうなるのだ。
私は彼女をひっくり返して押し倒し、腹部のラインをなぞりながら言った。
「あなたは、私を愛しているの?」
「はい!勿論です!」
震え声の中に、彼女はささやかな希望を見出したような口調で言った。私は彼女の上に覆いかぶさるようにしてのしかかり、耳元で言った。
「じゃあ、私も、あなたを愛してあげる」
服の内側に手を滑り込ませた。彼女の目には若干の希望が宿り始めた。
「これからは、あなたの好きな時に私を求めていいよ。そのかわり、明日香の言うことには従ってね」
彼女は躊躇いを見せながらも頷いたことで、この交渉の主導権が完全に私達に渡った。
そろそろ時間だ。
恭明に体を明け渡し、私は再び彼の目の中に戻っていった。
「ムル...さん?」
目の前には涙と鼻水と、涎で顔がグシャグシャになっているアナスタシアがいた。
僕の手には彼女のリードが握られていて、もう片方の手は彼女の服の中にあり、僕はその手を引き抜き、リードを手放して聞いた。
「ムルに何されたの?」
僕も正直、ここまでやると思ってなかった。ぶつくさ言いながらも、なんだかんだ仲間になってくれるような関係に持ち込めればと思っていたのだが、流石、世界一の殺し屋。人間の心を殺すのも早い。
ふと、アレックスの方を見ると、彼は本来拷問で使うはずの拳銃を僕達に向けていた。
僕がムルではないことを知らせると、彼はようやく落ち着いたようで拳銃をおろし、ため息をついて言った。
「まったく、お前はとことんヤバイ奴から好かれてるんだな」
「ははは...」
僕が適当に苦笑いを浮かべていると、アナスタシアは、服装をできる範囲で整えて僕の前に膝をついた。彼女から溢れ出てくる感情は恐怖ではなく、敬愛や忠誠と言った、服従の意を示すようなものだった。
どれだけ彼女がムルに憧れ、そして慕っていたのかがよく分かる。そして、ムルがやりすぎなのもよく分かる。僕は彼女をじっと見た。彼女は、僕を見上げて言った。
「私は、明日香様に忠誠を誓います。なので、どうか見捨てないで下さい」
哀しい声を上げるさまは、まるで土砂降りの中、段ボール箱の中で必死に助けを求める子猫のようだった。僕は彼女に、最大限に優しく、そして甘い言葉を掛けた。
「大丈夫さ。私は何が会っても絶対に君を見捨てない。だから、安心するんだ」
「......はい!」
そうして、それからアナスタシアを正式に僕たちのチームに加入させ、僕たちのチームは三人になった。
まずは着替えを用意して、それからブーツを買ってやった。この前買えなかったから、というのが表向きの理由だ。
そして、三人で一緒にご飯を食べて、眠るときはアナスタシアが僕の隣で眠ることになった。
アレックスはアナスタシアをまだよく思っていないみたいで、警戒している。先住猫と新規猫のような関係だろう。
その日の夜、僕とアナスタシアは隣のベッドで寝ていた。
もぞもぞとベッドが動く気配がして目を開けてみると、そこにはアナスタシアが巻き付いていた。
お読み頂きありがとう御座いました。次回もこうご期待!
次回『愛という厄介者』




