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リストラ×みかん=宇宙人!?  作者: ぼや
日常譚:人間関係の次は環境整備?。だけど宇宙人の秘密は厳守
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第4話:宇宙人のテクノロジーって…。ネット接続までの道のり(Aパート)

挿絵(By みてみん)


アニメだと第4話Aパートに相当

「ネットにつなぎたい」


そう奴からDMが来たのは「峠のさくら祭り」が終わった後、4月の中旬だった。


「繋がってるじゃん」


そう、このDMはtwitterの機能で、そのtwitterはインターネット上のサービスだ。ネットがつながらないと使えない。


「これは携帯。つなぎたいのはパソコンの方」


なるほど。でも、いくら限界集落とはいえ、電話回線はある。当然ADSLくらいはあるだろう、光回線は無理でも。


「うん、ADSLはある。けど、繋ぎたいのは俺のPCじゃなくて宇宙人のコンピュータの方」


なるほど、少し話が見えてきた。確かにインターネットは地球の規格から、宇宙船にはHTTP対応のアプリやEthernetのコネクタはないだろう。ただ、そららの仕様は地球人から見たってそんなに複雑じゃない。宇宙人なら簡単に理解できるのではないだろうか。


「とりあえず、事務所にADSL引いて、PCとキーボードとマウスを設置しろよ」


「それで、宇宙人にweb見て勉強してもらうの?。俺が見る限りじゃ、宇宙人といえども学習速度は地球人と大差ないよ。ぶっちゃけ、彼らはエリートってわけでもなさそうだし。それだと何年かかるか分からないよ」


まぁ、確かに個人に頼ればそうだろう。しかし奴は固定観念に囚われ過ぎだ。PCを使うのは宇宙人ではない。


「宇宙人じゃないって、それじゃぁ誰?。まさか俺?」


「ちゃうわ。コンピューターに使わせるんだよ、人間用のコンピュータを。接続インターフェースは作れなくても、宇宙人のコンピューターが人間用のパソコンを使うための目と手なら、自分たちで用意できるだろう」


地球ですら人型ロボットがあるのだ。宇宙人が持ってないはずはない。


「あー、つまり、人型ロボットみたいなのにやらせろってこと?」


「そうや。それなら多少速度は犠牲になるけど、宇宙人のコンピューターが直接ネットにつながることになるやろ。それで知識を得れば、専用インターフェスの独自開発とかも、なんとななるんちゃうか?」


「なるほどね。とりあえず提案してみる」


うむ。我ながら柔軟な発想によるナイスなアイデアだ。


どんなロボットになるのかは知らないが、できれば可愛らしいロボットにして欲しいものだ。緑の髪で、いつも箒を持っているようなメイドロボとかに。


しかし、翌日、私の提案は根底から却下された。


「人型ロボットがない?」


「うん。そんな非効率で意味のない物は、宇宙人の荷物にないし、母星でも売ってないって。特注すれば作れるだろうけど、時間もお金もかかるし、それでいて得られる速度は物理的な制約を受けるから、費用効果が悪いってさ」


なんてことだ。宇宙人に「費用対効果」などと言われるとは。しかし、人型メイドロボットを作ってないとは、ロマンがないな宇宙人は。


「地球でも、最初は日本人くらいしか、真面目に作ってなかったんじゃなかったっけ」


確かに最初はそうだったはずだ。ロボットアニメで育った八百万の神の国固有のロマンなところが多分にあったのは事実だろう。ただ後に、動歩行の成功で実現性が証明されたことと、人型が災害時に有効ということで、今では他の国の研究も進んでいる。


「あ、でも、モニターは読み取れるし、知性があって日本語も操れるAIが船には搭載されてるらしいよ。難しい翻訳はそのAIが今でもやってるらしいし」


ほほう。ちょっとSFチックになってきたか。やはり宇宙人はそうでなければな。彼女は歌ったりするのだろうか。


「別に女性って決まったわけじゃないけど。それに、手がないから、結局ネットサーフィンできないし。まさか、横で誰かが付きっ切りでオペレートって訳にもいかないでしょ」


それはそうだ。AIなら学習効率は宇宙人より高いことが期待できるが、操作の遅さでそれも帳消しになってしまうだろう。音声コントロールという手もあるが、あれも認識率や速度を考えると大差ないだろうし。となると、可能な手は一つ。


「よし、とりあえずPCを設置して、宇宙船のAIがskypeでTV会議できるようにしてくれ。手はなくても目と口があれば会話はできるだろう」


「それはできると思うけど、それでどうするの」


「私が会話する」


「会話って。まさかぼやがAIに回路設計講義でもするの?」


それも悪くないな。授業料がでるならだが。


「いや、違う。AIと協議して、私が中継回路を作成する」


「え、ぼやが宇宙人のテクノロジーを勉強するの?」


「違う違う。俺はそんなに頭は良くない。それに、それだとAIが人の手をかりてサーフィンして学習するのと速度がかわらない」


自慢じゃないが、私は地球の大学にすら入れなかったボンクラだ。宇宙技術の取得に挑戦なんかしたら、死ぬまでに成果を上げられるとは思えない。


「それなら、どうするの?」


私のプランはこうだ。まず、一番原始的な方法で宇宙船と地球のネットワークをつないでしまう。1,0の2状態で一本線のシリアル通信が良いだろう。とりあえず私がAIと相談して電気特性を調整した上で、キーボードとマウスをエミュレーションし、シリアルでコントロールできるインターフェースボードを提供するのが手っ取り早いだろうか。


次に、それで自由にネットサーフィンできるようになったら、とりあえず必要な知識を学習してもらいつつ、さらに高速のインターフェースを共同で開発するのだ。それで少なくとも、2段階目でモニタをAIのカメラが読むという、原始的な手法からは脱却できるはずだ。


ethernet程度なら、3段階目でフルスペックのインターフェースが完成するだろうし、プロトコル変換も宇宙船のAIが自前でできるようになるだろう。


実際、現行装置をつかってより高機能な次期装置を開発する、という開発手法は、コンピュータなどの開発現場では一般的だ。一瞬「鶏と卵どちらが先か」問題を含んでいるように思えるが、この場合は基本「鶏が先」である。今回の例だと「最初のインターフェースの設計」が「最初の鶏の創造」に相当することになる。


もちろんこれは、相応の困難を伴うが、この鶏は「次につながる卵を産む」ことができれば十分なので、欲張らなければなんとかなるものだ。特に、今回はそれほど難易度は高くない……はずだ。


「了解。とりあえずそのプランを提案してみる」


奴はみなまで説明せずとも私のプランを理解したようだ。まぁ、元々同じハードウェアのエンジニアなのだから当然かもしれない。宇宙船との接続作業は奴にも頑張ってもらうことになるだろう。ぶっちゃけ、私がやらずとも奴単独でも実行可能だと思うが、奴はインターネットプロトコルにはそれほど詳しくないだろうし、AIとの会話も面白そうだから、ここは出張って私がやるべきだろう。何事も適材適所だ。お金も取れるしな。


というわけで、50万の請求書がさらに1枚増えることになった。今回は私個人からの請求だ。額は多いが大半が人件費なので、部品代は立て替えておけばいいだろう。年度末までに辻褄が合えば問題ない。


「で、ぼやさんは、そのAIに『マルチ』とか名前を付ける気なのね」


そいう美香に言われたのは、夜のお風呂タイムでのこと。今日は私の家のお風呂である。


ちなみに、私の家のお風呂は特殊仕様で、本来の設計では普通のユニットバスの所に、タイル貼りの浴室をしつらえて、そこに洋タブを置いてある。一人暮らしなので、毎回和風呂にお湯をためると非効率だし、泡ぶろで体まで洗うスタイルにも憧れていたから、少々無理をして作ってもらった。このマンションが建築前契約で、内装変更が可能だからできた技でもある。


こうして二人で入ることになると分かっていれば、もう少し大きくても良かったかなとも思ったが、この密着感に慣れると、もう戻れない感じでもある。


「そして、こうしてお風呂で髪を洗ってもらうつもりなんでしょ」


他人に髪を洗ってもらうのも、歯を洗ってもらうのも、実に気持ちが良いものだ。頭はごしごし、背中はぷにぷに。


「いや、だから人型じゃないし。『マルチ』じゃないし」


「じゃぁ、何て名前つけるの?。『ヘルヴァ』とか?」


ちなみに前者はゲーム(元はエロゲー)、後者は有名なSFが元ネタだ。


「うーん、私的には船体コンピュータは『ゾラック』なんだけどなぁ。でも男相手はつまらんから『ゾラ子』かな」


これもSFである。


「なにそれ。別にいいけど」


痛い、痛い、愛が頭に痛い。


「2Dは浮気に数えないって約束じゃない」


「うーん、でもAIって2Dなの?」


喋るだけなら1Dかもしれないが。


「出てもモニターにまでだから2Dでしょ。美香がAIと話すときには2D美男子にしてもらってもいいから」


「別に顔とかどうでもいいけど。そうじゃなきゃ、ぼやさんの嫁なんかやってないし」


「ごもっとも」


二人の間で隠し事はなしというルールなので、どきどきこういう事態も発生する。基本私が美香の機嫌を損ねるパターンではあるが。


「じゃぁ、そのAIの容姿、私がデザインする」


唐突に美香が立ちあがって、そう宣言した。いい眺めだ。


「はぁ」


「超美少女にする」


「はぁ?」


「そして、ぼやさん以上に仲良くなる」


「はぁ~」


出たか、美香の病気。こいつ、本当好きだよなぁ、可愛い女の子。たぶん俺以上だよね。


「でも、AIがそこまで対応できるか、わからんぞ」


「できないなら、そもそも問題ないし。だから、声も用意する。好きな声優さんの見本の音声を用意するから、そのAIに渡しといて」


「了解」


その後は予想される通りというべきか、風呂からでた美香は、お互いの髪を乾かして一段落すると、さっさと自宅へ戻っていった。これから徹夜で作業をするのだろう。


翌朝、3面図と、どこかで聞いたような声優のサンプル音声が私の手に渡される。どうやら美香は、私を萌え死にさせる気らしい。しかしAIに「なぜ外見が魔女っ娘なのか」と聞かれたら、上手く答えられる自信はない。


っていうか、どうして魔女っ娘?

半ば帰省中の暇つぶしで書き始めたこの小説。自宅へ戻っての初投稿です。ペースは落ちると思うけど、今年中には完結したいものです。そして今回もぼやと美香のシーンで終わると。いや、このシーンを書くのが唯一の楽しみになってきているので…。まぁ、処女作なんてこんなものよね。

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