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笑顔で心を折る籠絡士〜救った最強ヒロイン達と共に聖教会に復讐ざまぁを叩きつける〜  作者: 秋風ゆらら


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第3話 俺の役割は

「早速だが、カイル。次の作戦の話し合いにこのまま参加してくれ。」


 ドグマの声にカイルは頷き、円卓に近づく。円卓の上に広げられた地図には、教会の補給路が赤く示されていた。


「今話してるのは、教会の補給隊を叩く計画についてだ。場所はここだ。」


 低く響く声でドグマが言い、太い指で地図を叩く。街道の分岐点に赤く印されている。


「護衛は二十名程度。馬車には食糧と薬、それに魔導兵装が積まれているとの情報だ。」


 イレーネが腕を組み、鋭い赤い瞳を細めた。


「正面からぶつかるのは得策ではないわね。」


 すると、端で地図を覗き込んでいたノアがすっと手を上げた。


「補給隊は必ず街道の分岐で一度停止します。馬の休息と確認のために。そこなら、伏兵を置いて奇襲をかけられます。」


 イレーネがすぐに口を挟む。


「伏兵?そんな子供じみた案で通じると思う?」


 ノアはイレーネに睨まれ俯いたが、カイルは隣で静かに笑った。


「いや、悪くない。止まる場所が決まってるなら、こちらも準備ができる。むしろ相手を消耗させるのに最適だ。」


 その一言でノアは目を見開き、少しだけ勇気を取り戻す。


「そ、そうです! 分岐点は林に囲まれていて、姿を隠すのにも向いています」


「ふん……新入りに同意されるとはね。まぁいいわ。」


 イレーネは皮肉を吐いたが、それ以上反論はしなかった。


 ライネルが椅子から勢いよく立ち上がる。


「よし! なら俺が先陣を切る!敵の列をまとめて燃やしてやる!」


「あなたが突っ込んだら、せっかくの奇襲が台無しでしょ?」


 イレーネが冷ややかに言い放つと、ライネルは顔を真っ赤にした。


「な、なにぃ!?じゃあどうしろってんだよ!」


 ドグマが苦笑を浮かべる。


「ライネル、お前の剣は退路を断つのに使え。奇襲をかけた後、敵を分散させずにまとめて焼き払え。お前ならできる。」


 その言葉に、ライネルは得意げに頷いた。

 そこへ、気だるげな低い声が響いた。


「いやぁ、悪い悪い。ちょっと昼寝が深くてな。」


 のっそりと現れたのは、筋肉質の体を持つ長身の男だった。乱れた髪に無精髭、だらしない笑みに酒の匂い。

 その男は、カイルに、よぉ、見ねぇ顔だな。バルドだ。と言いながら椅子に座る。


「……また寝坊なの?」


 イレーネが苛立った声音で言った。

 バルドは気にも留めず、卓の上の地図を一瞥してにやりと笑った。


「補給隊襲撃だろ?俺はいつも通り、適当に暴れて時間稼ぎすりゃいいんだろ。」


「……お前が適当すぎるのは困るがな。」


 ドグマはため息をつきながらも、その言葉を否定しなかった。


「……で、最後の問題は新入りの役割だな。」


 ドグマが鋭い眼光をカイルに向けた。


「カイル。お前は剣も魔法も専門じゃねえな。だが、俺には分かる。お前はただの飾りでここに座ってるわけじゃない。」


 イレーネが顎に手をやり、冷静に口を挟む。


「ええ。体術はかなりのものだと聞いたわ。でも、この作戦で前に出すのは無謀。……せいぜい情報係が妥当ね。」


 場の空気が張り詰める中、いいえ、とノアがはっきりとした声で言った。


「カイルさんは、相手の心を読むことができる。迷いや恐怖を突けば、兵士は動揺します。

もしも、カイルさんが敵の指揮官を混乱させられれば、兵隊は統率を失います。」


 その意見に、ドグマが深く頷く。


「そうだな。奇襲で前線が乱れたところに、お前が指揮官を揺さぶれ。兵は混乱、退路はライネルが焼き、バルドが殿で暴れる。」


 全員の視線が、自然とカイルへ集まった。カイルはしばし沈黙し、ゆっくりと微笑んだ。


「……分かった。俺がやるよ。

 敵の信念を折れば、剣を振るわずとも勝利は近づく。俺の役割は、それだ。」


 イレーネは小さく舌打ちしつつも、その瞳には一瞬だけ興味の色が宿った。


 ドグマが立ち上がり、会議を締めくくる。


「いいだろう。新入りの初任務だ。見せてもらおうじゃねえか。お前の力がどれほどのもんかをな。」


 カイルの深い青の瞳が、静かに光を宿す。

 それは戦いへの決意であると同時に、復讐の火をさらに燃やすものだった。

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