変わったこと 舞風優視点
「ふう・・・終わった・・・」
私は誰もいなくなったオフィスで独り言をつぶやく。時刻は9時を回っていた。
私が金沢に異動してきてから、約1年が過ぎた。
仕事は忙しくなった。名古屋に比べて、圧倒的に人員が足りていない。なので、こうして残業をする日が多かった。
私はパソコンの電源を落とし、席を立つ。
戸締りをして、会社から出る。
駅の方へ向かう。名古屋にいた時に比べて通勤時間は、短くなった。徒歩で約15分だ。
しかし、今日は自宅に帰るわけではない。約束があるのだ。
「・・・・・」
私は閉店時間を過ぎた店の前で足を止める。
アウトドアショップ「モンテ」だった。
もちろん、開いていないし、あいつもいない。
ただ、ここを通るとあいつのことを思い出してしまう。
「・・・・・」
私は歩き出した。
私は1年経っても、あいつのことを忘れられずにいた。
・・・・・
「いらっしゃいませー。お一人様ですか?」
「先についているはずなんですけど、森田で予約しているはずですけど・・・」
「かしこまりました。席にご案内します。」
私は店員に連れられて奥に進む。
「遅くなって、ごめんね。」
「いいよー。気にしないで。仕事お疲れ様ー。」
先に来ていたのは、森田 千愛希だった。
「千愛希もお疲れー。私生中で、千愛希はカルピスサワーで良かったよね?」
「うん。」
「じゃあ、それで。あと枝豆とポテトもお願いします。」
店員は「かしこまりました。少々お待ちください」と言い、下がっていく。
「いやー、疲れた・・・」
「最近残業多いね。体は大丈夫?」
「まあ・・・休日はほとんど寝ているけど・・・」
「体気を付けてね・・・」
私は金沢に異動してきてから、千愛希とよく飲むようになった。休日に遊ぶこともある。
何度、この優しさに救われてきたか・・・
異動してきた当初は一人で頑張るつもりだったが、正直心身共にしんどかった。
ある日千愛希から、メッセージが来て、色々心配され飲みに行くことになった。
本当にありがたかった。千愛希がいなかったら、私はどうなっていたか・・・
「お待たせしましたー。」
生中とカルピスサワーが届いた。
「じゃあ、乾杯。」
「お疲れさまー」
2人は乾杯をして、それぞれ注文したお酒を飲む。
「やっぱり、仕事終わりの生中は美味しい・・・」
「ふふっ。舞風優はいつもそれ言うね。」
「だって、美味しいんだもん・・・明日は休みだし、飲むぞー。」
「私も明日は休みだし、付き合うよ。」
こうして2人で日付が変わる直前まで飲んだ。




