返事① 八瑠佳視点
「・・・ん」
八瑠佳は聞きなれぬアラーム音で目が覚めた。
「・・・・・」
八瑠佳は周りを見渡す。どう見ても自室ではなかった。
昨日のことを思い出す。
「あっ、私寝ちゃってた・・・寺沢さんは?」
八瑠佳は立ち上がる。
アラームは寺沢さんのスマホからなっているようだ。そのスマホに手が伸びる。
「・・・おはようございます。」
寺沢さんと目が合う。
「・・・おはようございます。」
私は挨拶をして、顔を隠す。
「メイク崩れちゃってるから、あまりみないでください・・・」
「すみません・・・気が付きませんでした・・・」
寺沢さんは後ろをむく。
「体調は大丈夫ですか?」
「はい。問題なさそうです。」
「良かったです。というか、昨日ソファで寝かせてしまってすみません。起こしてくれればよかったのに・・・」
「一応、声をかけたんですが・・・それに気持ちよさそうに寝てたので・・・」
(寝顔を見られてしまった・・・私変な顔してなかったよね・・・)
きっと私顔真っ赤だ・・・
「すみません、私シャワー浴びていいですか?昨日浴びれなかったので・・・」
「・・・え・・・」
寺沢さんは困惑している。
「俺先にホテル出ますね。」
「それは困ります・・・私初めてなので、外へどう出るかわからないです。すぐに出るので、待っていてほしいです。」
「・・・はい。」
・・・・・
私は早足で脱衣所に向かう。入る前に彼を確認する
「私が出るまでいてくださいね・・・」
「はい・・・」
我ながら卑怯な手を使ってしまったと思う。
初めてなので外に出る方法がわからないともいうのもあったが、昨日の返事を彼にしていない。
答えは決まっている。
シャワーをさっと浴び、浴室を出る。
髪を乾かしながら、考える。
(私寺沢さんに対して、すごく無防備だな…いや、彼だから無防備になっているのかな・・・)
私は今更気づいた。
「私、寺沢さんと出会ったことで、自分の素を出してるんだ・・・」
昔から、あまり自分の意見を言うのは苦手だった。人に合わせてしまうことが多かった。引っ込み思案な性格だった。
舞風優や栞ちゃんといる時もどこか積極的になれない部分や、遠慮してしまうこともあった。
今では、どうだろう?本当に自分かと思うほど、積極的に寺沢さんに向き合っていた。
知らない間に私変わったんだ・・・
髪は乾いた、軽く化粧して浴室を出る。
「すみません。お待たせしました。」
「いえ。全然大丈夫です。じゃあ出ましょうか。」
寺沢さんは出口のパネルを払い、お金を入れる。
「お金出します。私が連れてきたようなものですし・・・」
「いいですよ。どうせ一人でも止まることになった可能性高いですし。」
彼もなかなか折れず、半額だすということで説得できた。納得できてなさそうだったけど・・・
私たちはエレベーターで一階まで下りて外に出る。
「雨まだ降ってますね・・・」
「もうすぐ梅雨明けってこの前ニュースで聞きました。」
「そうなんですね。」
私は寺沢さんの前に立つ。
「この後少し時間いいですか?」
「はい。」
「公園まで歩いてもいいですか?」
「ええ、もちろん。」
2人は傘を差して歩き出す。2人の距離は人一人分離れていた。




