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ホンモノノスキ  作者: リンゴ
言えない本音
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分岐点②     舞風優視点

私は家を出た後、電車に乗っていた。


(・・・あいつがいないか確認するだけだ。)


駅で八瑠佳に電話したが、彼女は出なかった。メッセージにも既読はついていない。


私はどうしても彼を放っておくことができなかった。


(あいつのことが好きとかではない・・・今回のことのきっかけは私でもあるから気になっているだけ・・・)


私は誰もいるわけではないのに、心の中で言い訳をする。




水族館の最寄り駅に着いた時刻は20時15分だった。


すでに雨が降り始めていた。


まだ八瑠佳からのメッセージの返信はない。


ここからあいつがいる公園は5分ちょっとで着くはずだ。


(本当にいるのだろうか?)


心の中でそう思うも、私にはあいつが待っているという確信に似たものあった。なぜ確信できるかのかはわからない。


「公園のどこにいるんだろ・・・」


雨の影響もあって、人通りはほとんどない。水族館も閉館している時間の上に、今日はそもそも平日だ。


公園を回りながら、彼を探す。


すると、誰かが走っていく足音が聞こえた。八瑠佳だった。


「八瑠佳・・・・・」


八瑠佳は一直線に走っていく。


私は動くことができない。一瞬見ただけで、八瑠佳の真剣さが伝わった。


八瑠佳が走っていく先を見るとあいつがいた。


私は思わず隠れてしまった。


(隠れる必要なんてないのに・・・)


2人は何か話しているが、距離が少し離れているのと雨のせいか聞こえない。


(盗み聞きは良くないな・・・帰ろう・・・)


私は2人に背を向け、反対側に歩きはじめる。


(・・・・・なんで、なんでこんな虚しい気持ちなんだ・・・)


ぼんやり、歩いているといつの間にか駅に着いていた。


♪~~


メッセージがきたようだ。


確認すると八瑠佳からだった。



連絡なってごめん。舞風優にも心配かけてごめん。


今寺沢さんと合流できました。



私はすぐに返信する。



良かった。また結果聞かせてね。



「帰ろう・・・」


持っている傘が重く感じる。




私は家に帰ってきた。足取りは重かった。


荷物をおき、ベッドに横たわる。


行かなければよかった。


行かなければ、こんな気持ちになることもなかったのに・・・


この気持ちを上手く言い表せない。


私はどうすればよかったのか?


早く行けばよかったのか・・・?


あと5分早ければ、私が先についていた。たとえ八瑠佳と出会っても、私がおせっかいをしただけと思われて終わっただろう。


いくらでも早く出る機会はあった。


ただ私が素直にならなかった。いや、自分に対して本音を言い出せなかった。あいつにあんな説教をしておいて。


今日は分岐点だった。彼と私の関係が変わるかもしれなかった。


私はあいつとどうなりたいのか?答えはわからない。


ただ、あいつともっと話したいと思っていた。なぜかはわからないが、彼となら本音で話せた。


「ダメだ。こんなこと考えてはいけない。」


私は思考を停止し、眠った。

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