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学園 イル 5

 丁度三冊目の本を読み終えたところで図書館の扉が開かれた。顔を上げてそちらを見ると先生と生徒らしき人が数人入ってくるのが見えた。恐らく学園の案内でよったのだろう。俺は本を棚にかえして図書館を後にすることにした。返すときもミカさんに少し手伝ってもらって手の届かないところに戻してもらった。

 俺は入ってきた人達とすれ違うようにして図書館を後にした。丁度お昼ご飯の時間だったのでキオーナを連れて兄様と一緒に街に来る度に訪れているお店に向かった。


「あの、よろしいのですか?わたしなんかがついて行ってしまっても。」


「ええ、大丈夫ですよ。そこは庶民が手軽にいけるようなお店なので。だからこそ出来るだけ質素な服で来たんですから。」


今回向かっているお店は少し内地にあるこの街では珍しく新鮮な海鮮料理が食べられるお店だ。前世からよく海鮮を食べていたので最初に食べたときは感動のあまり少し泣いてしまい兄様に心配されてしまった。お店に入ると昼時から少しずれていたこともありすいていた。俺たちは案内された席で俺がいつも食べる料理を頼むと、キオーナも同じものを頼んだ。運ばれてきた料理は魚の身を油で素揚げし、それを野菜で包みそれをさらに生地で包んだ料理だ。キオーナも気に入ったらしく食べ進めている。俺も料理を食べていくと、お店の扉が開いたのが見えた。入ってきたのは一人の男の子で学園の制服を来ているのが見えた。と言っても顔は知らないので気にせずに食べ進め、俺もキオーナは料理を完食した。


「どうだった?おいしいでしょ。」


「はい、とてもおいしく頂きました。ありがとうございます。」


キオーネが笑顔を浮かべていると俺もうれしくなっていく。お会計のためにお店の出口に向かうとキオーナが代金を払おうとした。が、俺はそれを止めて財布からお金を出して代金を払った。キオーナには後で貴族とばれないためにキオーナが持っている財布を見せないようにしたと説明した。俺たちは街の中を散策していたら、いつの間にか日が傾き始めていた。寮に戻った俺たちはパーティーの準備を済ませ談話室で待っていると、メリトとメリトの従者が談話室に入ってきた。


「お、ここにいたのか。と言うより着こなしてるな。俺なんてこの格好は久しぶりで違和感しかねぇよ。」


「まぁな。うちはいろんなところから招待されるからその影響からだな。」


俺とメリトは少し早いが会場に移動することにした。キオーナはメリトの従者とお互い自己紹介をしているのが聞こえる。ミカさんは先に会場に行っているらしく部屋を早めに出ていった。俺たちが会場に着くと、そこにはすでに人が集まっていて少しだけ盛り上がりが見えた。集まっている人の服装を見るとどれも高い者とは言えない者ばかりなのを見るに、恐らく庶民家出身の子達が集まっているのだろう。すると、会場内に声が響いてパーティーの開始が告げられた。


「さてと、どうする?俺としてはご飯食って自由にしてようと思うが。」


「それが良さそうですね。どうせ正式な場ではないんですから顔を出しておけば何も言われないでしょう。」


会場には音楽隊もいるので雰囲気に合った音楽がながれ、ダンスフロアも用意されているが踊っている人は今のところ誰もいない。メリトと別れた俺は途中飲み物を受け取って会場を見下ろせる位置に来た。


「どうしてこんなことをするんでしょうか。」


「多分貴族としての雰囲気を感じてもらうためって言うのもあるんじゃない?あとは、友達作りとか。」


俺の独り言にミカさんが隣に立って答えてくれた。キオーナはメリトの従者と一緒に先に寮に戻っていると言っていたので、今は近くにいない。俺が会場を見下ろしながらグラスを傾けていると後ろから声をかけられた。


「もしかして、ラダールくんですか?」


振り替えるとそこにはそこそこ豪華な服を身に纏った一人の女性が立っていた。


「そうですけど・・・、あなたは?」


「あぁ、そうでした。初めまして神聖力テゴトゥエの代表を務めております、シャリカと申します。」


「いえ、こちらこそ。それで何か用ですか?」


「少し折言った話になりますのでバルコニーの方に移動しませんか?」


俺はシャリカと名乗る女性と一緒にバルコニーに移動した。移動した先でシャリカさんは真剣な表情で一つお願いをしてきた。


「端的に言います。ラダールくんの召喚体をわたしに譲ってくれませんか?」


シャリカさんの言葉には驚いたが、一番驚いたのは隣で聞いていたミカさんのようで、一瞬力が溢れそうになっていた。詳しく話を聞くとあの事以降俺のガリバルドが高い神聖力を持っているのを見たらしい。それでお願いしてきたとのこと。


「なるほど、ですが譲ることは出来ません。」


「分かっていますよ。そう答えるだろうと思っていました。」


シャリカさんは俺がそう答えたのに対してそういった。では何故俺にお願いをしに来たのかを聞いてみると、シャリカさんは少し恥ずかしそうに言葉を放った。


「実はわたしの父は国の重役でして、その影響であまり近寄ってくる人がいなかったのです。近寄ってくる人も裏があるのではと疑ってしまって。そうですね、ラダールくんに話しかけるきっかけがほしかったんです。あの・・・出来ればわたしと踊っていただけませんか?」


シャリカさんは俺よりも年上だが少し女性としては長身な体型だったが、俺もそこそこ身長があったことで差はあまりない。


「ええ、勿論。シャリカさんの気持ちも分かります。そういう人の対応をしていると疲れますからね。」


俺はシャリカさんが差し出す手を取りダンスフロアに向かって歩いた。ダンスに関しては貴族の基本として母様や姉様からたたき込まれている。試しにミカさんに聞いてみたがそこは本当に最低限しか知らないから必要なら詳しい他の神を連れて来てくれるそう。


「ほんとにありがとうございます。まさか、リーネル家のお方と踊ることが出来るとは。」


「そう言ってもっらえるとありがたいです。」


シャリカさんとダンスフロアに立つと音楽隊が奏でる曲が変わり踊りやすい曲になった。俺とシャリカさんは貴族家と言うこともあってお互い初めての相手でも特につまずくこともなく綺麗に踊り続けることが出来た。俺は珍しく踊っていて楽しい相手だったので時間を忘れて2曲ほど踊ってしまった。


「ありがとうございました。久しぶりに楽しいと思えました。」


「こちらこそ、いきなりだったのにお付き合いいただきありがとうございます。そうだ!忘れていました。ようこそ学園へ。私たちは歓迎しますよ。」


俺とシャリカさんはそのパーティー中似たもの同士としてずっと話していた。途中こちらを見ている女子生徒がいたので目を向けたが、すぐに目をそらされてしまった。パーティーが終わってからその女子生徒のことを話すと、ミカさんが記憶を入れ込んだ子らしい。

 パーティーが終わりに近づいてきたのか人がだんだん少なくなってきた。俺はシャリカさんとお互いの連絡先として従者の名前を交換しておいた。貴族が連絡を取るときは貴族家に手紙出すが、個人的なやりとりの場合は専属の従者の名前を手紙に記して手紙を出す。それにより連絡を取ることが出来るうえ、この制度は非公式ながらよく使われるので外からは従者同士が連絡を取っているだけに見えるので安全なのだ。寮に戻った俺はキオーナの手伝いで衣装を脱ぎ、寝間着に着替えてこの日は就寝した。


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