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射城学園の殺し屋  作者: 黒楼海璃
壱 『異常』に『異常』で『普通』じゃない
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拾殺

  さて、かなり遅くはなったが、ここで俺との先祖について説明する。

 俺達兄妹の先祖、服部はっとり半蔵はんぞうはれっきとした伊賀の忍者である。

 服部家は、戦国時代から江戸時代初期にかけて松平氏~徳川氏ので活躍していたのだが、忍者であったのは初代だけ。二代目以降は武士だったらしいのだが、それはあくまでも表向きの話。実際は裏で忍者の家業を続けていたらしい。

 その当時の服部家の仕事は諜報活動や破壊活動、暗殺など、様々な仕事を請け負っていた。そして月日は流れ、現代。俺達服部家の忍者としての仕事は暗殺業に変わっていた。

 正確には俺達の両親から暗殺業を始めた。基本的には金の為ならどんなに罪の無い人間だろうと秘密裏に消す、そんな暗殺者だった。

 けどある日、『じょう』と名乗る男と、今でも正体が分からない『何か』が突然現れた。『何か』は俺達を襲い、男は俺達を助ける為に、何処かに消えた。その出来事以降、俺と伊佐南美は変わった。俺は人を殺す事に躊躇ためらいも無くなり、むしろ人殺しが好きになった。伊佐南美は精神的トラウマで突然発狂し、人を無惨に殺すようになった。

 そんな俺達はどんどん人を殺した。男も女も大人も子供も老人も先生も同級生も年上も年下も田舎者も都会者も金持ちも貧乏人も沢山沢山、俺達の周りの人間は次々と犠牲になっていった。その結果俺が875人、伊佐南美が562人、その狂った状態で人を殺した。

 そして両親が突然の病気で急死した。その時俺はまだ中学一年生だった。そんな俺達の目の前に現れたのは、『悪鬼羅刹サティスト』の二つ名を持った元暗殺者のやまこうげんだった。光元は死んだ両親の旧友で、大きな恩を受けたらしい。その為光元は俺達への面倒見が良かった。

 光元は俺達に暗殺の仕事を与えてくれた。但し相手は悪人のみ。それでも十分だった。人が殺せるなら、何だってする。

暗殺業を再開した俺と伊佐南美は色々と変わった。俺は『暗殺影シャドー』、伊佐南美は『暗殺霞ミスト』という二つ名で呼ばれる事が多くなった。日が経つに連れて伊佐南美にも自然な笑顔が戻った。俺は嬉しかった。大好きな妹に笑顔が戻った事が、心の底から嬉しかった。伊佐南美も伊佐南美で俺に甘えるようになった。それでも良かった。

 例え暗殺という家業をやっていても、俺は伊佐南美と静かに暮らしていた。けど一つ気掛かりな事があった。

 『居錠』と名乗る男、当時の俺はあの男の事を『オジさん』と呼んでいたが、どう考えても若かった。あの人も自分はオジさんじゃないと言っていたし、あの時の俺は勘違いをしていた。あの男が一体何者なのか、まだ分からなかった。

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