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書店にて
本屋では、意外に思われるかもしれないが迷子が多い。土日祝日はなおのこと。
「だれときたの?」
しゃがみこんで訊ねると、少年は泣きそうな顔を雫に向けた。安心させるように、雫は微笑む。よしよしと少年の頭を撫でた。
「おとうさん? おかあさん?」
もう一度聞くと、少年はやっと「おとうさん」と答えた。消え入りそうな声だ。
「おなまえ、おしえてくれる?」
「こーた…」
「こーたくん。なんさい?」
「よんさい」
言いながら、立てている指は三本だ。かわいい。
「おとうさんに、あいたいね」
言いながら、雫はそっと少年の肩に手を置いた。少年はうなずく。それを見届けてから、雫は言った。
「…あなたの願いが、叶いますように」
言った瞬間、ばたばたと走ってくる音が聞こえた。
「コータ!」
確認するまでもなく、少年の父親だった。




