第9話
さて次の日だ。
一通り準備を済ませた後、母の運転する車に乗り込んだ。
「友達出来るかな?」
「だいちゃんを拒むなんて見る目がないわ。」
「そういう事じゃないんだけど……。」
母は相変わらずだ。そういう自信はどこからくるのか。
適当な所で降ろして貰い、徒歩で登校する。
校門には先生方がいた。
「あ、烏丸君。おはよう。」
「おはようございます。」
前世でもあったな。挨拶運動とか言ったか?
ていうかなんで俺だけ名指しなの?
疑問を残して教室に向かう事にした。
なんだか避けられてるっぽい。こっちをチラッと見た後、逃げていくのだ。
正直凄い傷つくのでやめさせたいのだが、逃げていくのだ。
チクるか?いやいや原因も分からないし、いじめかも定かではないのだ。
あまり早まった事をするべきではないだろう。初日だし。
教室の扉の前に来た。最初の挨拶が肝心だな。
好印象を持ってもらうにはどんな感じがいいか……。
考えてもさっぱり分からない。イケボがええんか?
埒が明かないのでその場の勢いに任せることにした。
「おはようございます‼‼‼‼」
はい、失敗した。皆こっち見たまま止まってるもん。
シーンとしちゃったよ。ごめんね、皆。
クラスの雰囲気をブチ壊しちゃって。
俺はそんな事を思いつつ席まで歩き座った。
「あ、あの……、おはよ。」
なんと隣の席の子がやらかした俺に挨拶してくれたのだ。
この子は確か……、星野美月さんだったか?
なんやこの子、天使か……?
俺は周りの目も気にせず抱き着いてしまった。
「ど、どうしたの?」
と戸惑いながらも頭を撫でてくれた。
マジもんの天使ですやん。浄化されそうや……。
って、違うだろ。
「いきなり抱き着いてごめん。俺は烏丸大地。よろしく。」
「知ってる。昨日自己紹介してたじゃん。私の名前は星野美月。覚えてくれてるよね?」
この子意外と押しが強いな。俺たちは笑い合った。
「はい、そこ!三流以下のラブコメしない!私だってしたことないのよ‼‼小学生に負けるっていうのー‼‼」
担任の悲痛な叫びとクラスメイト達の笑い声が響き渡った。
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