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戦乱の異世界で、◯◯◯は今日も△気に□□□中!!  作者: 宇都宮かずし
『戦乱の異世界で、和食屋『桜花亭』は今日も元気に営業中!!』編第二部 桜の木の下で……
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第三章 作成会議 05

「各自の役割分担だな。まず、苗木の準備と植樹に関しては、ステラとアルトさんに任せて大丈夫か?」

「はい、任されました」

「ご主人様の期待に応えられるよう、頑張りましょう」


 明るい笑顔と妖艶な笑顔を浮かべる魔法使い組。


「で、イベントの企画や近隣の貴族達への繋ぎは、シルビアとトレノっち」

「うむ、任されよう」

「ああ、問題ない。だが、トレノっち言うなっ!」


 コチラも笑顔――じゃない人も約一名いるが、しっかり快諾する美人主従組。


「そして、堤防と河川整備の工事計画に指揮をラーシュアとレビン」

「頑張りましょう、ラーシュアさま」

「コチラは一朝一夕で終わるモノではないぞ。数年単位の長期計画じゃ。せいぜい馬車馬の様にコキ使ってやるから、覚悟せい」

「ありがとうございますっ、ラーシュアさま」


 そして、不敵な笑顔に恍惚の笑顔で応える、変態とロリババぐ――

「み、ぐがっ!」


 無言でオレ足を踏むラーシュア。

 だ、だから、オマエは人の考えを読むなよ……


 オレは半分涙目になりながら、役割分担の締めに入る。


「で、最後にオレは、お留守番と――」

「ちょっと待て、シズトッ!」

「お前、なに一人で(らく)しようとしてるんだっ!」


 オレのセリフを遮るように、テーブルへ身を乗り出し声を上げる美人主従。


 いや、だから姫さま。胸元の開いた服で前屈みになると、先っちょの桜色が――

 と思った瞬間、ステラとラーシュアが同時にトレーを振り上げたので、そっと視線を外す紳士的なオレ。


 そして、誤魔化すように一つ咳払い。


「コホン……楽しようとなんてしてないぞ。むしろ、一人で店番をするんだ、みんなより大変だぞ」


 しかし、一人で切り盛りしようと思ったら、客の入りを制限しないと無理だな。

 まあ、綺麗どころがみんな出払うとなれば、自然と客足も減るだろうけど。


「シズトさん。この期間中は、お店休んだらどうですか?」

「そりゃあ、店主のステラが休むって言うなら、従うけど……コレから冬に向けて、色々と入り用だろ? それに、それほど蓄えがあるワケでもないし」

「そ、それはそうですけど……」


 一年中、安定して何でも手に入る日本と違い、コチラでは冬超えの為に暖炉の薪やら保存食やらを買いだめしなければいけないのだ。


「お金の心配は無用ですよ、お義兄さん。みなさんにはコチラの都合に協力して頂くのですから、十分な謝礼はご用意します」


 謝礼ねぇ……

 確かに食べて行く分カツカツの価格設定でやっているウチの店よりは割が良さそうだ。


「そうじゃっ! それでも足りぬと言うならば妾が出そう。じゃからシズトは妾達を手伝うがよいっ!」

「ま、まあ、わたしは別にお前など居なくても構わないが、どうしてもシズトが手伝いたいと言うのなら、手伝わせてやらなくもないぞ」


 更に身を乗り出す姫さまと、頬を赤らめてソッポを向く近衛騎士さま。


 手伝う対価の謝礼はいいが、シルビアの金は税金だろ?

 国民の血税を無駄遣いするなよ……


「ちょっと待って下さい、王女さまっ! シズトさんには、わたし達を手伝ってもらうんですよっ!」

「確かに。植樹は何かと男手が必要ですからなぁ。ぜひご主人様にはコチラを手伝って頂きたい」

「男手など、街で暇してる男共でも雇えばよかろう?」

「ま、まあ、わたしは必要としていないが、居るなら居るで姫さまの雑用として便利だからな」


 ナニコレ? 何やら『オレ争奪戦』が始まってしまった。


 ふとっ、その光景にオレの頭で脳内選択肢が浮かぶ――


1、桜の植樹を手伝う。

(ステラ、アルトさんの好感度+1)


2、イベントの企画を手伝う。

(シルビア、トレノっちの好感度+1)


3、河川工事計画を手伝う。

(レビンとのBLフラグ+1)


 ………………うん、とりあえず3はないな。

 と、選択肢で迷うオレの隣でラーシュアは一つため息をついた。


「主は遊撃でよかろう? 各所を廻って、必要に応じて手伝わせればよいではないか」

「うっ……うむ……」


 ラーシュアから出た妥協案に、渋々ながら声を(ひそ)める四人。

 でもそれって、オレがメチャクチャ大変じゃね?


 そんなオレのアイコンタクトを無視して、ペド紳士へと目を向けるラーシュア。

 チッ、余計な時ばかり考えを読むくせに、肝心な時にはスルーしやがって。


「おい、変態公子よ。人手が必要な場合、人足(にんそく)を雇っても良いのであろう?」

「それは当然です、ラーシュアさま。そちらの日当も規定に照らし合わせ、コチラで用意致します」

「ならば決まりじゃな。力仕事や雑用は他に人足を雇うがよい。して、主は全体の指揮管理じゃ」


 よく考えると、王族に貴族。そして騎士と元宮廷魔導師を相手に、場を仕切る幼女の図というのも中々にシュールだな。


 その光景に苦笑いを浮かべるオレ。

 そして、そんなオレの隣にいたラーシュアは、椅子から立ち上がるとテーブルに飛び乗り仁王立ち。

 と同時に、王女と女騎士と元宮廷魔導師の手がオレの視界からスカートの中を隠すように伸び、ハーフエルフの手がオレの両目を塞いだ。


 い、いや……確かにパンツは好きだけど、幼女のパンツには興味ないから…………多分。


「お、おおぉぉっ! なんと神々しい漆黒の逆三角け、いっいっいっいっいいいいいいいいいいいいいひでぶぅ~~っ!!」


 闇の中で聞こえて来るペド紳士、断末魔の声――


 おそらくラーシュアの千連脚(せんれんきゃく)――別名、連続顔面踏み付け(ストンピング)によるものだと推測される。


「さて、色魔が滅んだ所で(みな)の者っ! 明日から頑張ろうではないかっ! おおぉぉーーっ!!」

「「「「おおぉぉーーっ!!」」」」

「おお~~」


 女性陣から上がる、気合いの入った鬨の声からワンテンポ遅れて、気の抜けた声を上げるオレ。


 てか、ラーシュア……何でいつの間にかオマエが仕切ってんだよ?

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