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無資格勇者  作者: 南蛇井


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scene31 地下室の王女

地下の部屋。

この国の第三王女レディアナは腕を組み、俺をじっと見つめている。

王女の青い目は鋭く、俺の心の内を見透かしているかのように感じる。

「どうした?」

王女の口元にわずかな笑みが浮かんだ。

「名前を名乗る資格がないとでも言うのか?」

その言葉...”資格”

警戒心が一気に膨らみ、緊張感が増していく。

拳を握る手に力が入る。

こいつは...。

「ふっ...安心しろ」

レディアナは椅子の背にもたれ、小さく鼻で笑う。

「私は資格になんか興味がない」

あっさりと言う。

「どうでも良いと思っている」

青い瞳が天井を見上げため息をつく。

「だからこうして、軟禁されているんだがな」

軽く肩をすくめ、おどけた表情を見せる。

俺は判断に迷った。

この女の言うこと...本当か?

罠の可能性は...?

だけど...その目に嘘は感じない。

「俺は...」

どう言うべきか...。

「俺は...勇者だ」

レディアナの眉がかすかに動いた。

そして目を細めた。

「その様子だと..」

声のトーンが少しだけ上がった。

「無資格だな」

その言葉に一瞬緊張し身構える。

視線を外さず一歩後ろに下がる。

「緊張するな。

 さっきも言っただろ。

 資格には興味がないって」

レディアナは軽く手を振りながらあっさりとした口調で言う。

「勇者35号、無資格勇者…あなた有名人よ」

「有名人だとして......?」

そう、だとして...だ。

敵か?味方か?それとも...?

レディアナ椅子から立ち上がり近づいてくる。

「協力するわよ」

はっきりとした口調。

「...なんでだ?俺は王国の敵だぞ」

レディアナの表情が少しだけ変わった。

ほんのわずかだけど怒りが混じった。

「国王を...」

視線が床に落ちる。

「父親を殺されているのよ。

 仇ぐらい討ってもいいと思わない?」

青い瞳が鋭く光る。

「それと...この部屋から出してくれたお礼よ」

「お礼?」

「そう...この部屋は魔法が封じられてるからな

 部屋ごと魔法で吹き飛ばして出てやろうかと思ったんだが...」

「部屋ごと...」

俺はちょっと引いていた。

「お前が扉を壊してくれておかげて無事に部屋から出れるようになった」

「はあ...まあ」

頭をかきながら答える。

「だけど、この先は危険だ」

「問題ない」

レディアナは肩をすくめ。

「自分の身は自分で守る。

 それに、ここに軟禁されていても、危険には変わりない」

レディアナの言葉、確かにその通りではある。

王城の地下で軟禁された王女。

それ自体が異常だ。

この先の命の保証なんかない、

「...確かに」

俺は短く答えた。

レディアナの口元に、わずかな笑みが浮かび¥ぶ。

「じゃあ、決まりだな」


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