scene24 決戦前夜
俺は、廃屋の屋根の上に座っていた。
明日の夜、この街に宰相ナザエルが来る...。
空は暗く星がよく見えていた。
少し寒いな...そう思ったとき声を掛けられた。
「どうしたの?」
振り向くと、そこには屋根に上がってくるニールがいた。
「あなたでも緊張するの?」
「そりゃ…そうだろ
相手は本気で俺を殺しに来る…誰も殺さずに死なずに出来るのかどうか...」
「いっそ殺してみたら?」
冷たい言葉に表情が固まっていくのがわかる。
「冗談よ。あなたなら大丈夫よ」
静かで俺を包み込むような、優しい声。
「最強の勇者なんだから」
「最強ではあるけど...」
否定はしないけど...言葉が続かない...苦笑するのが精いっぱいだった。
「星がきれいね…」
「?」
「大丈夫、必ずやり遂げるわよ」
その声は自信に満ちていて、不思議と俺に力を与えてくれた。
「ニール、君は何でそこまで...」
資格制度を破壊しようとするのか...?
「…いや...なんでもない」
迷いが言葉を止めた。
ニールが俺を見ていた。
「それは…」
振り絞られた声。
「いや...余計な事を聞いた」
俺は手を振り言葉を遮った。
風が吹き、沈黙が続く。
「…殺されたのよ」
夜の闇に吸い込まれそうな小さな声。
「資格制度に殺されたわ」
悲痛な声が心に刺さりニールを見た。
ニールの目は星を見たまま。
「私の双子の姉は...病魔に侵されていた」
静かな声が響く。
「治療の方法はあったわ。
魔法での治療が出来た...けど治療が出来なかった...資格がなかったから」
短く息を吐き言葉に詰まっていた。
胸が重い...また資格のせいで...。
「資格がない姉は...今でも王城の地下で死ねずに保管されている」
死ねない...脳裏に老人の顔が浮かぶ。
ゾンビかされて保管される遺体...。
資格制度は、狂ってる...制度に人が殺されt良いわけがない。
「それでも...」
怒りを抑え言葉を選ぶ。
「君の姉さんが生き返るわけじゃない」
「それでも...」
その顔に涙はなかった。
「これ以上の犠牲はもうたくさん。
終わらせるのよ」
ニールの決意。
俺は同じ空を見上げた。
俺が...俺がやるしかない...世界を変える。




