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和風ダークファンタジー系乙女ゲームに転生したけど、死亡フラグは全力回避します。  作者: 蒼井 百年
第一章幼少期 ~まずは死亡フラグを撤去します!~
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15話 ~お兄様のトラウマ回避~


 別にそこまで変な事言ってないよね?確かにちょっと危険かもしれないけど、半獣化暴走している状態でも、西園寺家うちの使用人や家族だったら、抑えられると思うんだけど……。


 というか、皆驚いている中で一番驚いているのが盗賊団の人たちっていうね。


「なぁ嬢ちゃんよぉ、俺が物言える立場じゃねェっつーんは重々承知なんだけどなァ、一つ言わせてくれや。……何を考えてるんだ?俺ァ、嬢ちゃんちを襲おうとした盗賊(・・)だぜ?」


「そんなこと、承知の上ですわ。それに、貴方たちは望むべくして盗賊になったわけでは無い、のでしょう?」


 世間の非情な目のせいで盗賊になったのに、それを責める権利があるかっちゅーの。


「勿論、お嫌でしたら幾つかの選択肢は用意していますよ?ただ、最低条件として私の研究には携わってもらいたいんです。」


「凜ちゃん、研究って何をするつもりなの?」


 陽向が好奇心を紅緋色の眼に宿らせる。


「半獣化を抑える研究をしたいの。私たち大きくなって学園に行ったら寮生活なんでしょう?だから今のうちに多くの事を経験したいのです。」


「まぁ確かに西園寺家でなら、半獣化した彼らに襲われても抑えられると思うよ。うん、いいんじゃないかな?凜の意見。賛成するよ。」


 おっ!お兄様からの賛成は心強いなぁ。

 きっと、お兄様は私の考えていることお見通しなんだろうな。—これ以上の被害を出させないようにしていること。


「おぉう兄あんちゃんもかいな。……確かにその申し出はありがてぇ。だが、嬢ちゃんちが良いって言っても周りの人間が嫌がるんじゃねぇか?」


 渋るなぁ。あと一押しなんだけどなー。


 そう考えていると、修理を終えた侍従の小虎さんたちが、此方に出発の準備が整った事を伝えてくれた。

 すると、此方の様子に気付いたらしく、簡単に状況を説明するとあっけらかんとして小虎さんは言った。


「別に構いませんよ?妖怪の方でも西園寺家で働いてる方は、数多くいらっしゃいますし。西園寺家当主御夫妻もとても素晴らしい人格をお持ちですし、種族差別など決してしませんし、むしろ理解のある御方です。」


 そうですよね?と小虎さんが後ろに控えていた使用人たちに賛同を求める。

 すると、使用人さんがた全員が頷いた。その中には妖怪も人間も、種族隔てなく皆が笑顔を浮かべていた。


「……、御貴族様っつーのはみんな冷酷無比で、嫌なヤツらばっかの血筋だと思ってたんだがな。ありがとう。……こんな俺らだけどよろしく頼む。」


「はいっ!よろしく頼まれますっ。」


 良かったー。これでもう西園寺琥珀のトラウマは完全回避完了!ってね。

 盗賊団の彼らに名前を聞くと、名前が無い。と言われたので、此方で付けさせてもらうことにした。名前に虎という一文字を西園寺家の式神や侍従の渾名にいれるのがしきたりなので、全員に虎という字を入れさせてもらった。

 お父様もお母様も自分の娘がまだ七歳という年齢で、侍従をプレゼントするっていうある種のブッ飛んだ人達だから、五人ぐらい侍従が増えても「あらそう。」で済みそうで怖い。いやむしろそれで済んでしまうんだろうな。



 その後の道中はとても賑やかなものになった。

 話してみると、みんな気さくですぐに打ち解けているみたいで安心。これからの職場とかでよくやっていけないと積みゲーだよね。もう、前世で散々派遣OLとして経験積んで分かったもの。そう、人生経験から産み出された偉大なる教訓よ。


 おおっと、話がそれた!

 そうそうそれで、家に帰ったらすぐに両親に報告したんだけどね、なんと!


「へえ、そうなの?じゃあ部屋割りとか考えないとね。」


「そうだね、他の侍従にも挨拶をしておくように言わないとな。」


 という御一言をいただいただけで終わる、というなんとも簡潔に済むというね!

 そんな感じで両親への報告は終わった。


 その後の生活は上々だったと思う。


 私の研究は桐生師匠の元で順調に進んだし、お兄様もトラウマの影はみえなくなったし、陽向はいろんな事をどんどん吸収していって結構な実力派になった(まだまだ成長しそうなんだよね)。それに、二人とも日に日に格好良くなっていってるんだよねー。怖いわ。


 まぁ、そのなこんなの良いこと尽くしで浮かれていた、忘れかけていたんだ。

 

 まだ、メイン攻略キャラ七人がトラウマ回避出来ていないことを。

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