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和風ダークファンタジー系乙女ゲームに転生したけど、死亡フラグは全力回避します。  作者: 蒼井 百年
第一章幼少期 ~まずは死亡フラグを撤去します!~
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14話 ~盗賊団のバッドエンド回避~

 

 少し話していると、彼らが半分人間半分妖怪の血(混血)を引いているが故に、盗賊団になったということを話してくれた。


「半人半妖の俺らはよ、まァ各家庭によって人間か妖怪(どちらか)として育てられてきたんでな、自分等が半人半妖なんて事知ったときゃあ驚いたもんだぜ。」


 古傷を痛めたような表情をして語りだす。その姿は何処かの痛々しささえも感じた。

 あぁ、攻略キャラの一人"佐取(さとり) 郭尋(あつひろ)"(ヒトメグファンからは佐取先生とか鬼畜眼鏡と呼ばれてた)を思い出すなぁ。佐取先生も半人半妖が理由で性格が抉れ(・・)ちゃったんだよね……。


「それにな、さっきの状況をみて分かっただろうが、俺らにゃあ妖怪と違って不のエネルギーを溜めすぎたとき"暴走"している事を認知出来ねぇ。意識も肉体も乗っ取られちまうのさ。しかも、珍しいもんで人間からも妖怪からも追われるっつうー生き方をしてたんでな。

 そのうち、人間も妖怪も信じられなくなってな。数年前まで山奥でひっそり暮らしてたんだがな、大きな山火事があってよ。……盗賊になるまでにも(ここまで)落ちぶれちまったのさ。」


 重々しく口を開き、紡がれる言葉はとても私の胸に強く響いた。

 前世の私が住んでいた地球でもストリートチルドレンやスラムは存在していたけど、地球の中で生活水準レベルが高いと言われる日本に生まれた私にとってあまり縁の少なかったから。

 前世では、募金とかボランティアっていう考えがあったからまだ良いけど、ヒトメグ(ゲーム内)では無いっぽいんだよね。もしかしたら在るかもしれないけど、少なくともエウロの港では見なかった位だから、募金とかにおける認知度が低いと思うんだよね。

 

「人間からも、妖怪からも、追われるなんて……!」


 陽向も驚いたように声を漏らす。

 四面楚歌、の四字熟語がぴったりじゃないか。目に見える殆どの人が自分の"仲間"ではない。そして、その中には己の命を狙うものでさえ少なくないのだ。

 そんなんじゃあ、信じられなくなって山奥に住みたくなるのも分かるかも……。


「やっぱり、若い(もん)の言葉は良いなァ。言葉に偽りが無ェ。心配してくれてありがとよ。」


(言葉に偽り(・・・・・)かぁ、そんなふうに言うって事は、彼らは上辺だけの言葉もかけられ続けて、そのたびに裏切られたりもしたのかな?あれ?目頭が熱いような……。)


「おいおい嬢ちゃんもそんな不安そうな顔しねぇでくれよ。」


 なんて良い人なんだろう。きっと、話している自分の方が辛い筈でしょうに。


「なァ、見たとこ銀髪の(あん)ちゃんが年上みてぇだが、これからの考えは決まっているか?」


 琥珀お兄様に話しかける彼は至極真面目な表情だった。その表情はアンニュイな雰囲気を秘めていて、ちょっとキュンとした。って、ヤバいな私結構守備範囲広いなぁ。


「……。これからの考え?どういうつもりでおっしゃているんですか。」


「なぁに、簡単なことじゃねぇか。俺らの処遇の事さ。」


 天気の事でも話すかのようにあっけらかんとしてるけど、それって重大な事だよね!?そんな「処遇どうするー?」「えーそれっぽければいいんじゃね?」みたいなテンションで話す話題じゃないよね?


「えっ、そんな簡単にいって良いものなの?」


 よし陽向、もっと言ってやってー!


「確かに決めなければいけないことだが……。あまりにも呆気ないじゃないか。」


「お優しいなァ。半端もんの俺らにゃあ勿体無ェよ。でもなぁ、西園寺家のご子息息女様なんて言やぁよ、山奥に暮らしてても噂は届くぐれェだ。そんな高貴な身分に対して言葉もなってねぇし、あまつさえ襲ったなんてな、即斬首モノ、温情で終身刑だ。」


 おいおい本気(マジ)かよ。その出で立ち(半人半妖)故に、抗う術もなく盗賊団になった彼らが、抗う術もなく半獣化になって、気付いたら極悪人にされている。なんて酷くない?

 これじゃあBEルートまっしぐらだよ。そんなの私の今世の信念(モットー)に反するし、許せない。


「お兄様も陽向も今回の件は私に任せて貰っても良い?」


「あ、あぁ良いけど。」


「うん、良いよ?」


 二人とも少し疑問の色を見せつつも承諾してくれたし、準備はオッケー!


「ねぇ、盗賊団さんたちさ、人の里で疎外されていたから盗賊団をやるはめになったんだよね?」


「あァ、そうさ。けど、それが俺らの処遇に関わるのかい?」


「んー凄く関係してるよ。」


「凜、あまり人道を外すような真似はならないよ?」


 お兄様が私の目を見つめて話す。お兄様の雪色の瞳が此方を見ている。

 うん、大丈夫な筈。選択肢は用意してるからね!


「勿論ですよお兄様!もう一度確認するけど私が決めて良いんですよね?」


「うん、良いけど、自分が彼らの人生を握っていることを考えてね。」


「それでお嬢ちゃん、処遇ってのは決まったのかい?」


「はいっ!貴殿方に我が西園寺家で働いてもらいたいと思っています。」


 私がそう言った瞬間、皆が驚いた。

 

 あれ、私そんなに変な事いった?皆そんなに驚くことかな?

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