第29話 ダンジョンヴァレンタイン(EX)
鳩達は、ダンジョン内をすいすいと降りていく。
だが、ダンジョンを降りているはずなのに何故かモンスターとは出会わなかった。
―――チャット欄―――――――――――――――
『ダンジョン内って凄いな』
『ダンジョンでバレンタインチョコを作ってたのかよ……ほんとリア充しやがって……』
『リア充ではないだろw』
『これ、なんでモンスターと会わないんだ?』
『ほんとにダンジョンの中……なんだよな?』
『でもこんなダンジョン見たことねぇぞ?』
『どこのダンジョンだ?』
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辺りにはダンジョンモンスターはおろか、人が通った形跡すらない何も無い通路。
視聴者とこの配信を見ているダンジョン探索者すら知らない通路だった。
「いや〜〜それにしても……Dさんの隠し通路めっちゃ良いわ〜なんかゲームみたいだし」
「ダンジョンにこんな通路があったのか……何も無いから少し寂しいけどワクワクするな……今度俺のダンジョン攻略配信でも通って良いか?」
「凄いよDさん……こんな目立たない隠し通路よく分かったね……それにモンスターもいないし」
「Dさんありがとね! あなたのおかげでダンジョン内でもチョコレートを作れたよ!」
「私の研究結果では全てのダンジョンに必ず隠し通路があると出ているからな。色々と調査をしてようやく見つけたのだ。しっかり使ってくれよ」
―――チャット欄―――――――――――――――
『ファ!?』
『隠し通路だと?』
『さらっととんでもない事言ってねぇか?』
『入り方は? 知りたいぞ』
『全てのダンジョンに隠し通路があるのかよ』
『すげぇ』
『バカっ……配信内で隠し通路の入り方なんて教えてもらえるわけ無いだろ……。するとしてもDさんのメンシ限定公開か学会の発表とかだろw』
『だからモンスターがいないのか……』
『やっぱDさんってすげぇよ』
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鳩達はダンジョンの隠し通路で雑談しながら前に進んで行った。
そして、目の前に見える出口から薄っすらと白い光が差し込んできた。
◆◆◆
「おいっ……鳩よ……我は待っておったぞ」
「ハトるんだ!」
「カフェぶりかな?」
「チョコはどこ?」
「ハトるん……呼んでくれて感謝する」
隠し通路の奥。
広間には、モモタロウスの4体と以前ダンジョンの海で会ったリヴァイアサンが居た。
「すっげ〜……でけぇ〜」
「これが噂のリヴァイアサンか……」
「大きい……写真撮ろ〜」
3人は、リヴァイアサンとモモタロウスに混乱するどころか楽しみにしていた。
まるで、これが今回のコラボ配信にやって来た理由と言わんばかりに。
「あの時は豪華客船の上であまり思わなかったけど……リヴァイアサン……ほんとにでかい……」
田中さんは、以前の鳩と初コラボ配信でリヴァイアサンに会った時の事を思い出した。
―――チャット欄―――――――――――――――
『で、でけぇ〜』
『リヴァイアサン???』
『いや、どうやってここに来たんだよ』
『リヴァイアサンの全長なんか初めて見た』
『流石に豪華客船をダンジョンに持ってくるだけあるな。リヴァイアサンを海から連れ出すとか』
『迫力やべぇ〜』
『モモタロウスはもうメンバーなんよw』
『鳩と愉快な仲間達w』
『リヴァイアサンがチョコレートを食べにわざわざ海から出てきたってことを考えるとなんか草』
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「今回はリヴァイアサンさんとモモタロウスのみんなの為に、昨日私が裏で作ったバレンタインチョコレートを持ってきたんだ♪」
鳩はそう言うと、巨大バレンタインチョコと4つのバレンタインチョコを白い羽根で運んできた。
『ドッスーーーーーーン』
『ヒョイヒョイヒョイヒョイ』
―――チャット欄―――――――――――――――
『でかすぎるだろ……』
『リヴァイアサンと比べても違和感ないぞ?』
『どうやって作ったんだよw』
『どう考えても鳩1匹で作れなくて草』
『普通の鳩じゃないからできたのか……すごっ』
『人間なら絶対に鼻血出るなw』
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「これがチョコレートというやつか! 甘い匂いがする……それに我にふさわしいサイズだ」
「チョコだ!」
「美味しそ〜!(あむっ)」
「あっ……イヌが先に食べてる……なら僕も」
「チョコレートは久方ぶりだ……」
待てが出来ず先に食べてしまったイヌの後に続いてリヴァイアサン、キジ、サル、モモタロウは少しかじった。
だが、チョコレートの美味しさには逆らえず、少しかじったはずが気付けば3割……半分……8割と無くなっていった。
「美味かったぞ! 鳩よ!」
「ハトるん……美味しかったよ〜!」
「僕も〜!」
「もう1個無いの?」
「礼を言うぞハトるんよ……」
口の周りにチョコレートを付けたサル、キジ、イヌ、そしてリヴァイアサン。
本来は凶悪なモンスターであるはずの彼らの姿には、視聴者を混乱させた。
―――チャット欄―――――――――――――――
『あれ? リヴァイアサンってレベル2よな?』
『モモタロウスは完全に癒しキャラやん』
『リヴァイアサン見た目に相反してて草』
『ギャップえっぐw』
『誰がこいつらを危険生物と思うかよ』
『いや、ハトるんの前だからやぞ』
『お前ら! この映像を見て過信すんなよ……こいつらはとんでもなく強い化け物なんだからな』
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「えへへ。喜んでくれてよかった♪」
「鳩ちゃん嬉しそう」
「なんか俺まで嬉しくなってくるな」
「貴重なデータだ……残しておかないと」
「ハトるんちゃん……良かったね!」
この後は、モモタロウスとリヴァイアサンを混ぜて、みんなでたくさんチョコを作った。




