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星の声を継ぐ者〜文明戦争の夜明け〜  作者: ムーンキャット


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第11章:発火点

異変は、静かに始まった。

最初は、空調の音が止まっただけだった。

病室の空気が、ふっと重くなる。

「……あれ?」

キアラが身を起こそうとした瞬間、

廊下の奥から悲鳴が聞こえた。

「きゃあああっ!!」

次いで、金属が床に落ちる音。

何かが倒れる衝撃。

そして――警報。

《非常事態発生、非常事態発生》

赤色灯が回転し、病室の壁が不気味に染まる。

ナースコールが一斉に鳴り始めた。

「なに……何が起きてるの……?」

キアラの心拍が、一気に跳ね上がる。

胸が苦しい。

呼吸が浅くなる。

そのとき、再び“声”がした。

(落ち着いて)

(これは、あなたのせいじゃない)

「嘘……」

廊下の向こうで、男の怒鳴り声が響く。

「動くな!全員床に伏せろ!!」

銃声。

乾いた破裂音が、病院という場所にあまりにも不釣り合いに鳴り響いた。

――武装した男たち。

テロ。

あるいは、狙い撃ち。

キアラの脳裏に、最悪の想像がよぎる。

(私……?)

(私を、探してる……?)

恐怖が限界を超えた、その瞬間だった。

世界が、止まった。

正確には、

キアラの「認識」だけが、異常な速度で拡張した。

銃を構えた男の指。

汗が浮かぶ額。

引き金にかかる圧力。

すべてが、手に取るように分かる。

(危険)

(排除する必要がある)

それはキアラ自身の思考ではなかった。

だが、拒む暇もない。

胸の奥が、白く発光した。

――次の瞬間。

廊下にいた武装集団が、一斉に吹き飛んだ。

衝撃波。

だが爆発ではない。

音すら、遅れてやってきた。

男たちは壁に叩きつけられ、

銃は宙を舞い、床に転がる。

誰も死んでいない。

だが、誰一人として動けなかった。

病院全体が、沈黙した。

「……え?」

キアラは、自分の両手を見つめる。

何もしていない。

触れてもいない。

それなのに――

(守られた)

(あなたが、望んだから)

「……私が?」

膝から力が抜け、ベッドに崩れ落ちる。

涙が止まらない。

恐怖。

罪悪感。

そして、確信。

もう、戻れない。

その頃、病院の外――

複数の監視衛星と医療ネットワークが、

同時に「説明不能な現象」を記録していた。

ロベルト・アンベイルの端末に、

赤い通知が灯る。

《特異反応:確認》

《候補存在:確定》

彼は、静かに笑った。

「……やっと見つけた」

星は、静かに瞬いた。

次は――人類側が動き出す番だった。


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