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総転生世界 〜Everyone Reincarnated~  作者: ful-fil
ビギナー ここは摩訶不思議な世界

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医療用画像魔力線機器組立技師互助会会長

「おんどれなめとったらあかんどコラ!!」


 エバちゃんがキレ散らかしている。


「町の経営をゲーム扱いやらロープレよりなお悪いんちゃうかい!」


 自称・元T県民のエバちゃん、巻き舌が上手すぎる。

 美少女のくせに怒り方に品がない。

 けど気持ちはわかる。

 あれはないわ〜。


『この世界はシ○シティだ!』


 領主のこの発言で俺は崩れ落ちたよ、心理的に。


 アカンやつやー!

 ダメな大人だ、ダメな大人がここにいる!


 真面目な事を言ってる立派な人かと思ったメイヤー領主は、大真面目にボケをかます人だった。

 一瞬、尊敬しそうになったのに、『シ○シティ』て。


「む、そっち系のゲーマーか」

「『信○の野望』よりは穏便ではありませんこと?」

「いやいや、大名でも市長でも独裁者は独裁者だよ。どっちもどっちだとおっちゃんは思うよ」


 団体交渉代表者の皆さんがなんか言ってる。

 『シ○シティ』の一言で色々見抜いてしまっている辺りがなんとも。

 結局、皆ゲーマーか。


「やれやれ」


 領主さん、肩を竦めるポーズ。

 欧米か。


「理解が得られないとは。残念だが君たちと私とでは見ている世界の大きさが違っているようだ」

「何ぬかしとんじゃなめとんかワレ!」

「どうどうどうどう」


 荒ぶるエバちゃんをセシルさんが宥めている。

 医療用画像魔力線機器組立技師互助会会長さん……長いので『医療会』(略称)でいいか……無免許天才外科医似の会長さんは考え込むように顎に手を当てた。


「なぜ『A列車』でないのかは気になるが…」


 気になるのそこですか!?


「…ともあれ産業保護という理念は理解した」

「理解でけるかーい!」

「どうどうどうどう」


 外野を無視して会長さんは続けた。


「しかし疑問は残る。繊維産業保護に果たしてアパレルダンジョン立ち入り禁止措置は必要なのだろうか?」


 そう、本題はそこだ。

 エバちゃんたちが問題視してるのはそこなんだよ。


「当該の繊維産業は生産量が需要に追いついていないと推察する。なぜなら我々が求める繊維製品は常に品不足であるからだ」

「ほう」


 領主は面白そうに会長さんに目を向けた。


「貴殿の求める繊維製品とは?」

「ガーゼ、包帯、三角巾」


 会長さんの答えはシンプルだった。

 医療関係で繊維製品といえばコレ! って感じだね。


「ガーゼや包帯がそんなに大量に必要かな? 薬草や回復魔法で事足りるのでは?」

「魔法は便利だが使い手が少ない。その場に回復魔法の使い手がいるとは限らない。薬草も便利だが保存がきかない。常備するよう心がけてはいるが、大勢の負傷者が出る不測の事態には心許ない。外傷の応急手当は基本的に前世同様、薬とガーゼと包帯だ。その数量が絶対的に足りていない」


 会長さんは心持ち悩ましげな顔になった。


「滅菌ガーゼがあるといいが、無いので我々で滅菌しているし、ガーゼは使い捨てにしているが包帯は止むなく洗浄して使い回している。感染防止の観点からは包帯も使い捨てにしたいのだが、数が足りない。現状、我々がアパレルダンジョン浅層に潜り、ドロップ品の綿布を確保して賄っているのだ」

「なるほど。医療用繊維製品のロットを増やす必要がありそうだ」

「検討してもらえると有り難い」

「ちょっとお待ちになって」


 おっさん二人の真面目そうな会話にフラワーデザイナー連盟の会長さんが割り込んだ。


「不足しているのは医療用だけではありませんのよ」





・『医療用画像魔力線機器組立技師互助会』:怪我や病気に苦しむ人々を救う、という高尚な理念に基づいて医療行為を行うボランティア団体。ただし会員の中に前世で医師免許を持っていた者はいない。

 『組立式医療診断機器くみたてくん』という古代王国製のアーティファクトを所有しており、それを診断に用いている。

 くみたてくんを用いた診断は簡便かつ格安で、庶民に親しまれている。


・『組立式医療診断機器くみたてくん』:古代王国製の簡易式医療診断キット。ご家庭での急な病気や怪我の時に即時診断、適切な手当てを指示してくれる。誤診の可能性がゼロではないので、医師によるセカンドオピニオンを推奨している。

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