後日談 ユナムの手紙
賢王を決める‥儀式の旅。
その中で出会った 少年 と‥仲間たちと巡り・・戦い、苦難を乗り越え・・。
遂に < 聖域 > で『バーゼルド』との戦いにおいて‥。
最終的に・・『グラセリオ』の勝利で、幕を閉じたのだった。
・・・あれから、半年は‥過ぎただろうか・・・・。
儀式の場で、聖竜より齎された言葉。
『 次なる賢王は、レスカテのリュウ と なった!! 』
聖竜様の力で国に転移で戻り、皆に祝福され‥労われた翌日。
ユナムは、旅 立 っ た 。
・・まずは、故郷に戻ると・・言っていたが。
私は、現・賢王により‥次なる賢王となるべく、細かな取り決め や 賢王としての力 の 使い方を学び、鍛錬している毎日だ。
儀式へ行く前と、あまり変わらない日常が・・戻ってきたような感じだ。
ルア や オリクトは・・ソール と共に、騎士団へ戻った。
時折、顔を合わせる程度だ。旅の時のような 気軽さ‥ではなく、私を王と見ての振る舞いなのが、少し寂しく感じる時もあるが・・・。
賢王になる為の、引継ぎの期間として‥1年は 短い ようにも感じる。
しかし‥父に言わせると「長いくらい」だとか。
・・まぁ‥我が父は、考え方が アソオス王子 のような豪快さの ある方で、現・アソオス王の方が、自分に似ているのではないか?と、考えてしまう事もある。
そんな時は、リーリエが‥父 と 私 の似ている部分 を、話す事が多いな。
『ほら、そっくりでしょう』と。
ユナムが去って、1週間ほど経った ある日、ルアが来た。
アソオス王子からの‥手紙を、持って来たから驚いた。
王子も、父君に ” 王の なんたるか ” を、改めて習っていると。
そして、いつの間にか去っていた‥アイラという少女の行方を‥聞かれた。
しかし、皆に確認させたが…。
その少女が、この国を訪れたという話は聞けず・・。王子に『こちらには、来た形跡が ありません』と‥近況報告も兼ねて、送っておいた。
そういえば…一時的に共闘していた時期に、アソオス王子と話した事があった。アソオス王子の旅に、あの少女が同行してる事を‥最初、不思議に思った事を伝えた時だ。
アソオス王子は ふっ と笑い・・・儀式の旅には、ヘルト・ベルク・ステッラで予定していたそうだ。
だが、ステッラは回復には特化しているが、戦うのは難しいと‥本人に言われ、国に来ていた冒険者たちに「私の旅に 同行したい者は、居るか?!」と 言って 集まった数百人を、戦わせたそうだ。
そして‥選ぶのは、実力で 残った中から となった。
・・笑ってた理由は、アソオス王子が アイラを 見 た 瞬 間 、一目 惚れしたそうだ。能力も高く、何より特殊な『 フェイン 』の力があったから‥と。
私には、幼い頃から リーリエ という‥婚約者が居たが・・・。
アソオス王子は、王子に見合う相手‥というと、嫌煙しがちな者が 多かったそうだ。それに王子自身も『自分が 認めた相手が良い』と考えてたようで‥。決まって無かった…と、言っていた。
・・少女を 婚約者 にと、お考えだったのだろう。
戦いの中でも、少女を気にする場面が、多かったように思う。
それに、少女も‥ユナムが言ってたように、アソオス王子に 惚れてた・・はずだ。‥見つかる事を‥祈っておこう。
一応、兵士達に見つけたら、知らせるようにと‥言ってあるからな。
・・・そういえば、アイラという少女の髪が、赤黒いのは‥父親が、アソオス国の出身だから‥と、聞いた事があったような・・。
ルア「王子、少し宜しいでしょうか?」あぁ。いつものか・・。
騎士団での実践 訓練や、大型 魔物の討伐など‥内容は様々だが、これも訓練と、父から 兵法 や 軍の動かし方、伝令の仕方などを学んでいる。
ルア「…では、そのように。失礼 致します」お辞儀をして去る。
こういった事でも無いと、自分に‥おいそれと、近づく事を 良しとしない オリクト や ソール、ルアたち。
・・気軽に話せた、あの旅は・・自分の王たる資格云々では無く、精神の強さ や 自身の弱さ も‥強く感じたものだった。
懐かしんで話を振っても、口調が硬いままなのが‥難点だがな・・。
半年‥長いようで、短い時間の中・・・。
ユナムが居ない事に、最初は慣れず‥。
よく、居 な い のに、呼べ と‥言ってしまったり‥。ユナムが居る感覚のまま、話したり‥と、旅の感覚が中々 抜けなかったな・・。
その度に、ルアやオリクトに‥笑われてたものだが・・。
最近は、ユナムが居ない事に…慣れて来た‥と思う。
それも彼女が、良く来るようになったから な・・気がする。
リーリエ「どうしました? またユナムさんの事を、思い出してますの?」
「‥あぁ、少しな。今日は、どうしたんだ?リーリエ」いつも来るような‥時間ではないのに・・・。何かを察したのだろうか?‥心配無いのだが・・。
リーリエが、1枚の茶色の封筒を‥持って来た。
? ‥珍しいな。茶色・・とは。
「これは?」
くすっと微笑んだ事に、驚いた。何だ?
リーリエ「相手が女性でしたら・・破ってましたのに」と、物騒な事を言いながら、手紙を渡してきた。私にか?
・・・『 お元気ですか?‥レスカテ王子 』ん?
リーリエが、優しく微笑み‥続きを読むように言う。
・・手紙は‥検閲されてから、私に届く。相手は・・・・。
「・・・ユナム?」彼からの‥手紙だった。
ギルドで買ったものだから、茶色の紙だった‥とか、それは良いんだ。
「‥珍しい物を持って来てくれて、感謝する‥リーリエ」
リーリエ「私も、少し読んでしまいましたけど‥」
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お元気ですか? レスカテ王子。ユナムです。
王子の結婚式までは、手紙を書かないつもりでした。
ただ、ちょっと報告も あるんで、届くか分からないけど‥送ります。
儀式も終わって、実家に帰ると‥また、宴会して・・。その後、改めて 旅立つ と、両親に伝えて・・。再び、アソオスの地へ‥向かいました。
今度は、俺だけの‥冒険者としての旅を‥始めるんです。
最初に行ったのは・・アソオス城から南下した所に、在るって聞いてた『クロの洞窟』に入ったんです。気になってたんで‥ずっと。
・・ほら俺、王子と一緒に旅してたから‥レベルとか‥高いじゃないですか。
仲間を集わずとも、行けるだろ・・って、考えてました。
『クロの洞窟』って、厄介な場所でしたよ。
入って早々に、道が二手に分かれてて。最初は、右の『オスクロ』に入ったら‥武器での攻撃に強い魔物ばかりで‥焦りました。
・・ルアさんの魔法が‥恋しくなりましたよ。
俺も、一応は魔法が使えるけど・・。
ほぼ、補助ばかりを使ってたから、練達度が低くて。威力も・・低くて。
‥逆の道へ行ってみたんですよ。『イスクロ』の方。
そしたら今度は、魔法ばっか放ってくる魔物が多くて!
こっちは、武器での攻撃に 弱い って、分かったんですけど・・。
・・何分、一人なもんで・・・。
結果は、惨敗・・でした。
今まで、オリクトが盾で攻撃 防いでくれたから、俺も動き易かったし、ルアさんの能力 底上げの魔法や、王子との連携・・。
思い出したら、仲間が・・・欲しくなってました。
だから、城下町のギルドに戻ったんすよ。
・・・そしたら、なんか アイラ の奴が居て・・。
「おまえ、何してんの?」って、聞いたんすよ。
・・なんか、自分が居たのに…不甲斐ないとか‥なんとか言ってて。
アソオス王子に、言わずに 出て来た みたいなんで、城下町で探したら良いって、伝えてもらえませんか?
・・あいつ、どうせ‥この国から、出る気 無いんで。
逃げたら、捕まえたら良いんすよ・・。
俺の仲間に、アイラは 要 ら な い んで。
あと、そういや‥ヘラジの塔で、あの時‥王妃を呼び戻した物を、くれた薬師と・・また、会えました!
あの時の礼を言ったら「役に立ったなら良かった」って。
今は、この国 以外も巡って、薬の材料を採りに行ったりしてるそうです。
・・ランクも上がったし、仲間 探しつつ・・ヘラジの塔に、ひとりで挑戦してたり・・。
・・( ユナムの冒険の 思い出 が、続いている・・長いな‥あとで読もう )
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‥ユナム、いろんな場所に行って、楽しんでいるようだな。
「アソオス王子に、お伝えしなくてはな・・」
しかし、なぜ少女は・・城下町に、居続けるのだろうか?
リーリエ「王子を想ってこそでは?」そうなのだろうな・・。
・・早々に、王子に お伝えしておこう。ユナムの助言を沿えて。
手紙の後半には、仲間が出来た話と‥その者の特徴が書かれてたり・・。
「ユナム‥」
私の結婚式の招待状は、ギルドに『俺 宛てで、送って』と書いてある。
リーリエ「私も ユナム様に、お会いしたいですわ。その日が‥今から、楽しみですわね」そうだな。
戴冠式も兼ねているが‥。正直、リーリエとの結婚の方が‥緊張する。
リーリエ「また、顔が赤いですわよ‥王子ったら‥」くす くす と‥笑われてしまう。しかし‥これは、慣れないのだから、仕方ないではないか・・。
オリクト「王子、そろ そろ、時間ですよ」もう、そんな時間か・・。
「オリクト、ユナムから手紙が来たぞ」そう言うと、弟のように思ってた と、言ってたオリクトも手紙を読んだ後、とても嬉しそうに 笑った。
オリクト「ユナムの奴、自由な旅・・してんな~」
ルア「オリクト!‥王子も、まだ ここ に居らしたんですか⁈ もう、始まりますよ!お急ぎ下さい!」
「では、リーリエ‥。行って来る。この手紙は‥」
リーリエ「いつもの 引き出しの中へ」あぁ‥頼む。
ルアに急かされ、訓練場へと・・・オリクトと共に・・走る。
オリクト「こうして走ってると、あの頃を思い出しますな‥」
ルア「呑気な事を言って無いで、走って!」
ルアの叱責も、オリクトの豪快な性格も・・懐かしみながら、ソールの元へ。
‥あの日、ソールが重傷を負って‥。ユナムが現れなかったら‥?
そう思うと、最後の戦いも‥どうなっていたことか・・。
ユナムの夢の話を聞いて、信じて‥アソオス王子達と、共闘しなかったら? ・・そう考えると、全ての結果は‥違う方向へ‥向かったのでは?
考えるだけ無駄と、言われるかも‥知れない。
ソールが亡くなってた可能性だって、在っただろう・・。
‥他にも、様々な場面で‥同じように、違う結果になってたかも知れない。
賢王に選ばれたとしても、俺自身‥ひとり だけの力で、ここまで‥来れた訳じゃない事を‥いつも、感じている。
・・あの儀式での最後の戦いにしても・・そうだった。
ユナムが、間に合わなければ‥‥。自分が、倒れていただろう。
賢王として、父のように‥いや。父以上の王となれるよう‥日々鍛錬だ。
・・リーリエも、傍に居てくれる。
ユナム、おまえは・・おまえの旅を続けてくれ。
そして、再び‥会うのは、きっと・・結婚式なのだろうが・・・。
その時、手紙に 書き きれない冒険を、話してくれ。
楽しみにしている。
鍛錬の後、自室で読み直し‥返事を書き、ギルドに届けて貰った。
・・ユナム、共に戦ってくれた事に‥敬意を称す。
そう言うと、おまえは 照れたように 笑う。あの日のように・・・。
王となっても、忘れる事は無いだろう。
・・コン コン コン・・ん?
ソール「王子、宜しいでしょうか?」どうした?
エレヒア「邪魔するよ・・王子様」
・・そうだった。エレヒア殿が来る日だった。
魔法の扱いを習うなら・・と、ルアと父、それにリーリエまで‥この方を呼べと言っていたのだ。
‥ユナムに言ったら‥「王子なら、大丈夫ですよ!」と言いそうだが。
エレヒア「‥話は、聞いてる。では、訓練場へ行こうか‥王子よ」はい。
「お願い致します!」
・・この、半年‥と、数日後・・・。
新たな賢王の戴冠式、その王妃 リーリエ との、結婚の儀が行われ‥‥。
多くの国民と、各国の王や王子・王女たちが集い・・盛大に祝った!
その中に、ひときわ賑やかな 一団 が、居た‥と 人々は言う。
冒険者グループ『ミルゼア』のリーダーは、現・賢王とも‥親しき仲。
周りが眠るよう促すほどに、旅の話で盛り上がった‥披露宴の夜だったそうだ。
・・新たな 賢王の誕生 と『ミルゼア』の 今後 に、期待しよう。
〈 レスカテ城下町 ギルド長 記載 情報誌から抜粋 〉




