第27章 異変
北の大陸・イムベル国に到着した俺たちは、城を目指す為に・・途中の森を抜ける為、港へと降り立った。ここでの儀式を終えれば、いよいよ聖域を目指せる。
・・無事に この国での儀式が・・終わりますようにと、願わずには いられない。
~ コグメーロ港 ~
イムベル国のコグメーロ港に、翌朝には‥到着した。
ここの海は、凄くキレイだった。まるで茸が海の中に生えてるみたいに見える。変な言い方かも知れないが、俺の想像力は‥その程度だ。
倉庫と民家‥。それに、一応の店も在った。まぁ、よろず屋で‥武具とアイテムが揃ってるけど・・・。
ルア「品揃えは、変わらないわね‥」
王子「買う物は無いのか?」
オリクトは、荷物を降ろすのを手伝っていた。
ルア「‥これと言って特には…」
王子「…オリクト!‥そろそろ、行くぞ‥」
最後の荷物を放り投げる形で、船員に渡すと‥渡したって言うのか?それ‥。
オリクトは、俺たちの所へ戻ってきた。ルアさんが、荷物の確認済んだらしく‥王子と共に俺も・・港の出口へと進む。
まだ‥朝の早い時間から、活動出来るのは‥余裕が出来て良いよな。
オリクト「すぐ先に見える森を、抜けるんだったか?ルア?」
ルア「そうよ。カロケリの森ね‥。北へ真っすぐ進めば‥城へ抜けれるそうよ」
・・・カロケリ? 「変な名前・・」と俺が、ボソッと話すと・・
王子「確か‥城に在った本には、暑さに強い森 という意味で書いてあったが‥」
ルア「暑さというか、熱や炎に強い魔物が居るようですよ。ユナム、油断しないでよ」 え?・・俺だけ?
ルア「‥オリクトも! よ・・」オリクト も・・だった。
王子「この森の中に、町が在るのではなかったか?」
ルア「…そうなんですよね。出来れば‥町へ 寄りたい所ですけど・・」
「森の中に、町が在るんですか?!」
そうこう言ってる内に、森の入口に到着する。
見たままでは・・氷で出来た木々の・・森・・・・だけどな。
寒いままだし。凍った魔物が出て来ても、おかしくは無いくらいに冷える。
オリクト「‥こんな所を通るのかよ‥」
ルア「…仕方ないでしょ。そういう国なんだから」
王子「…皆、油断せずに進むぞ・・」
・・俺たちは、それぞれが頷き・・武器を構えて進んでいく。
オリクト・王子・ルアさん・・俺の順番で。
入って、すぐには魔物が出なかった。だけど、それも何本かの横道へ入る度に、待ち構えてるのかってくらいに魔物に襲われる!
魔物たちは、それぞれが・・よく、そんな状態で動けるなー‥って感心するくらいに凍っている。そして、氷系の攻撃をされ・・一時的に足元が凍り、動けなくなったりして、本当に・・大変だった!
オリクト「デルゥ・ガラー!!」岩壁を作り出し、敵の攻撃を防ぐ!
ルア「シャイン・レイ!」かなり広範囲な光属性 攻撃魔法だ!
良いけど・・それ・・・っ・・めっちゃっ くっちゃ・・眩しい!
オリクト「ルア!光系は止めてくれ!眩しくて、攻撃が当たらんくなる!」
ルア「え?‥あ・・・うん。ごめんっ!」
光属性は、乱反射して‥炎(火)属性は、無効化や半減して‥氷や水は、吸収され・・闇属性は、無反応・・いや‥無効化されてて、風属性も半減・・。
効果があるのは、衝撃系の雷属性や、岩属性攻撃だけだ。
・・あと、オリクトのハンマーを始めとする、武器攻撃も有効だった。
・・ルアさん、杖で殴ってるの・・・・初めて見たかも。
・・・突き当りで、左右に分かれる道の所まで来た。
オリクト「こりゃあ、どっちだか‥分かるか?」
ルア「…左‥へ・・行きましょう」
オリクト「…大丈夫か? もう夜になるぞ‥」
ルア「夜になったら、今以上に冷え込むし‥もっと狂暴な魔物が出るわ」
左に進んで、道を曲がる頃には・・すでに、町の入口が見えていた。
ルア「王子、ここで休みましょう」
王子「‥あぁ。そうしよう」
「へっくしっ!」・・・・俺です。さっむ・・。
王子「…ユナム、大丈夫か?」
「だ・・大丈夫ですよ‥このくらい」
~ アルボルの町 ~
森の中に在ると言うから、アソオス国の洞窟の先に在ったみたいな『里』を想像してたけど、かなりしっかりした造りの建物が多くて、立派な町だった。
宿屋の人に聞いた話じゃ、元々‥ここ、アルボルの町が、イムベル国の城下町だったんだって。カロケリの森が増えて広がったから、別の場所・・北東に塔のような城を建てて、王族は‥そこへ移動したんだってさ。
ちなみに、元々 王族が住んでた城は…森に飲み込まれたらしく、今は見る影も無いらしい。でも、そこの森を切り開いて、家を建てた 変わり者の薬師 が居るみたいだ。あれ? それって、どこかで聞いたような‥?
ルア「それって、船員が話してなかった?」
王子「アソオスの港町では、イムベルの薬師の作った薬が売ってたな‥」
オリクト「船を守る魔法陣を作ったのも、その人じゃないですかぃ?」
・・けっこう有名な人なのかな? でも町の人達みんな・・「会わない方が良い」とか「気難しいから」と言ってる。
まぁ、用も無いもんな。夕食を食べてる頃には、夜になっていた。
オリクト「‥王子、朝‥ちょっと町へ‥行って来て、良いですかね?」
王子「…ルア、少しなら問題無いか?」
ルア「・・まぁ、少し・・ならねぇ」
よし!ってオリクトは喜んでるけど、儀式を優先させた方が良いんじゃ・・。
ルア「用事 済んだら、すぐ行くからね!」って言葉に、オリクトは 小さくなって「はい」って答えてた。また子供に、何か送るのかな。
翌朝、今日は少し…雪がチラついていた。オリクトは、昨日の夜にも出かけてたけど・・。朝食を王子たちと済ませた頃には、オリクトが戻って来た。
「物凄く早く出かけたんだな・・オリクト」と言う俺に「おうよ!」と返事をした。ルアさんは、予定通りに先へ進める事に喜んでた。
王子「では…来た道を戻り、右の道を進んで城へ行くぞ」
昨日と同じ敵に、苦戦する事 無く・・森を抜ける。森の出口からは、冷っとした空気が 通り抜ける。 鼻が痛い。耳も痛い。
ルア「ユナム、フード被って」と言って、俺の防寒着のフードを被せてくれる。
・・すみません。
王子も、オリクトも・・ルアさんも、みんな被ってる。
王子「本当に、冷えるな‥」
オリクト「こりゃまた、シンドイ ぜ‥」
ルア「あの、目の前に見えるのが…イムベルの塔城よ。あそこまでは、池に近づかないように、気を付けて行きましょう」
城の周囲には4つの大小 様々な池が在る。この光る雪 や 城からの光が射すのか・・かなり不思議な空気感というか、異様な・・雰囲気を感じる。
ルア「幻想的ではあるけど、気を付けないと落ちるわよ・・。深い所もあるし、何より寒いから」
オリクト「でもよルア‥。池は 全部・・凍ってるように見えるんだが?」
ルア「まぁ、表面はね」
王子「すぐ割れてしまうぞ。油断するなよ・・オリクト」
『おまえが、一番 重いんだから』助けれやれないぞ・・って王子・・。口を尖らせて、オリクトが返事している。俺も、滑らないように‥気を付けないとな。
城の入口までは、来れた。
兵士「遥々お越し頂き ありがとうございます。レスカテ王子と聖竜の皆様」
王子が名乗る間もなく…兵士によって、城の扉は開かれた。
兵士「中の者が、ご案内 致します」と中へ入るように促される。
中へ入ると、別の兵士が待っていた。外に居た兵士のマントは白かったが、中の人は、黄色のマントだった。
兵士「王が、待っております。こちらへ」と、案内される。
螺旋 階段を くる くる ぐる ぐる ・・どのくらい歩いたのか・・。
なんだか、 目 が 回 っ て 来た・・。
兵士「皆さま、こちらです」やっと‥階段を抜けたらしい。
大きな扉が、俺たちに気付いたかのように‥内側から、外側へと開かれる。
中へ通されると、なぜか・・アソオス王子が居る。
ルア「…え?」
王子「‥なぜ、あなたが ここに?」アソオス王子は、もう終わってるはずだ。
アソオス「‥驚かせたか?すまん。理由あってな」
理由? あれ? 俺は、周囲を見渡すけど・・王子以外が 居 な い ?
オリクト「‥他の・・」
兵士「王の御前ですぞ!」俺たちは、すぐさま跪いた。
王子「イムベル王よ、申し訳ございません」
王「いや、問題は無い。レスカテ王子よ・・よう参った。この地での儀式が、其方の最後の儀式となるとはのう」
王「…儀式は明日の早朝から、始めてもらおう」
王子「・・早朝・・ですか?」
王「うむ。この国の儀式は、今からでは、過酷な時間帯に始めてしまう事になりかねん。夜の内には準備が整うゆえ、今しばらく休まれよ。大臣‥」
大臣「はっ! では、レスカテ王子 ご一行様には私めが、ご案内差し上げます」そう言うと、俺たちは・・アソオス王子に、何も聞けないまま、大臣に案内された部屋で、待機…となった。
オリクト「‥アソオス王子は、居ましたが‥他の奴らは、どこへ行ったんでしょうね?」
ルア「変よね? バーゼルドは‥もうすでに、儀式の証は集まってるはずよ‥」
王子「何か、理由があるらしいが・・」
「今回の儀式で、アソオス王子のメンバーが出てきたりする・・とか?」
ルア「それも、考えにくいわよ」
王子「何にせよ、明日まで待つしかないな・・」
ルア「一応、町で準備は整えてますから、問題 無いと思います。儀式の内容にも寄りますけれど・・」
オリクト「コロモス国では、王子 おひとりでの参加でしたからね・・」
「王子、あの時の儀式って・・」と俺が聞こうとしたら、ルアさんから止められた。王子・・俺から視線を外してる。
・・・聞いたらダメな理由は、何だろ?
王子「…すまない‥ユナム・・。言いたくないんだ」
「いえ・・良いんです」
オリクト「…城の中は、見ても良いんすかね?」と、廊下に居た兵士に聞いてる。
オリクト「‥良いみたいですぜ? おれぁ、ちょっと見てきますよ」
ルア「炎竜の他人を見つけたら知らせて。私も、話したい事あるのよ・・」
オリクトが返事したかと思った時には・・もう居なかった。
王子「ルア、気になるなら…行ってきて良いぞ。俺は…部屋に居るから」
ルア「…ですが・・」
「ルアさん、俺が残るから。行ってきてください」
・・俺は、アイラに遭遇するのすら、今は嫌だしな・・・。
そんな俺の表情から読み取ったのか・・。
ルア「…分かったわ。じゃ、ユナム・・王子の護衛、よろしくね。王子、行ってきますね」 王子「あぁ」
パタンッ
・・いつもは、オリクトやルアさんが、王子と残る事が多い。俺・・初だ。
王子・・は、あれ?!
『くっ・・』 え? 「王子?!」
風呂場の方へ移動してた王子に、少しホッとしたけど。
・・何か、様子がおかしい。王子?! 声をかけても・・反応が・・。
「王子?! どうしたんですか?!!」
王子「‥ュ・・ユナム・・。ルアたちには・・黙って‥いて・・くれ・・ぅっ」
倒れそうな体を支えた時、違和感がっ! 体が‥冷え切っている?!
「王子 失礼します!」俺は王子を抱き上げ、ベッドまで運ぶ。
鎧は、外して・・剣も外して、ランプの棚と、ベッドの間に置く。
王子「…ユナム、良い・・構うな…」
「ダメですよ!今、俺しか居ないんだし!」
王子・・。冷えてる。なんか、体温が無いみたいな・・・?
俺の防寒着も・・ルアさんの鞄に入ってる。
・・・そうだ!他のベッドの布団を重ねて かけたら・・。
王子「…くっ・・う・・ぅう・・・」なんか、苦しんでる・・どうしたら・・。王子・・俺に出来る事、無いですか?!
王子「‥その内・・治まる…気に・・しなくて・・いい・・・」
「そんな事 言ったって!」気にしますよ・・。
ルアさん・・オリクト!! 早く!戻って来てくれ! 王子がっ!
・・明日の儀式・・・延期して もらわないと・・・。
俺の回復魔法じゃ、ダメだ。 何も 出 来 な い 。
・・ただ、近くで・・王子の手を握るくらいしか・・出来てない。
王子「…う・・リー…リエ‥‥うぅ・・」
・・・婚約者さんの名前だ。
王子が、こんなに苦しんでるのに‥俺、どうしたら良いのか・・・。
「ただいま~」あっ! ルアさん!
「ルアさん!王子がっ!」
俺の顔 と 王子の状態見て、すぐ判断したルアさんが駆け寄ってくる。
ルア「王子! どうされたのですか?!‥ユナム、どういう事‥」
俺は首を振り「ルアさんが出かけた後、すぐに具合悪くして・・」
ルアさんは、王子の額に手を当てる。
ルア「! …なんで・・・こんなに冷たいの?!」
体が冷え切ってる・・。そんな事は、ありえない!
ルア「セルモス・エテルノ‥」と唱えた。普段は使わない魔法だ。
・・・しばらく、様子を見ていたけど・・。オリクトが戻って来ても、王子の体は・・冷えたまま。魔法の効果すら・・無いように思った。
オリクトが、王様や大臣に事情を説明して、儀式を延期にしてもらった。
王子・・・一体、どうしたって言うんだ?! どうしたら・・。
その夜、交代で眠ろうって事になって、俺は一番 最初に寝た。
【コグメーロ港】(コグメーロ=ポルトガル語・茸)
サンゴ礁のような物がキノコの森に見える海岸が特徴の港。倉庫と漁師の家と、こじんまりとしたお店があるくらい。
【カロケリの森】(カロケリ=ギリシア語・夏)
氷で出来た木々の森。冷気や水属性を吸収し、氷の塊や冷気を放つ魔物が多く生息する。途中の別れ道では、左は町へ。右は城へ続いている。夜になると人は 動きが覚束なくなるが、魔物は活発に動き、日中よりも更に狂暴な魔物が起きて来る。
【デルゥ・ガラー】岩属性・補助魔法・上級・全体
岩の壁を敵との間に作り出し、物理的な攻撃を防ぐもの。魔法は通り抜ける。
【シャイン・レイ】光属性・攻撃魔法・上級・全体
光が熱を帯びた状態で、降り注ぐ。炎とは違うが、熱を発生させる効果がある。炎に耐性を持ってる魔物でも、一定の効果はある。しかしカロケリの森では、攻撃と同時にメンバーが眩しさで暗闇状態になる。
【アルボルの町】(アルボル=スペイン語・木)
森の中にある町の1つの木しか生えて無かった所に町を作ったから。かつて この町に城と城下町が栄えていたが、カロケリの森の木々が増える事で、城は崩壊しそうになって、別の場所へ移した。町は、崩壊を免れた為、今も同じ場所にある。城が在った場所には、今は変わり者の薬師が住んでいる。一通りの店と宿屋、ギルドもある。
【イムベル塔城】イムベル国の城。塔のような細長い構造の城。屋根の上部には、旗が揺らめく。塔城の周囲には、大小 様々な池が在り、幻想的な雰囲気を作り出している。
【セルモス・エテルノ】光属性・補助魔法・中級・単体
1人分の範囲だけ、暖かくする光が降り注ぐ魔法。一般的には、治療院で使われる魔法。
次回、王子のピンチを誰が助けてくれるのでしょうか?




