第25章 女王の失脚
タリオとフィロの親子に関わった一連の事件は、賢王の登場により仲間や親子を失う事 無く解決した。
賢王が登場する事態までに発展した、今回のコロモス国の女王と商人と、赤い服の連中の罪。
あ り き た り なのかも知れないが・・・。
兵士長「コロモス国の女王 クエルセリス。希少種 パボ・レアルの組織犯罪の指揮・王権の濫用・禁制資源の密売。これらにより、其方を国家反逆として終身刑とする! 巨木深層牢獄にて、幽閉に処す!」
・・賢王が連れて来た、レスカテ国の騎士団・兵士長が、女王に紙を見せながら、大きな声で罪状を 読み上げた。
女王も魔法が使えるはずだけど、使えてないのは‥見えない魔法の地場によって抑え込まれてるから・・と、ルアさんは言った。
そうしてコロモス国の兵士たちに連行され、連れてかれるのを見ていた。
賢王「…では、我らは国へ戻る‥。そなたは、旅を続けよ」と王子に向き直り告げると、マントを翻し、連れて来た兵士と共に‥まとまる。
すると…王たちの足元に、見慣れない 白い魔法陣 が浮かび上がった・・と思った、次の瞬間にはもう・・・・王も兵士も、消えていた。
え?
俺が、口開けて・・びっくりしてると・・
王子「ユナム…客室へ戻るぞ。話は、そこでしよう」
ハッ 気づいて、頷き・・以前にも使った 部屋へと戻る。
俺らが部屋の中に入ってすぐに、国の兵士から「申し訳ございませんでした。こちら、預かっていた荷物と武具です」って、荷物を返してもらった。
装備を整えて、失ってるものは無いかと確認し、問題無かったようで・・
一息いれる為、テーブルで‥ルアさんの淹れてくれた、お茶を飲む。
王子「俺が儀式に行った後の事を、話してくれるか?‥何が あった?」
俺は、ルアさん・・オリクトと、目を合わせる。
ルア「まず最初は‥ギルドで子供、フィロくんが‥貴重なパボ・レアルの魔石を換金したいという場面に・・遭遇したのです」
そう。あれが無ければ、俺はフィロを助ける為に、すぐ動けたか・・・分からない。見知った子供だった。会話もした。だから・・・。
オリクト「町を散策中に、子供が大通りに出てきたのを‥ユナムが見つけて、駆け出したんで・・俺もルアに、声かけて後を追ったんです」
俺は・・子供が出てきた道を進んで、タリオさんを発見した事。
直後に、赤い服の者からの攻撃を受けた事。その後に・・・オリクトたちが来てくれた事・・と説明していく。
王子「赤服の者達は、女王の私兵だったようだ」
俺は、商人の方が気になっていた。
「あの、商人は・・一体、どこの奴だったんですか?」
ルア「それが…変なのよね・・」
オリクト「変って、何が・・・」
王子「商人の名前はライアー。しかし、本名も出身の国も何も分からなかった。どこから来たのかすら、不明で。しかも・・・」
王子は、言葉を濁す。
ルア「…その人、いつの間にか 消 え て た のよ・・」
「消えたって? 逃げた・・って事では?」
オリクト「‥俺も、見てた訳じゃねーから、本当の所は分からんが…。兵士が言うには、しっかり捕まえてたはずだったのに、煙のように消えたんだとよ」
・・・なんだ? それ・・・。
「魔法か、アイテムでしょうか?」 王子は、首を振る。
王子「消えてしまったのは仕方ないと、父上は‥女王だけを幽閉したのだ」
ルア「でも今回の事で 王 には、多大なご迷惑をお掛けしたのが、辛いわね」
王子「父上としては、女王の不正を正せたから、良かった事なのではと思うがな」
「・・王子は、儀式・・・どうだったんですか?」
俺は、女王の話よりも‥王子の話が 聞きたいと思ったから。
王子「…滞りなく・・」
・・? なんだろ? 言いたくない??
「王子・・。それじゃあ、分かりませんよ。どんな内容だったんですか?」
俺の顔を見る王子は、なんだか・・・嫌そうな顔をして、俺から視線を外す・・。え・・。
オリクト「難問だったとか、1人で戦闘があったとか・・ですかぃ?」
ルア「それとも、前の時みたいに・・過去を突かれたような感じでしたか?」
王子「…うん。・・まぁ、そう・・・だな…」
・・・・・・。
言いたくない みたいだ。
ルア「はい。言いたくないようですので、この話は終わりにしましょう」
その言葉で、詳しく聞けなかったのは‥残念だったが、仕方ないので本筋の話へ戻りたい。つまりは、次の・・儀式の話だ。
オリクト「ついに、最後の儀式へ行けますね」
王子は話題が変わった事にホッとしたのか、少し落ち着いた顔で話始める。
王子「あぁ。次の証を得る為に 必要な儀式、最後の場所・イムベル国だ」
ルア「‥ですが、一旦アソオス国の塔辺りまで、戻らないといけませんね」
「…えっ? なんで・・ですか? えっと トルエノ港からは行けないんですか?!」
ルア「そうなのよ。あの港からは、レスカテ国のロッチャ港とフィエルテ国の港にしか行かないのよ」
王子「塔に戻って、その近くの港からの方が近いのだ。もしくは、レスカテ国に戻って‥」
オリクト「いや、レスカテ国へ戻るのは、証 取ってからにしましょうぜ」
王子が、少し驚いたような顔になった後「そうだな」と言う。
ルアさんは、新女王に‥城の魔法陣を使わせてもらえないか?という交渉へ行った。オリクトは、親子の様子を見に行った。俺は‥どうしようかと思っていたら、兵士が来て・・ギルドの事で聞きたい事があると言われたから、王子に断ってから、兵士について行く。
城1階にある、ギルドへ・・兵士と行く。
まぁ、ホール抜けたら、すぐなんだけどな。
兵士「ユラン、連れて来たぞ」とエルゥ族の受付嬢を呼ぶ。
あの人、ユランって名前なのか・・・。
ユラン「ありがとう ジュングラ。わざわざ、来て頂いて申し訳ありませんね」
どうやら、あの魔石を‥どうすればいいのか迷ってるらしい。そう言われても、俺は‥どうにも出来ないぞ・・。封印 解けるの、ルアさんだし。
「えっと、国の宝みたいなものでしょ? 国に返すって事で良いんじゃ?」
ユラン「それが…そうもいかなくなりまして」
・・・なんか、ギルド長も・・捕まったらしい。マジか・・・。
それで、保管し続けるのも難しくなったからと、今回 関わった者達に‥話を聞いてるらしい。ちなみに、親子は・・というか、タリオさんは「そんな高価なものは、頂けません!」と拒否したらしい。ま、そうだよな・・・。
俺だけで、判断してもな・・と考えて、さっきの兵士に、王子も呼んできてもらう。王子が来て、事情を話す。
王子「‥ルアは、まだ戻らないのか?」と‥さっきの兵士に、新女王の所へ行ったはずだからと、呼んでもらう事になった。
「王子、どうしますか? 俺的には、タリオさんの家が壊されたので、代わりの家か建て直す費用として少しもらえたら、良いような気がしてるんですが」
王子「そうか・・そうだな。それに、父上にも何かしら‥必要かも知れぬ」
ルア「お待たせ致しました」
王子「まずは、保管庫の封印を解いて欲しい」
すぐに、封印が解かれる。
ギルド長は‥この封印をどうにも出来なくて、共謀した事を ” 喋ってた ” せいで、捕まったらしい。
ルア「はい。王子・・」と渡す。
王子「…いや・・私が持つのは・・・」
ルア「何をおっしゃいますやら。賢王に 助力頂いたのだから、当然の報酬ではありませんか! 貰っておきましょう」
・・・王子が、ルアさんの勢いに負けてる・・。
王子「‥では…有難く頂き、賢王に渡す事にする。ルア・・」
軽く返事をして、大事な物を入れる為の箱に、そっと仕舞った。
ユラン「‥・・良かったです」
「ルアさん・・タリオさん達の家、壊れたままでは‥?」俺が、家をどうにかしてあげたいって事を伝えると、きょとんとした顔をして・・。
ルア「あら、言って無かったわね。大丈夫よ。もうオリクトにお金も渡したし。そのお金あれば、家も すぐに見つかるわ」
・・・どうやら、オリクトが出かける時には‥既に、金を持たせてくれてたらしい。ルアさん ありがと・・と言うと、ルアさんは優しく笑って「当たり前でしょ」と言った。あの人たちが、最も被害を受けたんだからって。
「そういや、タリオさんの友人とかって言う奴は?」何って名前だった?
・・・うーーん?
兵士「それなら余罪追及の為に 牢屋に居ます。もちろん、穴は塞ぎました」
・・俺やフィロが通り抜けた話をしたからか、罪人を入れる前に塞いだらしい。ま、そうだよな。
ちなみに、穴の先に在った倉庫は、整理整頓され‥死角が無いようにしたらしい。これで抜け出す事も隠れる事も、容易ではなくなった・・と、兵士は「どうだ!」と言わんばかりの顔をして教えてくれた。
オリクトが戻って来た。 ん? 何か手に・・・武器を持ってる??
オリクト「おや、王子まで・・。丁度良かったです。タリオの親方が、礼にって武器もらいまして」
兵士が 警戒しなかったのかな? そう聞くと・・
オリクト「ぎょっ・・とは されたが、もう知れてるからか素通り出来たぜ」
ほらよっ と、俺‥王子、オリクト、それとルアさんにも・・。
新しい武器だ!やったぜ!!
ルア「有難いわね。ここの品揃えは、なんだかイマイチだったから‥」
ユラン「それは申し訳ありませんでした。前女王による納税制度で大変で、素材も入手困難になっていた為、そこそこの武具しか作れなかったのです」
・・・前の女王のせいで、いろいろ大変だったようだ。
兵士「今の女王が、すぐ納税や関税を緩和してくださり、そのお陰で‥物流が元に戻りましたからね」ジュングラと、呼ばれてた兵士が答えてくれた。
ルア「ぁ・・そうでした、王子」
王子「?‥どうした?」
ルア「城の魔法陣の使用許可が降りました。もう、いつでも行けますが…いつになさいますか?」
王子「そうだな・・ひとまず塔へ行くのだし。皆が良ければ 行くとしよう」
・・・フィロやタリオさんと、少しでも話したかったが・・仕方ない。
王子「…ユナム? 何か、気になる事でもあるのか?」
気にかけてくれたけど、先を急いだ方が いいのは、分かり切ってる。
フィロたちには、またいつか・・会いに来ればいいやって思ったから、王子に「なんでも ないですよ」と言い、ルアさんの案内で向かう。
1階の客室の並ぶ廊下を真っすぐに進んで、階段がある場所を越え、さらに左へと曲がる。少し進んだ先に魔法陣のある部屋に到着する。
ルアさんが、見送りの兵士に「女王陛下にお礼を」と言い、俺たちもお辞儀をして使わせてもらう事への礼をする。ルアさんが魔法陣起動の詠唱を始めると、小さな足音がして・・。
「お兄ちゃんたち!」と、フィロがやってきた。
タリオ「す‥すみません。見送りたいと、城まで来てしまって…」後ろから、やってきて説明する。
フィロ「みなさん…ぼくたちを、助けてくれて ありがとうございました!」
タリオ「家も無事に購入する事が出来ました。ありがとうございます」
オリクト「もしまた、あの商人 見かけたら すぐ、兵士に言うんだぞ!」
ルア「こちらこそ、いろいろ武器を頂いて・・」
「またな!フィロ! タリオさん‥元気で・・」
俺たちの声に言葉に、2人は大きく頷くのが見えた頃には、魔法陣が完成し・・あの、ヘラジの塔へと 戻 っ て い た 。
・・・あっつーー・・
すぐ、塔内部へ移動。着替えの為に部屋を借りて、アソオス国で過ごす為と買ってあった、あの頃の服を、再び着るとは‥思わなかったな・・。
まだ、日が高かったから、港へ向かう事になった。
王子「‥この暑さは・・相変わらず・・」暑いのは、王子も 苦手みたいだ。
ルア「王子、大丈夫ですか? 一晩 休みましょうか?」
王子「‥いや、港へ向かう」
儀式後に、俺たちとフィロたちの事件に、巻き込まれる形で行動してたから・・休んでないんじゃないかな・・。まぁ、それは俺らも・・だけど。
ヘラジの塔を西へ進んで行くと・・途中から、砂漠の砂・・というよりも、海岸にある砂浜の砂へと変化していた。海が近づいてくると、港町が見えてきた。
~ アシード港 ~
到着。ルアさんは、毎度恒例‥船の乗船チケットを買いに行った。
オリクトと俺は、王子と一緒に宿屋へ向かう。
宿屋でルアさんの帰りを待ち、オリクトは 帰って来たルアさんと 入れ替えに、町へと繰り出した。王子は少し休むと言って、ベッドに横になっていたので、俺も港町へ・・ルアさんは、王子の護衛も兼ねて残った。
「じゃ、行ってきます」
【クエルセリス】コロモス国・前女王の名前。国の宝を商人や私兵を使って捕まえ、魔石や宝石等を他国に売っていたという。この為、巨木の地下深くの深層牢獄への幽閉が命じられる。
【白い魔法陣】賢王の魔法の1つ。複数展開する事で、大人数を瞬時に移動出来る。詠唱は特に必要無く、思い描くだけで使える。登場した時も、この魔法陣で1人1つの魔法陣を王が展開し、降って来たように見えた。
【商人ライアー】(ライアー=英語・嘘つき)コロモス女王の私兵の一人。商人姿で、借金に苦しむような者に声をかけ、犯罪に加担させ報酬と称して金銭を渡し、さらに犯罪を重ねさせてる者の主犯格。しかし、その正体は不明で、煙のごとく消えてしまう。
【ユラン】城内ギルドの受付嬢・エルゥ族の女性。
フィロが換金用として持ってきた魔石に、戸惑っていた人。ルアの協力で、安全に保管出来た事に一安心していた。しかし、ギルド長が魔石の存在に気付き、取ろうとして封印魔法に阻まれ、悪態を吐いた内容を友人の兵士に相談した。これにより、ギルド長も捕まった。
【ジュングラ】(ジュングラ=イタリア語・密林) エルゥ族の男性。
コロモス国の兵士。ユランと同年。一般兵。ユランの頼みを断らない。ややユナム・王子に使いっ走りに使われた感もあるが、本人は仕事と思ってるので、全く気にしていない。
【アシード港】アソオス北部の港町
各店・BARが立ち並び、兵士も常駐している港。
次回、アシード港のちイムベル国へ・・




