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Ever Stride ~その先の未来は~  作者: KAMINO


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第19章 懸念

船から「あれがコロモス城よ」と、ルアさんから言われて見る。

 コロモス国の奥の方に、大きな幹の樹がそびえているのが見えた。


深い森の奥に頭ひとつ抜けたような姿の樹でしかなかったから城とは思わず・・

 そんな樹を見ながら、港に到着したようで・・・

~ トルエノこう ~


 俺は、両手を空に向け、声にならない声を上げ、伸びをした。

オリクトやルアさん・・王子も、体を動かしていた。


 船の上から見る分には、すぐそこ・・・ってくらい、近い印象だったけど、どうやら、けっこうぐるっと回らないと行けないそうで・・・。


 港は…漁港でも港町でもなく・・・なんと言うか、ただの桟橋・・・みたいな所でしかなかった。


 その割には、なんか広い広場みたいな場所になっている。俺が首をかしげていると、後ろからルアさんが「国の行事に使われる場所」と教えてくれた。


 コロモス城 周辺は、森が広がっている。

森の中にも、広場みたいに開けた場所は‥あるらしい。


ただ‥そういう場所は、大型の魔物の生息地となってる場合が多く、安全に使うのは難しい。だから、こういう港などの場所で、やる事になってるのだとか。森の国も、なかなかに不便そうだ・・っと思った。


広い場所を抜けると、南へと続く細長い道があり‥両側には海が広がっている。


・・・歩いてて思ったけど、まぁ案の定ってくらい、海側から‥小さい魚の姿で歯だけ異様に大きく鋭いのを見せるけるように向かって来る魔物がっ!


 王子「気を付けろ!ピスキス・トルッペだ!」

両側から、しきりに海面から飛んで来て攻撃してくる!

キリが無いので、ルアさんの保護魔法を盾みたいにして、素早く南下して抜ける。


 少し食いつかれて俺の足は酷い状態だったが、薬‥すぐ飲んだから・・痛みが引いた。傷も治った。


オリクト「最近の薬、味が良くなった気がしねぇか?」

 ルア「確かにそうね。それに、種類が増えた気がするわ」

 俺は、普通の回復薬くらいしか使わないから知らなかったけど、最近は魔力を回復するのも出てるらしい。


 王子「みんな、次へ行けそうか?」と言う王子の声に、みんな片付けて王子の所へ集合だ。


  「城へ行くには・・」と俺は、地図を見る。

さらに南下すると、洞窟と村が在り‥北の峠道を抜ければ・・城へ行くようだ。


 今の所は、森感すらないくらい、草原地帯が広がっていて、心地よい風が吹いている。気温も丁度いい。…これで、魔物が出なければ、もっといいが・・仕方ないよな・・こればっかりは。


 すぐに、峠道に入る事になった。山の途中で夜になったら、野宿だ。

ちなみに…まだ店らしい店に行けてないので、調理器具は‥おあずけ…だ。

まぁ他ので代用出来なくはないんだけど・・・。


なんて事を考えながら、峠道を登っていく。

オリクト「木々で道が見え難いですね‥」

  ルア「さすが、森の国と言われるだけあるわね‥‥」


 けっこう急な道も続く。王子はマントが やたら木の枝に引っかかるようで、そのタイミングで細かい虫系の魔物や、獣系の魔物に攻撃を受ける。


まぁでも、俺たちの敵じゃないって感じで、なんなく俺とオリクトで退しりぞける。

…王子は、しばらくマントをルアさんに預け、山道を歩く事にした。


 「マント姿に見慣れてたので、無いのは‥なかなか慣れませんね」と、俺が呟くと・・王子も、振り返って「自分もだ」と言ってて、少し笑った。


 少し開けた場所に着く。どうやら休憩地点のようだ。


 ルア「ここで、少し休みましょう」と食事や水を出してくれる。

どこで準備してたんだろ?って思った。四角い木の箱に、薄切りのパンと薄い肉の焼いたものとかが挟んであったものを食べる。


オリクト「ルア、これ美味いな!」と喜んでた。

 オリクトの肉の方が…ぶ厚い気がする・・・・・。

俺も、あれくらい食いたい。


 ルア「王子、このまま進むとロンフルモンざんの途中で、夜になりそうです。ここの夜には・・あの‥」


 地図を広げて、道順を確認していたルアさんは、やはり夜になりそうだと言う。このまま少しでも早く辿り着きたいなら、進む以外無いけど・・・。


王子「少しでも進みたい。みなは‥どうだ?」

王子が行くなら、当然 行きますよ!と、俺も含めて みんなで言う。


王子は やや驚いた顔をしてすぐ立ち上がり、少し微笑み「行くぞ」と言った。


 ‥今の所・・・夢で見た場所では無いって事だけ、分かった。

会うとしても、気を付けないと・・。


 峠道は、入口付近よりも更に、急斜面になっていって‥ふぅ・・道が在るようには見えない場所を、木々の枝に掴まりながら、登っていく。


 ・・ルアさん、王子、オリクト、俺の順で進む。


 オリクトが3番めに居るのは、ルアさんや王子が、落下するのを防ぐためだ。ホント‥強靭な体が羨ましいよ・・。まぁ俺は・・若いからっ・・・って事で、殿しんがりな訳で‥きっつぅ・・・・はぁ‥


急な所を抜け、平坦な道が続く。

 あんな急な所ばかりじゃ、体力が持たない‥って思ってたから、助かった。


平坦な所では、獣系の魔物が群れで襲ってきたりもする。

‥疲れてるからと、座り込んでもいられない・・。


都度、休憩をはさみながら‥長い坂を登っていた。

本当にもう、しんどい・・・。


ルア「ユナム‥もう少しだから、がんばって!」と上の方から声がする。


・・・がんばってますよ~・・と、疲れた声を出す俺。

王子の白い鎧が見えた‥と思った瞬間、体がガクッと横に倒れる感じがした!


 ・・え?・・・・・やべっ!


思った時には崖を、落下していた!


オリクトがジャンプして、俺を捕まえようとするけど、落下してる速度が速くて、オリクトの手を掴めなかった!


「ぅあぁぁあぉぉおおぉぉぉぉぉぁっ・・・・・」


 情けない声を出し、落下中も‥なんとか、どこかに引っかかれないかと動くのだけど、疲れすぎた体は言う事を聞かず・・・・。


 「ユナム!!」




・・・・ばふんっ

直後、何か布のようなものに乗り、上下に動く。


 な ん だ ?!


「兄ちゃん、大丈夫かい?」

知らない声に呼びかけられるから、声の方を向くと・・・。


 山の崖の所に、大きく光が漏れていて、細身のおじさんが見えた。


・・俺が反応出来ずに居ると、上の方からルアさんと王子が、何やら透明な丸い板のようなものに乗って、降りて来てるのが見える。


オリクトは、崖を降りていたけど・・・。

オリクト「ユナム!無事かぁ~」と、やや遠くから声をかけてくれた。

 「なんとか、大丈夫~」と俺も布に横たわってる状態のまま、答える。


おじさんや、他にも出てきた人達によって、俺は助けられた。

王子「疲れてるようだし、眠っていろ」と言われ、休ませてもらった。



・・・。


なんか、いい匂いする・・・


と思って、目を開けて起きる。

入口に戸は無く、子供が何人か俺の方を覗いていた。


 俺が見ると、きゃあキャア騒いで、どこかへ向かう。


俺は横に用意されていた服に着替えた。着替え終わる頃に、ルアさんが来た。



 ルア「ユナム、調子は‥どう?」

  俺「大丈夫です。もう すっかり元気ですよ」


じゃあ、こっちに来て・・言われるまま、ついて行くと・・・。



 大きな広間みたいな岩の空間に、王子とオリクト、この村?の長老みたいなおじいさんや、さっき居たおじさんなどが居る。


オリクト「よう!ユナム、起きたか!」

 王子の横にルアさん、その隣に俺。オリクトも王子の横・・に座った。


 俺「えっと‥ご心配、おかけして…すみま‥」「それは良い」と王子。

俺が無事だった事、ここの人達に助けてもらった事を喜んでた。


 俺「‥ところで、ここは・・・何ですか?村?」

長老「ここは、ロンフルモン山の地下洞窟にある、ニーゼンの里ですよ」


 どうやら山道には”山賊”ってのが居て、落ち着いて住んでられなくなったから、ここの洞窟を見つけて、ココに移り住んだらしい。


 ルア「生活が、不便では無いのですか?」

 長老「いいえ。問題ありません。崖下には川が流れていますので、水はありますし。里から一歩、外へと出れば食料もありますから」

 「それに、たまに行商人も来てくれるようになったからな」と、さっき助けてくれた おじさんが言った。


 行商人の話になると、どうやら俺が前に、ヘラジの塔の町で遭遇した人と‥似ている風貌だった。まぁ本人かは確認しようが無いけどな・・。


 今日は、ここで休む事になる。こんな、山の洞窟内なのに・・・


 ルア「え?・・・ギルド在るの?!ここ??」と凄く驚いていたが・・それは、俺も同じ。びっくりして固まっていた。


 長老「元々は、森の中に村がありまして。その時の人達のほとんどが、ココに移り住みましたので、その名残ですよ。ほっほっほっ」


 宿も、よろず屋(たいした装備は売って無かったけど)、兵士が使う詰所もあった。兵士詰所には、兵士が居なくて・・なんで、あるんだ?って思ったけど、これもまた・・この山で訓練を行う際に、里の住民の安全を守る為という事で、来る時の場所らしい。


里は、上下に階層があり、下の方へ行くと・・川の音が聞こえてきた。


 ここら辺は下層で、水を使う仕事や風呂場や炊事場などがある。


 中層は、主に住居になってるみたいで、区切られた空間で過ごしてるみたいだ。途中・・見慣れない祭壇があって気になった。


 「何だコレ?」と俺が言って、首を傾げてると‥服を引っ張られる感じがして、下を向くと、小さな女の子が上を見上げてきた。


少女「それは、山と森の神様のさいだんだよ」と教えてくれる。

 俺「へぇ~そうなのか‥」

少年「山と森の神様は、タシターンって言うんだぜ!」と同じくらいの男の子が、得意げに教えてくれた。


 ‥そういや、キニゴスの町の農地の真ん中にも、こういう祭壇が在ったなって思い出した。詳しくは知らないが、確か豊作の神様・・農作? ・・どっちだ?うーーん・・・・戻ったら聞いてみよう。


けっこう、子供が多くて・・王子に、ちょっかい かけそうな子供らと、俺は遊んでやる事にした。追いかけたり、追いかけられたり・・。


 その様子を遠くで見ていたルアさんと王子・・

ルア「ユナム、元気になって良かったですね」

王子が、少し申し訳なさそうに 俺を見ているとは知らず、子供らと遊んだ一日になった。


 宴を開催してくれて、大いに食べ笑い‥日頃の緊張続きな戦いや、儀式の事を一旦忘れて・・楽しんだ。


子供らと はしゃぎ過ぎた俺は、子供らと広間で ぐー ぐー 寝てしまった。




朝。


毎朝恒例なルアさんに起こされた・・・かと思いきや、子供たちに起こされる。


 王子たちと一緒に、朝食を頂き、長老からのススメでギルドに寄る。

なぜ、ここに来たのか?と言うと・・・城門で『通行証』が必要になると言う。‥それを買いに。


ルアさんの買い物が終わると、この里への入口に案内される。

3か所くらい、入れる場所があるらしい。


・・・・俺が落下した、あの場所に布が設置されていたのは、人が落下してくる‥だけじゃなく、いろいろ落ちてくる物などを川に流されないように、集めるためだったらしい。


 俺が落ちた衝撃で、破れなくて良かったと思った。


 長老と おじさんにお礼を言い、俺たちは峠の出口方向の入口から、山へと戻った。一時はどうなる事かと思ったけど、なんとかなりそうで良かった。


 ここからは、わりと広い道だからか‥王子は、マントをつけていた。





 峠を抜ける手前に・・出口辺りから‥誰かが来てるのがわかる。



王子が、警戒態勢を取ったので、俺も気を引き締めた・・・だけど・・。

オリクト「あれは・・もしや・・・」 王子も気づいた。


 アソオス王子たちだ!


 って事は、アイラが居る。あの展開にならないようしたい。

そう思いながら、近づいて行く。




 「今回は、楽勝でしたね」と・・これは、アイラだな。

 「…は、余裕でしたか・・・・‥‥・」あの気持ち悪そうにしてるのが、ベルクさんだ。隣に居るメイドさんが、ステッラさんだよな・・。


「アイラ、油断するなよ・・これから‥」と言いかけた所に、俺たちの姿を見つけたようで、座ってたアソオス王子は、立ち上がる。


 それに気づいて、俺たちの方へ向き直る、炎竜のみなさんたち。


アイラ「なんだぁ、ユナムじゃない」

  俺「よう・・アイラ」


 王子同士や、ルアさんとステッラさん、ヘルトとオリクト、ベルクさんは‥青い顔だったけど、俺も挨拶した。


 挨拶も早々に切り上げ、先を急ぐので・・と、王子が通り過ぎようとする。

アソオス王子や他の皆さんは、そのまま通してくれた。





アイラに「じゃあな」って言おうとした瞬間・・


「苦労知らずの王子のお守りは大変ね」と、くすっと笑いながら‥小さな声で言うアイラに・・・俺は、足を止めた。

【トルエノ(こう)】(トルエノ=スペイン語・雷)

大昔は、ここにも港町が在ったそうだが、いつしか夜になると落雷が多くなり危険と判断された。この為、さらに南の場所に村を作り、残った者たちで移住した。その後、何も無くなった場所に森の中では危険が伴うとして、この港に国の行事を行う場所として整備されたそう。今は名残の桟橋が残されるのみとなっている。


【ピスキス・トルッペ】(ピスキス=ラテン語・魚/トルッペ=ドイツ語・一行)

お魚一行という意味。小さな魚の群れの事。群れ1つで5~10匹ほどの集団で襲い掛かってくる。鋭い歯のせいで、食いつかれるとかなり酷いケガとなる。腕・足・首などに食いついて来るので、小さいからと油断出来ない魔物。


【ロンフルモン(ざん)】(ロンフルモン=フランス語・(いびき))

岩と木々の山。入口付近は岩が多い印象だが、一歩入れば‥そこには、奥に広く森が続いている。時々、崖のように割けてる場所もあるので、注意が必要だ。急斜面を登る必要があり、かなり体力がないと、移動だけで何日もかかる。途中には、休憩出来る安全な場所もあるが・・現在は、夕方~夜にかけて、山賊が出るというウワサがある。ユナムが落下した崖下には、川が流れていて、途中の崖の中に里が存在している。崖から落下するか、正式な入口を知ってる者しか、その存在を知られていない。寒い時期になると、木々を抜ける風の音が凄まじく、山と森の神の(いびき)だと伝わる。


【ニーゼンの里】(ニーゼン=ドイツ語・くしゃみ)

ロンフルモン山の地下洞窟にある里。元々は、山の森の中にあった村が、山賊に襲われるようになってから、この地下洞窟(神のくしゃみで出来たと伝わる場所だった)を食糧庫として使ってた事もあり、こちらに移り住んで来たのが、今の住民たち。一部は洞窟での生活を嫌がり、他所へ行ったそうだ。中層の住宅地の途中に山と森の神の祭壇がある。港へ抜ける峠入口へ続く出入口と、城方面への出入り口、崖下の川横の場所の3か所から入れる。


【山と森の神・タシターン】(タシターン=英語・寡黙(かもく))

穏やかでそこに居るとされる、山と森の神として、どこかに眠っている巨人の魔物という伝承がある。コロモス国の守護神とも言われている。


『山賊』魔物ではなく、他所からやったきた人の集団。峠などを行き来する冒険者や旅人を襲い、食料などを盗む者たちの総称。現在は、元々村のあった場所を根城にしている‥というウワサがある。夜になると活動するので、野宿の際には注意が必要。


【通行証】

特定のギルドでのみ、購入可能の証。今回は ここ ニーゼンの里のみ。もし、ここに来てなければ、あちこちの村に立ち寄っては途方に暮れていただろう。


次回、アイラとのケンカ再び!(苦手な人は、ご注意下さい) その後、城へ向かいます。


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