第14章 雪国 フィエルテ
俺の悪夢から始まった一連の魔物騒動は、死者無しで終わった。
アイラやアソオス王子たちと別れ…再びレスカテ王子の儀式の旅へど・・戻る形となった。
そして、遂に船は・・新たな儀式の地、フィエルテ国に着く!
カイーブ港から、フィエルテ国の港に降り立つ。
海風が気持ちいい・・・寒いけど・・
~ ス リ ート 港 ~
・・・・でも、カイーブ港とは違い、ココは本当に漁港という印象が強い。
倉庫ばかりが並んでいた。
ルア「王子、一応は宿もあるようなので、確認してまいります!」
足早に倉庫の端の入口が明るい所へと駆けていった。
オリクト「もう日が暮れますぜ、宿・・空いてますかね?」
王子「無ければ、野宿するしかないな・・」
・・え? 野宿?!・・いや、俺は良いけど・・・。その為の知識はあるし。
だけど、王子に野宿はと・・・・そんな風に思ってた時にルアさんが戻って来た。
ルア「空いてました!行きましょう王子」
オリクト「良かったですね、王子」
そうだな・・って返してる王子に、俺も荷物持ってついて行く。
部屋は奥の角部屋。相変わらずの4人部屋だ。
王族が泊るって事で、融通利かせてくれたって話だけど・・・
倉庫と同じ広さの中に、港側に食堂。海側に宿屋が併設されてる所だった。
食堂で簡単に食事をして、部屋へと戻る。
食事したい人の長蛇の列を、初めて見た・・
なので、食事が済んだら・・とっとと、部屋に戻る事になったんだ。
部屋に戻って それぞれが王子の所へ集まってきた。ベッドの上に、俺も座る。
王子「では、ここフィエルテ国での儀式に関して話す」
ルア「まずは、儀式がある山へと向かう必要がありますよね?」
オリクト「城が先なんじゃないか?」
・・・・俺、話に・・ついて行けてないんだけど・・・・
王子「落ち着け。ユナムがついて来れてない」
王子が言うと、ルアさんもオリクトも俺を見る。
・・すんません・・ってな顔で申し訳無い 気持ちだ。
正直に言うと、地理とか地名とかって・・あんま覚えてない。
国の名前と、どんな気候か・・・くらいで、儀式についても・・・国ごとに違うって事しか知らないんだ。
王子「ユナム、順番に話す。分からなければ都度、聞いてくれ」
俺「・・はい・・・」
まず・・と、話始める王子。
ここ、フィエルテ国は、雪国だ。
アソオス国とは全く違い、寒いだけでなく・・白い綿毛のような凍った粒より柔らかいものが降り続いてるらしい。
現に今も、窓の外では・・降ってるくらいだ。
『 ゆ き 』と呼ぶらしい。
それはさておき、まずこの港・・スリート港は、倉庫と港、宿(食堂併設)しか無い。装備を整える為にも、途中の町へ寄る。
塔で、ある程度のアイテムなどは補充したものの、あの行商人には会えないし(どこかへ旅立った後だった)・・・装備は、ファルチェ・デリット討伐時に新調したから、それ以上の物は、入手出来なかったんだ。
(塔の上層登ってけば、宝箱から入手するとは聞いてたけど・・儀式の為にも留まれなかったし・・・)
いや・・それより、問題があって・・・・
さっきも言ったけど、ここは雪国。つまり、 寒 い って事!
今までアソオス国に居たから、砂漠越えの時に着た防寒着だけでは、寒くて寒くて・・・。そういった装備を整える為にも、町へ寄るんだとか。
そして、装備を整えたら、城下町の前に・・関所ってのがある。
レスカテ城下町から、他の方面に出るのに門兵が居たけど、あんな感じで城や城下町へ入る人を調べて、許可が出ないと 入 れ な い んだと。
ルア「王子の一行と言う事で、すんなり通れれば良いけどね・・・」
オリクト「王が儀式の時は、偽者グループのせいで、すんなり入れなかったそうだぞ」と軽く笑って言うオリクトに、ルアさんが怒り口調で・・
ルア「オリクト!冗談じゃないわよ!そんなの・・」
ルアさんの怒り具合に、たじろぐオリクト。
2人を見て、王子が大きな溜息を吐く・・・
その声とも言える溜息に、何事も無かったように前を向くふたり。
俺は、その様子が おかしくて、笑うのを我慢していた。
王子「関所を無事に抜けれたら、城下町を抜け、城へ向かう」
オリクト「あれ?・・王子、確か地図では・・山へ直接行けたんじゃなかったですかぃ?」
王子「それは、そうだが・・何か嫌な予感がしててな・・・」
ルア「それは?」
王子は、首を横に振り、今はまだ分からないようだった。
・・・ん?
え・・何?・・・・ルアさんも、オリクトも・・・俺を・・見てる?
あ・・・分かってるかどうかの確認って事・・・・かな?
俺「とにかく、町行って・・関所抜けてから城でしょ? ちゃんとバッチリ理解しましたし、覚えましたよ!」と言ったのだけど・・
王子「理解が早くて助かるよ」
ルア「・・ユナム、あなたの力って悪夢を見るのよね?」
俺「…はい・・そう ですね」
ルア「この先の事、何か見てない?」
俺「いや・・・今の所は、何も」
オリクト「・・ルア、そんなに都合のいい能力じゃないんじゃないか?」
ルア「ふぅ~・・そうね。でもユナム、何か見たら…必ず私たちに報告してよね!」
!・・・・ 俺は一瞬びっくりしたけど「はい」と答えた。
この先でも、”見る”のかは・・分からない。
何がどう関係するかも、分からない。
でも・・・・もう、ひとりで悩まなくて良いんだって事が、凄く 嬉しかった。
早朝に出発する為、早めに眠る。
朝早くに起こされ、眠いと思いながら、朝飯を食堂で食べる。
昨日の晩とは違って、閑散としていた。
漁師は、まだ起きてないのかな?って俺がぼそっと言ったら、食堂のおかみさんが「何言ってんだいっ!みんなは、もっと早くに漁へ行ってるよ」と言われた。
・・マジか・・・・すげー・・・
王子も寒そうだ・・・。
雪道で、やや滑りながら・・なるべく街道のレンガ道を歩いていた。
時々、魔物に襲われたが・・そのバトルのお陰で、暖かくなって・・無事、町へと到着出来た。
・・・・し か し ・・・・
~ マ ラ ル の 町 ~
人が・・・歩いてない・・・・。
寒いから・・だけじゃなく、そもそもお店も開いてない所もあるし、なんだか寂れていた。町の大通りの左側に、ギルドを見つけて入る。
冒険者も少ない印象だ。
部屋の中を見てると、ふいに名前を呼ばれる。
カウンターの所に王子が手招いてる。
ギルドの証を出すように言われ、出すと・・・えっ!?
今まで、ランク4になってたから・・『青』だったのに・・
カウンターに置いた瞬間に『黄』に戻った?!
・・1つ前に戻ってしまった・・・・これは・・一体・・と、俺が愕然とした顔で固まってると、王子が肩を叩く。
王子「なんだ・・知らなかったのか?」
・・何が・・・?・・・
オリクト「ランク3以降のランクアップは、国ごとで試験受けないと機能しないんだぜ」
へ?
・・・・・国・・・ごと・・に、試験・・・
俺「ええぇえーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
・・・俺が叫んだのは、言うまでも・・いや、言ったか・・・
ルア「まぁランクアップは、そこまで重要じゃないわよ」
王子「正直な所ランク3で、事足りるからな・・」
オリクト「ヘラジの塔の上層へ行くとか、特別な場所に入る時は必要だけどな・・」と、みんなが言う。
せっかく、ランク4になったのに・・・・。
王子「・・ユナムだけ、ランク上げの試験を受けるか?」
・・・え?・・
オリクト「必要無いんじゃ・・」
王子「まぁそうだが・・。あんなに、がっかりしてるから・・・」
ルア「ユナム、受けるなら手続きするけど?どうするの?」
・・・みなさんは、しない・・らしい・・・
王子たちが、俺の試験終わるまで待っててくれるって言うけど、待たせるのは、しばらくやめときたいから・・また、儀式終わった後でイイです・・と言って、試験は・・やめといた。
ギルドの人から、城は門を閉ざしている事、城下町の中から、直接山へ行けるルートもあったが、山に住む魔獣の出現により、こちらも通れない。
しかも王国の騎士団が魔獣討伐へ向かってるから、城の門が開いてないのでは?と言っていた。
王子「何にしても、行って確かめるしかないな・・」
まずは、行くって事で確定。オリクトとルアさんは、装備品などを買いにギルドから出る。ギルドに、部屋を用意してもらう。
・・他にも宿はあるらしいけど・・・。
夕方頃、外は雪が吹き荒れていた。ルアさん達、大丈夫かな?
・・・ルアさんの杖の先に保護魔法陣を展開して、それをオリクトが支えてギルドに戻って来た。
どうやら、無事みたい・・・・だけど、オリクトが凍えそうだ・・・。
布団・・普段、かけてないのに、くるまってる。
王子「明日の朝の天気次第で、出発するかを決めるぞ」
吹雪いてる外を見て・・言った。
・・・俺は、また 夢 を 見 て い た ようだった・・・
ここは・・・どこ、だろうか・・・
高い高い塀が空を覆うぐらいの白く高い塀。
・・・関所・・とかって事か?
何があるって言うんだ?・・・・・・
大きな門は、扉が閉じている。
その前に槍片手に持った白い衣装の兵士が立っている。
と、そこへ・・ひとりの少女?のような姿の子供が近づく。
門兵に追い返されたが、門の両脇に花壇と生垣がある。
そこの右側へ、サッと入り・・塀に近づいていく。
子供の背後の視界で見てる感じになって・・・
・・そんな所に入って、どうするんだろう?と思っていると・・・
木々に隠れた状態のヒビがあり、人ひとりが通れそうな穴が開いている。
その奥は、高く伸びた雑草で見通し悪いが、奥に続いてるように見える。
子供(?)は兵士が自分の方を見ないかを確認し・・・穴へ入って行く・・・
子供が入った直後、兵士の向きは そのままで、に や り っと笑った。
・・直後、遠くから・・悲鳴のような声が・・・!!
がばっと勢いよく起きた!直後『ごちっ』と何か硬いものにぶつかる!!
俺「ぃっったぁ・・・」
「いったーーーいっ!」と、ルアさんの声・・え?
どうやら、俺を起こそうとして・・思いっきり・・・ぶつかったようだ。
お互い額を手で抑えて・・・・痛い・・・・・
俺らの大声でオリクトも目覚め、何があったのかと王子に聞いてるのが聞こえる。
王子「ふたりとも、大丈夫か?」
ルア「はい・・リリーフ・ヴォイス」キラキラと光が飛び散り、ルアさんの赤くなった額は治っていった。そして俺も回復してもらう。
ルア「あー・・びっくりしたわ」
・・・俺も。
でも、あの夢・・・なんだったんだ?
・・あの子供、関わる相手・・・なのか?
それとも、壁の穴の方か?・・・と、腕組したまま唸っている俺に、朝飯食べるように言う王子。食事のあと、外は 晴 れ て い た ので出発。
まずは、この先の関所へ。
夢で見た事を、なんだかんだで話そびれていたが・・・ひとまず、街道を西へと進んで行く。
時々戦いながら、休憩もしつつ・・晴れたお陰でよく見える大きな氷の山。
・・その手前に、大きな白い壁・・・。
夢で見た、あの場所は・・やはり、関所だった。
近づくにつれて、その高さを目の当たりにする。
魔法で高くジャンプしても、空を飛べても・・越えられないような高い、高い壁・・・。正面に門がある事を除けば・・・出窓もあるのか分からないような位置に見えるか・・ってぐらいで・・・。
王子「儀式の為に参った。門を開いてくれぬか?」
門兵は王子と、その仲間を見て・・ギルドの証を確認してた。
しかし・・・・門が開かれる様子は・・・無い。
王子「どうした?なぜ、開かれない?」
門兵「申し訳ございません。あなた方が本物かどうか、確認が取れるまで、こちらでお待ち下さい。この関所付近でテントを張るのはご自由に」
と、不敵に笑うだけで・・・なんだよ、こいつ・・・。
ルアさんも、オリクトも王子の説明や儀式の説明をしても・・・・
門兵の動きは変わらないし、態度も変わらない・・・。
説明し疲れて、休憩してる時・・・・。
ふいに、オリクトが小声で王子に何か話してる・・?
オリクト『王子、あそこの木々の間に、穴が開いてるようですぜ・・』
王子『何?・・・確かに、穴のようだな・・奥に繋がってるのか?』
ルア「え・・ちょっと・・行かないわよね?」
・・・ちょっ・・・え?・・それって、今朝の夢の?!
王子『俺が確かめに行ってくる・・おまえ達は、あの兵士の気を引いてくれ』と言う言葉にオリクトたちが頷く!!
俺「王子!待って!!ダメだ!!」
みんなが、俺の方を振り向く・・・
王子の嫌な予感・・って程じゃないけど、俺も嫌な予感がしてる。
あの露骨な穴を通ったら・・・何か・・嫌な事になるんじゃないか?って・・。
俺「話・・聞いてくれますか?」
すぐさま行こうとしていた王子たちは、俺の前に座り直した。
王子「あぁ、聞こう」
【カイーブ港】アソオス国からレスカテ国やフィエルテ国への定期船を運航している港のひとつ。
【スリート港】(スリート=英語・霙)
主に漁港。漁師の家庭が住んで居る。倉庫が4棟ある中の出入り口付近の倉庫を改装して、食堂と宿屋になった。ちなみに、宿屋受付付近に行商人が居る事もあるらしい。
【マラルの町】(マラル=アラビア語・退屈)
あまり発展しなかった町。今は、住んでる人すら城下町へ移住して少なくなっている。ギルドや宿屋(1階にBARがあり2階に宿屋の形)、道具屋などは揃っているが武具は『よろず屋』にしか無い。
【冒険者ギルドランク】※補足
ランクは、1スタート(白)でランクアップの為に試験に合格すれば、1つづつランクが上がる。最高は5(黒)まで。ギルド長などは全員黒カードを持っている。この世界のランクは、1(白)→2(赤)→3(黄色)→4(青)→5(黒)。ただし3までは、どこの国へ行っても基本的に変化しない。しかし、どこかの国でランク4になっても、その国内では4のままだが、他の国は共通のランク3に戻る。4にするには、再び試験を受けなくてはならない。この為、この原則を知らない冒険者はギルドへ出戻る事が多い。
【関所】
霊峰山を守る形で、城と城下町が在り、それらを守るように高い壁で覆われ、関所が設けられたという。
関所内に宿や酒場が併設されているらしいが?
※実はこの関所は、ランク4以上でないと通行が許可されていません。
次回・・王子たちは、無事・・・関所を越え、城へと辿りつけるのだろうか?!




