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団子食べたい  作者: 社容尊悟
1本目

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7/65

殴り合いもできる関係

 壱はパンパンと手を払って、制服を整える。

 冷ややかな目で大親友に苦言を呈す。

「あんまり俺に何かしてくれるなよ。犯罪者になるのは、ごめんだからな」

 手が出てしまうのは、武術を習っているゆえに、か。

 それとも、ただ単にむかっ腹が立ったからなのか。

 壱は自分のことがわからなかった。


 大親友に危害を加えるのも、壱はよしとしない。

 壱の能力的に、単なる喧嘩で終わらないかもしれないのだ。

 この力は暴力を振るうための力じゃない。守るための力だ。

 だから、さっきの仕返しは、壱はちょっとだけ悪いことをしたと思っている。

 遊びじゃすまなくなったら、壱はどうしたらいいかわからないからだ。

 なのに、テルは気にも留めたふうもなく、ケラケラと笑っているばかり。

「悪い悪い。ついやっちまうんだよな」

 壱は眉根を寄せた。


「全く……。お前はいつもそうだよな。そうやって『つい』で片づけて、どんだけ怖い目に遭ってきたと思ってんだよ。下手すりゃ、死んでたかもしれないんだぞ?」

 テルがどれだけ多くの犯罪に巻き込まれてきたか、壱は知っている。

 常人ならトラウマになってもおかしくないのに。

 テルは命が助かったから大丈夫と言っていつまでもこの調子だ。

 ちょっとは反省の色を見せてもいいはずなのに。

 大親友だからこそ、怒っているのだ。彼のポジティブさは危ういから。

「ごめんって」

「反省しろよ?」

「わかったわかった。真面目すぎるんだよ、壱はぁ」

「お前が不真面目すぎるんだよ」


 言い合いながら、壱たちは学校まで歩き出した。

 何でもかんでも適当な彼の性格は、真面目な壱にはちょっと悩みの種だ。

 それでもずっと大親友なのは、壱が優しいからでも彼が適当だからでもない。

 波長が合う、正反対だからやっていけるのだ。

 どちらかが間違った時は、どちらかが正す。

 その関係はいつまでも絶たれることはない。

 壱だって、いつでも正解を選んできたわけじゃない。

 普段怒らないテルに怒鳴られたことだってあるのだ。

 殴り合ったこともある。

 大親友との関係は、これからも続いていくだろう。

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