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団子食べたい  作者: 社容尊悟
2本目

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アイデンティティぶち壊しの刑

『今日は、団子抜きだから』

「殺す気か! せっかく産んだ息子を、殺す気なのか!」

『団子一日食べないくらいで、死んだりしないわよ。人間、そんなヤワじゃないもの』

 壱は地面に平伏した。

 最悪の事態が起きてしまった。

「何だこの親……。人でなしにもほどがある……。俺に団子食わせないなんて、嘘だろ……」

『うふふ、壱は愉快な子に育ってくれて嬉しいわ。私、壱をママ友に自慢するのが楽しくてたまらないのよね。成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗。最高の息子に育ってくれたわ』

「……」


 学校の教師にだけではない。

 実の母にもプレッシャーをかけられる。

 しかも母親に至ってはこうだ。

 品行方正で、性格も良好な優等生を演じ続けてくれと。

 壱から団子を取ったら、何が残るというのだろう。


『でも、この団子中毒、団子マニアから脱却してくれないと、完璧像が壊れちゃうのよね。そこに近所のママ友さんは、いないかしら?』

 壱は周りを見渡す。

 見覚えのある人に、目が留まる。

 壱は汗を大量に流して、言った。

「……えーっと、あの……エコバッグを持ったふさふさの髪の毛の人がいる、かな?」

 この説明だと、誰かはわからないはず。

 だが、母親には隠し通せない。

 重低音を発される。

『団子抜きね』

「ああああああああああああああ!! いやああああああああああ!!」

 鼓膜を突き破るほどの絶叫。

 壱の甲高い叫び声が、近所を震わせた。

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