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『追放された掃除屋の俺、全自動の「洗浄結界」を張ったら聖域が爆誕した。〜ボロボロの女騎士を洗ったら神話級の英雄に覚醒したんだが、俺はただの清掃員なんだが?〜』  作者: 志喜  陽斗
最終章(第7章):宇宙開闢・清掃神話

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100/100

第100話:掃除屋の朝。――次は、どこを磨こうか。

数ヶ月後。辺境の村にある、小さな掃除屋の事務所。朝の柔らかな光が差し込む窓辺で、リトはいつものように雑巾を絞っていた。

 宇宙を揺るがした戦いの痕跡は、もうどこにもない。女神オメガは世界の循環を穏やかに見守り、銀河には新しい生命の鼓動が満ちている。リトの腕から「清掃奥義」の紋章は消えていた。

 特別な力は、もうない。

 けれど、彼の手には、磨けば磨くほど輝きを増す日常が握られている。

「リト様! また一人で始めちゃうんですから。今日は城の回廊を拭く約束でしょう?」

 事務所のドアを開けて入ってきたのは、エプロン姿のエルナだ。後ろからバケツを運ぶアルテミスと、新しい洗剤を手にしたルクレツィアが続く。

「はは、ごめん。つい、朝の光があまりに綺麗だったから」

「言い訳は無用ですわ。さあ、今日のノルマは山積みです。お隣の奥様が『台所の油汚れがひどい』とお困りでしたわよ?」

「宇宙の英雄が台所の油汚れか……。……最高だね」

 リトは笑って、肩に雑巾をかけた。事務所の外に出ると、そこには色鮮やかな世界が広がっていた。人々の話し声。子供たちの足音。風に乗って流れる、誰かの家の夕餉の匂い。それらすべてが、磨き甲斐のある、愛おしい「汚れ」たちのアンサンブル。

 リトはふと足を止め、どこまでも続く青い空を見上げた。そして、傍らに寄り添う三人のヒロインを見渡し、最後に――。

 リトは、こちらを見て笑った。

「なあ。そこ、少し曇ってないか?」

 彼の視線は、物語の外側――この世界に向けられている。

「……手伝ってくれるだろ?」

 そして、宇宙のどこかで。

「キュッ!」

 と、小さく世界が鳴った。

(完)


ここまで読んでくれたあなたへ。

物語は終わります。

でも、汚れは終わりません。

もし明日、少しだけ世界が曇って見えたら――

どうか、思い出してください。

掃除屋は、あなたの隣にいるかもしれません。

「キュッ!」と。

ご愛読、本当にありがとうございました。

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