【物語】からっぽのカラス
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作者名:夏凪ひまり ※必須
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作者プロフィール
関西在住、20代(女性)
日曜日の22時からたまひまらじお!というダブルDJの企画枠をしている。笑い足りてるぅ?
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#夏凪ひまり
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からっぽのカラス
大きな栗の木が立つ丘の上に沢山のカラスが住んでいました。みんな、カァと鳴いては挨拶を交わします。その中で一番若いカラスは、みんなと同じ声で鳴けません。
若いカラスの中でも、みんなのリーダーをしているカラスが言いました。
「おい、下っ端!今日も挨拶無しとはどうゆう事だ!お前も一声鳴いてみろ!」
一番若いカラスはしょうがないので、
「カラッポッ」
と、一声鳴きました。
「ぎゃはははは!みんな聞いたか!カラッポッだとよ!鳩やカッコウでももっとマシな鳴き方するぜぇ!」
みんなそろって一番若いカラスを笑いものにしました。耐えきれなくなった若いカラスは、逃げるように飛び立ちました。
「なんで、僕はみんなと同じように鳴けないんだろう。」
若いカラスは悩みました。
悩んだ末に、周りの鳥達に聞いて回ることにしました。
まず、カラスはスズメに話しかけました。
「ねぇ、スズメさん!どうして君たちはそんなに澄んだ声で鳴けるの?」
スズメは、何も言わず餌をついばむだけでした。
次に、カラスはベランダで日向ぼっこをするインコに話しかけました。
「ねぇ、インコさん……」
「わぁ!カラスだぁっ!」
インコはカラスを見るなり一目散に逃げてゆきました。
しょんぼりしたカラスは、大空に舞い上がり風を切って飛ぶトビに話しかけました。
「ねぇ、トビさん!どうしたらそんなに優雅に鳴けるの?」
「私に気軽に話しかけるんじゃない。」
「わぁっ!」
トビは迷惑そうに、カラスをくちばしと鋭いかぎ爪で追い払い地上へ落としてしまいました。
カラスは落ちながら思いました。
「他の鳥たちは僕のことをみんなと同じカラスとして扱うのに。鳴き声が違う事はそんなにダメな事なのだろうか。」
そう考えると、涙が出てきました。
泣いていたカラスは、自分が落下していることをふと思い出しました。焦って体勢を立て直そうとしましたが、時すでに遅し。
どぉんっ!と大きな音を立てて、カラスが落ちた先はフクロウの寝床でした。
「なんだい、こんな朝早くに騒がしいお客様だ。もっと静かに入って来れないものかね。」
フクロウのおじいさんは、眠そうにしながらムクリと身体を起こして眼鏡をかけました。
「あっ、いやっ……どうも。」
逆さまになったまま、カラスはフクロウのおじいさんに挨拶しました。
「最近の若い子の礼儀は分からないよ。それが楽なのかい。変わってるねぇ。お茶でも飲むかい?」
そう言って、ベリーのお茶が差し出されます。
差し出されたお茶は、優しかったおばあちゃんが入れてくれるお茶と同じものでした。
いつも、鳴き声で悩むカラスに大人になったら立派なカラスになれると励ましてくれたおばあちゃん。若いカラスは懐かしさから、わんわんと子供のように泣きだしました。
フクロウのおじいさんは、びっくりです。
「どうしたんだい、お茶が熱かったかい?不味かったかい?あら、なんだ。よく見たらお前、カラスじゃないか!こんなお茶は飲まないのかい?あぁ、悪かったから。泣き止んでおくれ。」
若いカラスは首を横に振りながら泣くばかりでした。
「そうかい、そんなことがあったのかい。」
フクロウのおじいさんは、ふむふむと真剣に若いカラスの話を聞いてくれました。
「君は、君の良いところをまだまだ分かっていないんだよ。鳴き声だけじゃない、君の優しい心を分かってくれるお友達がきっと出来るよ。」
フクロウのおじいさんの言葉はカラスに勇気をくれました。
若いカラスがフクロウのおじいさんと別れて寝床へ帰る途中、一羽の疲れて傷ついたカラスを見つけました。
「どうしたんだい?大丈夫?僕達のお家が近くにあるんだ。そこで休んでよ!」
若いカラスは、傷ついたカラスを自分の寝床に招いて看病しました。
何日も何日も一生懸命。
その姿を見ていた仲間たちは、いつしか若いカラスのことを「空っぽのカラス」と馬鹿にしなくなりました。
ある朝、若いカラスが看病に行くと傷ついていたカラスはすっかり元気になっていました。
「ずっと看病してくださってどうもありがとう。優しいあなたに感動しました。もし良かったら、私をお嫁に貰って頂けないでしょうか。」
空っぽだった若いカラスには、家族が出来ました。今は誰もこのカラスの事を馬鹿にしません。
だからこそ、大きな声で呼びあえます。
「カラッポッカッポ」
と。




