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木々
深い深いところにあるスープよ
一瞬のスパイスで透き通ってしまうのか
さらさらとした波音を晒すのだろうか
けれどもそこには何も見えないのだ
遠くの眼玉の中にあま粒が差し込む
突き刺さる睫毛がすらすらと解けて
こんなにも浅く軽やかなのだろう
深紅のしずくがのったり流れていく
湧き上がる想いを平たんに伸ばして
薄く薄く途切れぬように彼方へ
軽やかに円やかにバニラビーンズは
夜の大空に吸い込まれ消えてしまう
本当と嘘や砂糖と味噌や葛藤と結論や
優しくて強くて寂しくて陽気な孤独を
装ったメガネをかけたボノボたちは
果たして憤りを感じるのだろうか




