20/29
夜のうろこぐも
その音が好きだった
ぶりかえすタイミングは
今だった
今はすぐに過去になった
見上げれば
薄い夜 天に横たわる うろこぐも
気づけたことが不思議だった
転調
調和も不調和も煩わしい
でも逃げる気にはならない
立ち向かうつもりもないけれど
おとなしいのは過去からで
優しいからではなくて
面倒くさいという信念
ねえ、見えるのは明るいから?
苛立ちを揉み消すふりが上手くなった
けれど、代償は何かしらあります
おこがましいが私だって
上から眺めていることは快感です
アイスコーヒーを炭酸で割って誰かの愚痴を飲んだ
見上げたら
薄い夜 天に横たわる うろこぐも
その場所はどのくらい気持ちいいのだろう




