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Incomplet  作者: さゆみ
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靄(もや)


模夜(もや)はここ数日、仕事のことでモヤモヤした気持ちを拭えないでいた。今日はそこにイライラも加わり最悪だった。もう残業なんてやってられない。逃げるように職場をあとにした。さあどこへ行こう。家にはまっすぐ帰りたくない。とりあえず最寄り駅に向かった。誰かに愚痴りたい。模夜は友人のゴリラの亜夢(あむ)にメッセージを送った。亜夢からすぐさま返信が来た。「桃パフェ食べよう」

駅から徒歩七分のそのカフェは、商店街に紛れてひっそりと存在しているので、ぼんやり歩いていると見過ごしてしまう。外観からはよく分からないのだが店内は奥行きがあり、古民家を改装しているらしく、素朴でレトロな雰囲気がとても落ち着く。亜夢は桃パフェを食べながら、ウホウホとただ模夜の話しを聞いてくれた。同情することも意見することもなかったが、話すことで少し靄が晴れてきた。持つべきものはやはりゴリラの友人だと思った。桃パフェは下の方に入っていたシロップがとても甘かったので、模夜は氷で薄まったアイスコーヒーをストローで一気に吸い上げて飲み干した。顔を上げると亜夢が帰ろうかとぽつりと言った。うんと返事をしたつもりがウホと言ってしまった。


今日私たちは初めて笑いあった。




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