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パフェ
夕刻、昨日から降り続く雨で黒光りしている歩道をわたしは歩いている。日が短くなり、雨が降っているせいもあり、辺りはもう暗い。見るからに野暮ったい服装をまとい、体に見合わない小さな傘をさし、わたしは背を丸めて足下を見つめていた。足取りは軽くはない。そりゃ生きていれば、言葉にならない鉛のような感情が胸の中に落ちてしまうことも多々ある。
人は言う。疲れたら休めばいい。
「ああ、面倒くせえな」思わず呟いた。
軽々しく休めばいいと言う奴の気がしれない。
わたしの生き方を決めるのはわたしだ。
腕にぶら下げたスーパーの袋には、生クリーム、チョコレートシロップ、アイスクリーム、バナナなどが入っている。パフェを作るのだ。今、歩みをやめたらアイスクリームが溶けてしまう。
「オゥ!」
ゴリラカフェへようこそ。今夜のおすすめはパフェ各種です。
短編「午前一時五十五分のゴリラカフェ」のマスターが買い出しに行った帰路にて。