七十話 お宝いっぱいなのです!?
カツオサケシャチマグロさんが現れた。
やっつけた。
食べてみた。
長きにわたりはしなかった、戦いに決着がつき、けったいな重さのマグロを手にいれた。
まあ、マグロ大好きなんだけどな!
カツオと間違えたけど!
くふふ。
暫くマグロ食べ放題だ。
城なしでも養殖したいが、捕まえかたも生態も知らんわ。
って、醤油がNEEEEEEEEET!
「そんなことよりお宝なのです!」
「うん? ああ、お宝なら、ラビがマグロにぶつけてたけどね」
「ひええええ!?」
そりゃもう手当たり次第に。
家具やら調度品やら、美術品やら……。
壊滅的な有り様になっている。
「ご、ごめんなさいなのです……」
「謝るこたないさ。どうせ元々朽ちていたしなあ」
「でも、ご主人さまはお宝楽しみにしていたのです!」
あー。
余計なこと言っちゃったか。
本当に落ち込む必要なんてないんだけど。
「ラビ、ご主人さまの腰にあるのはなんだと思う?」
「魔法のウエストポーチなのです?」
「そう。この中に入れておけば大切なモノが朽ち果てるなんて無いよね?」
「はへ?」
“はへ”って……。
間抜けな顔過ぎていとおしいぞ。
うーん。
わっかんなかったかー。
あっ、シノが分かった顔してる。
「ふむふむ、なるほどのう! コレだけ大きな船なら、その道具を所持するのも容易い」
「そう、つまり本当のお宝はこのウエストポーチみたいなマジックアイテムの中にあるはずなのさ」
「はー。じゃあその道具を探すのです!」
「便利よね。私も一つほしいわ……」
よしよし、分かってくれたか。
元気に戻ってくれて良かった良かった。
小型船だと安定性やスピードに欠けるから、マジックアイテムがあっても船を大型化する必要があるんだと読んでる。
まあ、マジックアイテム価値が分からんし、船の方が安かったのかも知らんが──。
「なかなか見付からないのです」
「んー。あると思うんだけどなあ」
貴重品で持ち出しやすいから、倉庫には置かないとか?
盗まれたら困るだろうしなあ。
脱出時に持ち出したとかもあるか。
なんたか不安になってきた。
「あ、大きな箱を見付けたのじゃ!」
「おお、それは期待できそうだ!」
床に固定されているから、貴重品を入れても大丈夫だ。
俺ならこの中に入れる。
だから、入っててお宝ちゃん!
なかったらまたラビがヘコんじゃう!
「開けるぞー!」
「ま、待つのじゃ主さま。カギが掛かっているし、罠があるかも知れないのじゃ」
「カギはともかく、罠は無いんじゃないか?」
持ち主がうっかり掛かる見たいな悲惨な末路になりそう。
「まあ、わぁには解錠も罠発見も心得がある。しばし待つのじゃ」
そう言うことなら任せよう。
なんたってシノは忍者だ。
この位はお手のものだろう。
しかし、鍵あけか。
生前子供の頃に鍵あけカコイイとか思ってやっすい南京錠に針金突っ込んで遊んだっけなあ。
身に付くわけが無かったが。
ガチャリ。
「開いたのか?」
「まだ待つのじゃ。罠が──。いや、なさそうじゃな。あけて良いのじゃ」
「一応俺が開けようか。さあ、開けるぞ!」
頼む入っててくれ!
 
ギィィィ……。
おお。
これは!
「あったぞ! しかも4つもある!」
「お宝いっぱいなのです!?」
「まあ、この道具自体がお宝見たいなモノなのじゃ」
「何が出るのかしらね……」
これは楽しいな。
更に中を見る楽しみがある。
わくわくが二倍だ。
「よーし、一人一つ持ったな? さあ、開けてみようぜ!」
何がでるかなー。
んー。
あー……。
「これ水だわ!」
「わぁのも水なのじゃ」
「私のは食料ね……」
ぱっとしないなあ。
まあ、良く考えたらこれに一番入れたいのは食料と水だわなあ。
ラビがっかりしちゃったかな?
「はー」
「ラビ?」
 
「ご主人さま。見てください。オモチャがいっぱいなのです!」
えーっ。
そんなん入れるんかい。
子供好きすぎるだろう──。
「って、金貨かい!」
「ほー。アタリかのう。宝石や装飾品なんかもはいっているのじゃ」
「ふふっ。見ているだけで不思議と優越感に浸れるわね……」
最後のマジックアイテムにアタリがあって良かったぜ。
これだけあれば色々出来そうだ。
どっちが高く積み上げられるか競ったり。
金貨と銀貨を並べて絵にしても楽しいかも知れない。
ぷちラビもこれなら遊べるな。
「ラビ、みんなで分けるんだぞ?」
「もちろんなのです!」
「この赤い宝石貰ってもいいかしら……?」
「わぁは猫の目の石が欲しいのじゃ」
「ラビはこの透明なのが欲しいのです!」
宝石大人気だなあ。
アクセサリーでおめかししてもいいんだぜ?
しかし、このままでは収集が着かないな。
「ほらほら。分けっこは城なしに戻ってからにしなさい。宝石は割れやすいし傷付きやすいからね」
みんなの楽しみが増えて良かった。
冒険も楽しめたし。
でもまだ何かあるかもしれないから、ここを出るまでは気を引き締めよう。
 




