六十九話 カツオサケシャチマグロさん
フナムシいっぱいいた。
ラビが銃っぽいのを見付けた。
そして、お宝がありそうな所にたどり着いた。
そして、扉の先には強大で脂の乗ってそうなお魚さんがいた。
「魚類の魔物なんてのもいるんかい。いやまあ、それは良いんだが──」
「宙を泳いでいるのです!」
「なんとも奇妙じゃのう」
「納得のいかない空の飛び方をしてくれるわね……」
そうな!
俺はツバーシャの飛び方にも納得がいかないがな!
しかし、空中をまるで水中の様に動き回るコイツは何なんだろう?
「カツオかな?」
「サケなのです!」
「シャチよ……」
「いや、これはマグロなのじゃ」
魚なんて全部一緒に見える。
みんなの意見が別れたな。
それじゃあ、今回の魔物はカツオサケシャチマグロさんとでも呼ぼう。
しかし、困った。
「旨そうだからあまり傷つけずに戦いたい」
「そうね。食べごたえがありそうだわ……」
「串にさして焚き火で丸焼きなのです!」
「丸太を串がわりにして、薪にも丸太が必要なのじゃ」
いやいやいや。
手間が掛かるにも程があるわ!
絶対中まで火が通らないよ!?
ギョロリ……。
あっ、目があった。
魚って何でまぶたが無いんだろう。
などと疑問が沸いてきたので隙ができた。
バビュン!
「超加速!? で、体当たりぐはあ!」
「ご主人さま!?」
やってくれるぜ!
壁に俺の形に穴が開いたわ。
理不尽な瞬発力をしおってからに。
「おー。いてえいてえ。ツバーシャの尻尾の一撃よりも重いわ」
「こんなのに負けるなんて癪だわ。やらなきゃ……」
「やめて穴空いちゃう!」
ツバーシャサイズの穴が船に開いたら大変だ。
このフロアには水がないので今は有利だ。
しかし、穴が空いてカツオサケシャチマグロさんに、水中へと引きずり込まれたら不利になる。
「しかし、どうしたもんか。あんな早さで突っ込んで来る様じゃ手が出せないな」
「元の姿に戻るのもダメ……」
「しかも、後で食べられる様にキレイに倒すのじゃ」
「でもご主人さまなら楽勝なのです!」
根拠皆無な期待が怖い。
ほんとどうするかなー。
いっそのこと、ちょっとぐらい傷がつくのを諦めて受け入れるか。
「じゃあ、主さまに頑張って貰うかのう」
「シノ、何か考えがあるのか?」
「あのマグロは体当りの後に少しの間隙ができる。だから、ご主人さまが囮になって体当たりを受ければいいのじゃ」
「お、おう」
確かにそれならいけそうだが……。
ちょっと俺の丈夫さに慣れて扱いが雑になってないか?
別に君たちが痛い思いをしなくて済むなら構わんけどさ。
「じゃあ、囮になるから後は任せたよ? 頑張ってカツオを倒そう」
「絶対に犠牲は無駄にしないのじゃ。マグロはわぁが仕留める」
「あら? シャチを仕留めるのは私の双剣よ……?」
「ラビもサケをやっつけるの手伝うのです!」
うむ。
士気も協調性も高いな。
しかし、カツオサケシャチマグロさんの呼び名は統一されない。
大事だよな。
譲れないモノがあるってのは──。
ズビュン!
「ぐふっ!」
さあ、突っ込んで来た。
頼むぞー。
「ぬっ、固すぎて通らぬのじゃ」
「どこを叩けば良いのかしら……?」
「えいっ、えいっ、手当たり次第に投げつけるのです」
えー。
全然効いてないじゃ無いですかー!
「主さま。もう一回頼むのじゃ」
「えっ? あっ。うん」
ドビュン!
「かはっ!」
それから──。
「もう一回なのじゃ!」
バビュン!
「けふっ!」
何度も──。
「次は上手くやるわ……」
ズビュン!
「こふっ!」
「投げるのです投げるのです投げるのです……」
体当たりを受けたがダメだった。
もうコレ、別の考えた方が良くない?
君たちのご主人さま、主さまはもう小汚なくなって魚臭くなってるよ?
などと内心愚痴っていると──。
「あっ、止まったのです!」
「ラビが投げた積み荷を包んでいた布が両目に掛かったら大人しくなったのじゃ」
「目の前が暗くなると眠くなるものね……」
待てい!
そんなんでいいんかい。
納得がいかん。
「しかし、ラビ良くやったぞ。後は任せてくれ!」
「はー。褒められたのです!」
動きが止まっちまえばこっちのもんだ。
魚を〆る時の様にエラから背骨を狙って……。
「【放て】」
ビクンっ……。
何とかカツオサケシャチマグロさんを倒す事が出来た。
しかし、まだ戦いは終わっていない。
本当の戦いはこれからだ!
「よーし、じゃあ、少し食ってみて誰が正しいのか確かめようか」
「ぜったいサケなのです!」
「シャチよ……」
「いや、じゃからマグロなのじゃ」
決意に満ちたまなざし。
揺るぎない主張。
しかし、それもこれまでだ。
いまここに雌雄を決する時!
いざ実食して勝負!
あっ、マグロだコレ……。




