表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇鍋なパーティー  作者: 朧 月華
23/30

春は恋の季節、波乱の季節

これはツイッターにて交流させていただいているお優しい方の呟きとお調べになられた知識から発想した物語で、ツイッターで流したものに加筆したものです。

 さて、今日は暦上の春を迎える前日、いわゆる節分である。

 今年もとうとうこの季節がやってきたのだな、と私が妙に他人より万感の気分で以て迎えられるようになったのは、実のところここ最近である。


 それは何故か。


なにを隠そう、ここ数年、私は妙な節分の迎え方を友人と共に迎えているからである。


 事の始まりは私が高校2年の1月まで遡らなければならないのだが、この際細かい説明は省略するとして、とにかくその年の始まり、私のクラスに一人の転校生が転入してきたのである。

 転入生は親の都合で東に下ってきたせいか、その転入生は最初の方はクラスの皆と、文化と言葉と嗜好の違いから若干の隔たりがあった。

 特にそれを決定づけたのは、そう、節分での彼の行動である。


 どうやら彼の生まれ育ったその地区では、普段と異なる格好でその日一日を過ごすことにより「鬼」や「災い」を追い払ったり、やり過ごすという風習が残っていたらしく、彼は律儀にも普段とは異なる格好、つまりは女子生徒として学校に登校してきたのである。


 当然のことながら彼はそのことで苛められ、笑われたのだが私は逆に大変愉快に思い、彼に手持ちの化粧品でもっと女の子らしく変身させてあげたのである。

 そんな私に彼は甚く感謝したのだが、先生には苛めだと咎められたが、はて、何故そんなにも大人の杓子定規でものを図るのか、皆目見当がつかなかった当時の私は、転校生である彼の制服を鞄から無断で漁り、その場で着替え、その姿で一日を過ごしたのである。


 結果、私と彼は学校内で自然と孤立化しいて行ったのだが、世の中には同性愛者というべき人種がいたことが彼にとってはたった一つの災難であっただろう。

 が、私が空手を習っていたことと、彼本人が防衛本能に優れていたことにより、高校時代は何とか平穏に終えることが出来たのは、不幸中の幸いであろう。


 で、その時から私と彼は無二の友人となったわけなのだが。

 うむ。なんというべきか。

 乙女心は繊細なのである。


 年々彼はその日が来るたび美しく変化を遂げるのだが、遂に今年は巷に溢れかえっている女性雑誌にて「街で見つけた美人女性」特集で写真付きで掲載されてしまったのである。

 私は軽くそれに殺意を抱いてしまったのだ。


 だからというわけではないが。


 当然、彼を男性と知るその手の人間達は、彼を自分のものにしようと本格的に動き出したのだが。


「おい、笑ってないで助けろよ!!」


「え?やだな、笑ってなんかないさ。こんな時に笑う奴の気がしれないよ」


 わが友人殿が見目麗しき美丈夫達に囲まれているのを少し離れたところから見守る私はきっと、友達甲斐がない奴だと思われるだろうが、そこはほら、私はか弱き女性である。


 幾ら武道を嗜んでいるからとて、数人相手では勝てない。


 だから。


「(ああ、なんて哀れな奴...。せめて凡庸であったなら…、いや、無理か。)」


 そっと涙を拭う振りをしつつ、裏で笑む。


 例年ならばそこで友人が逆切れして、一人でオトコ達を屠るのだが、まァ、確かに今年も何とか追い払ったのは追い払ったのだが。


 ...なぜにこんな展開に?


 私は今、美女に変化している友人殿に、彼の家の(実家である。一人暮らしではないので、生家である)リビングのふわふわなラグの上に押し倒されている。

 常にない展開にらしくないほど狼狽える私に友人は


「笑ってると、お前も襲われるぞ? 俺に」


 と、意地悪くニタリと笑み、例年通り友人との付き合いで男装していた私の来ていたハイネックの首元をグイッと摺り下げ、かぷりと噛みついたのである。


 と、丁度そこで帰宅してきた友人の家族が


「とうとうやったか、息子よ、でかした!!」

「やっとなのね?やっと千夜子ちゃんが我が家の娘になるのね?」


 やんや、やんやの拍手大喝采になるのは、また別の話である。


 こうして、私と彼の今年の春は一つの波乱に乗じ、迎えることとなったのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ