表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
闇鍋なパーティー  作者: 朧 月華
14/30

恋と友情の狭間~男×男~(幼馴染)

今回、腐の世界ですのでご注意を。

 私立青麗学園高等部。

 その学校は都内にある有数の進学校の中でも一際優秀な生徒が集まる高校だ。

 が、俺、平館ひらだて いおりは、そことは真逆の世間では落高と揶揄されている、いわゆる不良や出来の悪い奴らが通う深山商業高校に通っている。


 当然、そこに通っている俺は遅刻・早退・無断欠席は日常茶飯事だし、眼つきだって悪い。身長もそこそこ高く、身体も大きい事から、迷惑な事にしょっちゅうホンモノの兄ちゃん達に絡まれてくる。

 へたすりゃ、その上のヤバいオッサン達も救援として出張ってくることもある。


 ここで一言断っておくが、俺は平和主義者だ。

 如何に不良じみていて、成績が悪かろうとも俺は平和を愛しているし、寧ろ面倒事は嫌いな方だ。なのに、俺の顔相が、図体がそれを許さない。


 ま、金髪にスカルのピアスやブレスレットなんか色んなモン諸々付けてりゃ訳もないよな。

 これが自業自得ってヤツか?

 

 兎にも角にも、俺の日常は望まぬ喧嘩や因縁で支配されている。

 っと、そんな事を考えてる傍から、俺の目の前でカツアゲ開始。


 ところで。


 おいおい、勇気あるな。俺にゃあ無理だ。アイツらが狙った獲物、そいつは最悪だ。

 俺は奴等の運が悪すぎて泣けてくるぜ。

 今お前らがカツアゲをしようとしている、見た目爽やか系優等生は、外見だけだ。見た目だけだ。(命に関る事だから二回忠告したぞ?ただし、心の中でな。)

 俺はそれを良く知っている。

 知っているからこそあまり関り合いたくない。関り合いたくないのに、それをアイツは許さない。


「――庵、まさか無視しないよね?仮にも幼馴染なのに。」


 おれのへいわ、ドコイッタ・・・。


 こそりこそりと、デカイ図体を出来るだけ小さくして気配を消していたというのに、ヤツは見逃してくれるような聖人ではなかった。


 にこにこと爽やかな笑顔が今は黒く見える。

 いや、黒いなんて生易しいもんじゃねぇか。

 どす黒いって言った方が表現としては正しいのか?え?そこに更に血塗れを付け加えりゃ完璧じゃないかって?


「――庵?僕を無視するなんて随分偉くなったね?」


 ひやりッ。とした声に危機感が募る。


 どうやら、俺の(凶悪な)幼馴染殿は、俺が無視しているのだと勘違いをしたらしい。

 その苛立ちからくる笑顔を油断したのだと見誤った奴等は。


 うん、まぁ、結果は言わなくとも解ると思うが一応。

 三人に囲まれていたはずの幼馴染の足下には、気絶した人相な悪そうな奴らが三人ばかり倒れている。

 こうなってしまっては仕方ない。


 俺は諦めて幼馴染に歩み寄り、毎度幼馴染から手渡される手袋を着け、不良崩れの莫迦で哀れな奴らの身体を弄りまわし、財布とスマホ(俺はまだ買い換えてないから普通の携帯だ。)を取り出し、情けなく伸びてる奴らを写し、友人のカテゴリーに分類されてる人物に一斉送信してやった。


 仕上げに財布から金を抜き取って、幼馴染の真部まなべ 遥翔はるとに渡せば、遥翔は機嫌が良さそうに、ニッと悪どい笑みで笑った。


 因みに俺のここまでの行動はおよそ1分も掛かってない手慣れた早業だ。


「流石だね、庵。」


 褒めてあげるよ、というひじょうに優しげな声が耳の近くから聞こえてくる。


 だから嫌だったんだよ。


 遥翔コイツは、女にモテルくせに、女に興味がない。

 いや、興味がないというよりは、女という存在を認識しようとしない。それなら男が好意の対象になるのかと、まだ小さかった頃に、試しに聞いた俺は真正の馬鹿だった。間抜けだった。


 あの頃の遥翔は、周囲の大人や親族が望むイイ子を演じていた。

 その裏で、自分の様な子供に騙されてる大人を冷ややかな瞳でいつも見ていて、俺はそんな遥翔に興味を持ったのだ。


 その日、俺は母親が遥翔の家の住み込みの家政婦の仕事に応募した事から、家庭の事情で幼稚園にも保育園にも行く金がなかった俺は、母親と一緒に遥翔の家に行き、母親が面接を受けている間に待たされている部屋で、俺は遥翔と初めて逢った。


 想像してみて欲しい。

 子供を幼稚園にも通わせることのできない家庭の子供が、金持ちの家庭の子にあったらどうなるか。

 答えは簡単だ。

 俺は奴に家族を馬鹿にされ、泣きながら殴った。


 家族を馬鹿にするな、小さい世界しか知らないお前に俺の家族を悪く言う資格などない、と。


 最初は殴られた事でポカンとしていた奴は、徐々に何も映していなかった瞳に怒りを宿し、俺に反撃してきて、お互いがボロボロになるまでの大喧嘩に発展。


 予想以上に派手な喧嘩になり、その騒ぎを聞き付け、駆けつけてきた大人たちによって、その日の俺と遥翔の喧嘩は引き分けで終わった。

 勿論、俺の母親はその責任を取る形で不採用になったわけだが・・・。


 グイッと、細身の見かけに反した強い力で、幼馴染に顔を上向けられた俺は、近付いて来るヤツの顔から逃げる事が出来なかった。


 幸い、誰もいなかったから良いものの、俺は自分の甘さに反吐が出そうだった。


 いつか遥翔コイツは自分が嫌悪してならない女と結婚し、子供を作らなきゃならない未来が待っている。

 俺はそれを理解しているのに、それをヤツに強制することが出来ないでいる。


 口では異常だ、こんな関係は変だ、認められないと言って、拒んでおきながら。


「庵、オレを嫌いにならないで。」


 キスとキスの合間に囁かれるヤツの本音。

 その囁く声が俺を求める限り、俺は完全に拒否できないだろう。


 俺は奴の言葉に答える代わりに、一時の禁じられた関係に、今日も堕ちて行く。


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ