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第334話「恒一と悠真」
夜。
拠点の廊下。
恒一と悠真が並んで歩いていた。
特に目的はない。
ただ。
歩いている。
恒一が先に言う。
「白影が北側でも出たそうだ」
静かな声。
悠真が頷く。
「聞いた」
短く。
しばらく沈黙。
恒一が続ける。
「怖いか」
短く聞く。
悠真は少し考える。
「怖い」
正直に答える。
恒一が頷く。
「俺もだ」
静かに言う。
「でも怖いまま動ける」
続ける。
「それで十分だ」
悠真は恒一を見る。
祖父は変わらない。
騒がない。
諦めない。
ただ。
今日もここにいる。
「ありがとう」
悠真が小さく言う。
恒一が少し笑う。
「礼はいらん」
短く。
「飯でも食え」
二人は配給区画へ向かう。
廊下に灯りが続いていた。
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