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第292話「子どもたちの仕事」
昼前。
避難区画。
子どもたちが集まっていた。
雪かき。
毛布運び。
水汲み。
大人ほどではない。
でも。
皆。
役割を持っている。
その時。
小さな男の子が毛布の山を抱える。
重い。
前が見えない。
ふらつく。
そして。
転ぶ。
毛布が散らばる。
周囲の子どもたちが慌てる。
その時。
美月が駆け寄る。
しゃがむ。
「大丈夫?」
優しい声。
男の子は少し悔しそうだった。
泣かない。
でも。
悔しい。
そんな顔だった。
美月は笑う。
「いっぱい運ぼうとしたね」
静かな声。
男の子が頷く。
「役に立ちたい」
小さい声。
美月は少し驚く。
そして。
ゆっくり頷いた。
「もう役に立ってるよ」
短く。
男の子は止まる。
そして。
少し笑った。
その時。
周囲の子どもたちも笑う。
遠く。
影が近づいている。
だが。
この笑顔も確かに存在していた。
北海道は。
まだ生きていた。
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