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第280話「配給所の笑顔」
昼前。
配給区画。
湯気。
白い灯り。
温かいスープ。
人々が並んでいる。
いつも通り。
そう見えた。
その時。
小さな女の子が器を持つ。
重い。
少しふらつく。
美月が支える。
「大丈夫?」
優しい声。
女の子が頷く。
「うん」
短く。
そして。
少し考える。
やがて聞く。
「お姉ちゃん」
美月が見る。
「影って怖い?」
小さい声。
周囲が少し静かになる。
美月は考える。
少しだけ。
そして。
しゃがむ。
目線を合わせる。
「怖いよ」
正直に言う。
女の子が止まる。
だが。
美月は続けた。
「でもね」
静かな声。
「みんながいるから大丈夫」
短く。
女の子が周囲を見る。
老人。
補修班。
配給班。
ぴーちゃん。
たくさんいた。
そして。
少し笑う。
その笑顔に。
周囲も少しだけ笑う。
大きな希望ではない。
英雄でもない。
でも。
こういうものが。
北海道を支えていた。
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