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第278話「残すために」
夜。
配給区画。
灯り。
白い。
温かいスープ。
湯気。
人々が座っている。
静かだった。
だが。
誰も一人ではなかった。
それが大きかった。
その時。
ぴーちゃんが子どもへ毛布を掛ける。
眠そうだった。
小さく欠伸をする。
少し笑う。
ぴーちゃんも少し笑う。
その光景を。
美月が見ていた。
静かな時間。
その時。
遠く。
カァン。
鐘。
一回。
長い音。
皆が少し止まる。
でも。
すぐに戻る。
食べる。
話す。
笑う。
怖い。
でも。
生活は続く。
その時。
恒一がぽつりと言う。
「残れば勝ちだ」
静かな声。
誰かが聞く。
「勝ちですか」
恒一は頷く。
小さく。
「生き残れば次がある」
短く。
「それが大事だ」
沈黙。
だが。
その言葉は残った。
外。
北。
影は近づく。
侵食もある。
でも。
この灯りもある。
この笑い声もある。
だから。
北海道はまだ終わらない。
長い夜の中でも。
人は生活を続けていた。
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