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脱出

 新手が来たか?

 それにしても俺の攻撃を簡単に受け止めるなんて何者だ?


「ローラン・レリアーナがなぜここに…………?」


 助けられたはずのランズベルクは恐怖していた。


 その表情から、この女騎士がランズベルクの味方でないと判断できるが、俺の味方ってわけでもない。


「ブラックさん」というアステルの声で俺は周囲を確認する。


 するとこの女騎士の仲間と思われる一団が次々に魔物を討伐し、生き残った観客の手当てと捕縛をしていた。


「まさか、こんなところであのフーリー・タイガーズと会うとはな」


 女騎士は冷静に俺を見る。

 この落ち着いた感じからすると実力に自信があるようだ。


 そして、その自信は正しいだろう。

 戦って負ける気はないが、簡単に勝てるとも思えない。


 女騎士には全く隙が無かった。


「だとしたら、どうする? 俺を捕まえるか?」


 俺が構えると女騎士もランスを構えた。


 しかし、すぐに剣を降ろして「やめておく」と言う。


「あなたと戦うは想定外だ。それにあなたが警備の兵を倒したおかげで私たちは簡単にここまで来れた。そのことに関して感謝している。そして、私が受けた命令はこの悪趣味な集まりの主催者と参加者の捕縛だ。だから、お互いに会わなかったことにした方が賢明じゃないか?」


 女騎士からの提案に俺は「そうだな」と返答した。


 後のことは知らない。


 この悪趣味な闘技場のことはこの女騎士たちに任せて、俺たちはこの場から立ち去った。


「悪いな。お前を酷い目に遭わせた奴を見逃した」


「ううん、あんな奴、どうでもいいよ。それよりなんで私たち、まだ屋敷の中にいるの?」


 地下から抜け出した俺たちはまだ屋敷内にいた。


「そんな恰好で街に出たら、目を引くからな。何か着るものが必要だ」


 こういう時、盗賊の感覚が役に立つ。


 俺は使用人の服が収納されている部屋を見つけた。


 アステルに着替えるように指示をして、俺自身も服を着直す。


 今の服は返り血塗れだ。


 アステルは俺が脱ぎ捨てた返り血のべっとりと付いた服をジッと見ていた。


「俺のことが怖いか?」


「怖くない…………って、言ったら、嘘になる。でも、やっぱり私はあなたに惹かれる」


「そうか」


「……あのね、ブラックさん、私、あの貴族にみっともなく命乞いをしたの。体を差し出すようなことや媚びるようなことも言った。そんな私を軽蔑する?」


 アステルは言わなくても良いことをわざわざ言う。

 俺には隠し事をしたくない、ということだろうか?


「着替え、終わったか?」


「う、うん」


「じゃあ、早く出るぞ。だけど、その前に……」


 俺は服を着たアステルの手を引っ張って、いくつかの部屋を物色した。


「ブラックさん、どうしたの?」


「今後のことを考えると必要な物があるんだよ。……この部屋だな」


 俺はランズベルクの自画像がある部屋に入った。


 そして、その自画像を退かすと金庫の扉が現れる。

 俺は素早く金庫を開けた。

 そして、空間魔法を展開し、金品をその中へ放り込んだ。


「さてとこれでやっと脱出できるな」


「ブラックさん、手慣れ過ぎだよ」


「そりゃ、盗賊だからな」


「でも、どこから脱出するの? あの女騎士の仲間が屋敷を包囲しているんじゃない?」


「心配ない。こっちだ」


 俺はまたアステルの手を引っ張った。


 そして、三階のベランダから外へ出る。


「この後はどうするの」と言うアステルを抱き抱えた。


「もちろん、こうするのさ。風魔法『風足』」


 足に風の魔法を纏い、ゆっくりと浮上する。


「あんまり暴れるなよ」


「う、うん」と言いながら、アステルは俺にギュッとしがみ付いた。


 俺たちは夜の闇に紛れて、ランズベルク伯爵の屋敷から脱出に成功する。


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