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第2話 改革請負人、神舞戦へ!

本編の『みちくさ先生の魔法学園改革記』の10話後から19話に対応しています。

「部長、理事会です!」


 エルザは、書きかけの原稿から顔を上げた。


「……理事会がどうしたの?」


「開かれたそうです!」


「うん。開くことはあると思う」


 部員は少し息を整えた。


「レオン先生のことで、何か決まったらしいです」


 エルザは鉛筆を置いた。


 前号で「これから何をするのか気にしています」と書いたばかりだった。


 気にしていたら、本当に何かあった。


「何が決まったの?」


「それを調べに行こうかと」


「……そうだね」


 


 理事会の部屋には、入れなかった。


 それはそうだと思う。


 廊下に立っていても、会議はもう終わっていた。


「……来るのが遅かったですね」


「早く来ても、扉に耳はつけないでね」


 その後、会議を終えた先生に話を聞くことができた。


 新聞に載せてよい範囲を確かめてから、手帳を開いた。


 聞き慣れない言葉が多く、何度か聞き直した。


 けれど、一つだけは、すぐに分かった。


 ベスト4。


 思わず顔を上げると、先生はもう一度、同じ数字を言った。


     


「ベスト4?」


 帰りに会ったクラウディアも、同じことを聞き返した。


「うん。レオン先生のチームで」


「ずいぶん簡単に言うわね」


「私が決めたんじゃないよ」


「分かってるわよ」


 ピンクの髪を揺らし、クラウディアは手帳をのぞき込んだ。


「神舞戦、出たことある?」


「見る方なら」


「見る方は、負けたら次の試合を見ればいいけどね」


 エルザは少し考えた。


「……出る方は、そうはいかないか」


「そういうこと」


 クラウディアは、別の行を指した。


「あと、去年の準優勝。あいつらが出ないからって、楽になったみたいには書かないでよ」


「強かったんだよね?」


「当時五年で、六年のチームをいくつも倒して決勝まで行ったんだから」


「アレクシス先輩たちは、四年だったけど……」


「あっちがおかしいの」


 即答だった。


 エルザは、そこには何も書かなかった。


     *


 夕方、一面の見出しが決まった。


『改革請負人、真価が問われる!』


 その下に、少し小さく。


『レオン先生、神舞戦ベスト4を目指す』


「……大きく書きすぎかな」


「でも、ベスト4なんですよね?」


「うん」


「じゃあ、大きい話です」


 そう言われると、そんな気がした。


 エルザは見出しを残した。


 レオン先生なら、怒りはしないと思う。


 ただ、感想を聞いたら、また話が長くなるかもしれない。


     



       王立魔法学園新聞 第2号


   発行:王立魔法学園新聞部

   編集責任者:エルザ・フォン・リントナー


   【新聞部取材】


       〘改革請負人、真価が問われる!〙

     『レオン先生、神舞戦ベスト4を目指す』


 新任のレオン・ハーグリーヴス先生の指導について、理事会で話し合いがありました。


 会議の後、先生に教えていただいたところ、少人数での指導を続け、

 その成果を朱雀祭の神舞戦でも確かめることになったそうです。


 目標は、ベスト4。


 しかも、これまで入賞したことのない生徒を集めたチームで挑むとのことでした。


 聞き間違いかと思って、もう一度聞きましたが、やはりベスト4でした。


   ■どんなチームになるのでしょうか?


 神舞戦には、長く練習してきたチームや、上級生の強い選手たちが出場します。

 新しく集まったチームで、その中の四つに残るのは大変そうです。


 前号では「面白い先生」と「変な先生」で評判が分かれていたレオン先生。

 今度は、教え方にも注目が集まりそうです。


 なお、試合の結果だけでなく、生徒がどのように成長したかや、指導の記録も見て判断するそうです。


 新聞部では、選手になる生徒たちにも話を聞いてみたいと思います。

 先生の意気込みと、選手の気持ちが同じかどうかも気になります。


   【神舞戦情報】


 昨年の準優勝チーム、今年は不参加

 優勝争いはどう変わる?


 昨年の神舞戦で準優勝した、現在の六年生を中心とするチームが、

出場停止処分により、今年は参加しないことになりました。


 校内の乱闘騒ぎに関わったことで処分を受けたチームですが、

 神舞戦では今年も有力と見られていました。


   ■五年生中心で、決勝まで


 昨年はアレクシス先輩たちの優勝が大きな話題になりましたが、

 準優勝チームも、当時五年生を中心に、六年生中心のチームを破って決勝へ進んでいます。


 上級生の強い神舞戦で、一学年下のチームが決勝まで勝ち上がったのは、すごいことです。


 今年は最上級生になり、優勝を期待する声もあっただけに、不参加を残念がる人もいそうです。


 有力なチームが一つ出なくなりましたが、それで他の試合が簡単になるわけではなさそうです。


   ■四年生で優勝。改めて考えると、すごい


 昨年、当時四年生のアレクシス先輩たちを中心とするチームは、準決勝で六年生中心の優勝候補と対戦しました。


 激しい試合の末に勝ち、そのまま決勝でも勝利。優勝を果たしています。


 五年生中心で決勝に進むのもすごいのに、四年生中心で優勝してしまったので、

 少し感覚が分からなくなります。


 今年は五年生になった昨年の王者。やはり、優勝予想の一番人気になるのでしょうか。


 また、昨年の決勝トーナメントに進んだカイル先輩たちも気になります。

 今年はさらに上を目指すのでしょうか。


 できれば今回は、喧嘩以外のことで話を聞きたいです。


   【次号予告】


 近づく神舞戦、今年の本命は!?


 昨年の王者か、上級生の意地か。それとも、まだ名前の知られていないチームか。


 次号では、今年の有力チームを紹介する予定です。


 皆さんの優勝予想も募集します。「友達がいるから」でも構いませんが、その場合は、そう書いてください。


 レオン先生のチームについても調べます。先生の名前はよく聞くのですが、選手の名前をまだ全員覚えられていません。


【編集後記】


 神舞戦のことは、クラウディアに教えてもらいました。去年の試合をよく覚えていて、助かりました。


 レオン先生にも感想を聞く予定ですが、先に紙面の残りを伝えておこうと思います。


         新聞部長 エルザ・フォン・リントナー

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