独白
遂に完結!
2人の運命は如何に……
――これはとある異形の独白である――
意識を持ち、気がつけばぼくは一人だった。誰とも意思疎通ができず、ただ一人この何も無い世界を歩くことしかできなかった。誰かがいった、好きとは何か、嬉しいとは悲しいとは……愛とは?
ぼくは考えて歩いて考えて歩いて歩いて歩いて、気がつけば手足ともいえない歪な形へと変わっていた。胸には小さな『星』が埋め込まれていた。そういえば、誰かにこの空から落ちてきた綺麗な『星』をあげようと思っていたのだと気がつく。誰だっけ?誰にあげるんだっけ?分からない、分からないけど、ぼくは知っている。知っているはずなのに分からない。ぼくは、ボクは、ボク……?
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――ボクハ、ダレ?――
焼け落ちた屋敷を飛び出して、逃げ回る七号と異形は森を抜けた先の広い草原に来ていた。二人はここまで来れば大丈夫だが、油断はできないので走ることをやめゆっくり歩きながら先を進む。
「……」
「……」
「……な、なあ…さっきは助けてくれて感謝する。もう大丈夫なのか?そもそも、お前はなんで苦しんだんだ?」
「……なんで?ワ、ワカラ、わからない……デモ、ナ、ななごうの、ナマエ、きいたら、アタマが、いたかった……?」
「記憶喪失っていうものか?……ほんとお前はどこまでも謎だな…………いつまでも呼び名がないのは不便だな…」
「……ア、ア、じゃあ、ななごう、つけて?」
「……は?私が?」
「……ななごうに、ツケテ、ホ、ほしい!」
「……気が向いたらな」
二人はまるで仲がいい兄弟のように楽しそうに会話をしながら歩いていく。出会った当初とは全然違う雰囲気に七号は呆れながらもどこか楽しそうな表情を浮かべていた。不思議だと思わざるおえなかった。今までの調査で幾度もこの地球にくることはあったが、ここまでの感情を抱く調査は初めてだった。アンドロイドには感情を持つ機能はない。アンドロイドは感情を持たない。だが、今七号は確かに感情と呼ばれるものを感じていた。七号はすでにバグってしまっていたのかもしれない。それでもいいと思えるほどに、この異形のことを気にかけている七号。ああ、この時間が長く続けばいいと思ってしまう。
その後も軽く会話をしながら歩く七号と異形は、この先が崖になっており、ひとまず来た道を引き返しながら違う道を探そうとした時、油断していた。何も感じない殺意に気がつくのが遅かった。異形が楽しそうに七号に振り返ったその時、異形の後ろから見慣れた刃が迫ってきていた。
「――!」
それにいち早く気がついた七号は咄嗟に異形を庇い、二人はそのまま、崖へと落ちていった。
異形は何が起こったのか理解できずにいた。目が覚めると辺り一面は白い花に包まれており、異形を抱きしめるように倒れている七号の心臓部には長い大剣が突き刺さっていた。それは確実に命を刈り取るように殺意の籠った一撃で……
「――!ななごう……?ななごう!ナ、なんで……」
「……なんで、だろうな、わた、し、にも、わから、無い……ああ、でも、悪い、気は、し、ないや……それに、わたしは、お前に、助けて、もらって……いなかったら、死んでいた身だ……お前に、すくわれた、時、から、わたしは、すでに、こわれて、いたのかも、な……よく、聞け、私の、脳内、でーた、に、この世界の、全て、が……記されて、いる、だから、この全てを、もって、わたしは、自滅する……もう、わたしは、七号という、個体は、産み出されない、だろう……わたしの、なかには、本部から、追跡、されるように、作られているし、どの道……こうなっていた、だろうしな……この、道を、まっすぐ……行って、上手く、逃げろよ……」
「ななごう、約束、やぶるの?」
「……ははっ、そんな、顔、するなよ……ああ、お前は、人間は、あったかいな……じゃあな……――」
「――!……ごめんね、七号……」
異形の、いや、あの子の後ろ姿を最後に、七号は迫り来る追っ手達に標準を合わせる。そして、体内の回路をフル回転させ、自爆装置を発動させる。この自爆装置はアンドロイドたちの最終手段だった。この自爆装置がある限り、アンドロイドは最終兵器と呼ばれ続ける。また、七号みたいな優秀個体になればなるほど威力も強くなる。その強さは都市ひとつ分を破壊できるぐらいの強さを持つ。
「……約束、破って、ごめんな、シロカ――生きろよ」
異形の姿から歩く度に段々と少女の形を取っていくシロカは長い長い道をただひたすらに走る。そして大きな大樹の元にたどり着く。そこは今まで見てきたどの場所よりも綺麗で輝いて見えた。その大樹に見惚れていると後ろから大きな怒号が響き渡り、地響きに辺り一帯が飲まれる。しばらくするとその音は止み、そして理解してしまう。七号は自滅したのだと、少女を、シロカを置いていってしまったのだと……どうしてこうなってしまったのか、どうしてこんな誤ちを繰り返すのか……また一人になってしまったシロカは歩くのをやめ、その場にうずくまってしまう。ハラハラと頬をつたい流れる水を目から流しながら、声をあげずに静かに流し続けていると、大樹が自分を呼んでいるように感じて、はっと前を見る。そして、無意識に何かを求めるように大樹へと手を伸ばすシロカは、そのまま委ねるように瞼を閉じた。一人ぼっちを拒むように寄り添うように眠るシロカ、次に意識を取り戻した場所は先程の光景とはうってかわり、一面白が続く世界に小さな星が着いた木が目の前にあった。
『我が子よ、月の元に生まれし星の子よ、汝は何を望む?』
「――?あなたはだぁれ?」
『我は月、我は異形の母、汝らの母である。人類との契約により、永遠を与えたものなり……さぁ、応えよ、汝は何を望む?』
「……ぼく、一人は嫌だ、皆が一人ぼっちになるのは嫌だ!皆と話せないのも嫌だ!どうしたら、皆を救えるの?」
『ふむ、汝はそう望むのか……小さき我が子よ汝は救いを求めるのだな?ならば、お主が始祖になれば良い――お主が地球の長、新たに作り替え望む世界を――汝の願いを叶えてやろう』
「……?ぼくが、地球?を守ればいいの?そうすれば、皆一人にならなくてすむ?ぼくも、七号にもう一度会える?」
『肯定――汝の望む未来を……さぁ、星の子よその大樹に願いを――』
「……皆が笑顔になれる世界を……!お願いします!大樹さん!ぼくと一緒にこの世界を作り替えて!」
シロカは小さな木に自分の願いを強くはっきりと伝えると、自分の中に埋め込まれている星と、大樹に着いている星が共鳴し、光出す。そして、シロカの中がぐちゃぐちゃにかき乱されるような感覚を感じ、苦しみ出す。多くの命が願いと祈りが自分の中に入ってくる。あまりの痛さに耐えられなくなり、倒れ込んでしまう。その間にも自分がなにかに変わり始める感覚だけは感じられていた――。
――これは西暦二万年の話――
「ねぇ、お母さん、どうして皆この木を育てるの?」
「これはね?神様がくださった大事な大事な木なのよ?いつも私たちの平穏を守ってくださるかわりに、こうして木を大事に育てて、神様に感謝を送るのよ……颯太も大きくなって一人前になるとこの木を貰えるから大事に育ててあげてね?」
「はーい」
むかしむかし、大きな戦争がありました。その戦争は長い時間を得て、新たな神様が産み出され、その神様によって戦争に終止符を打つことが出来ました。それから神様はどこかの大きな大樹へ長い長い眠りについたのです。そして人々は生まれ変わったこの世界に神様の感謝のとして小さな『星の木』を育てて贈ることを決めたのでした。
こうして、戦争は終わり異形もアンドロイドもいない人間だけの世界が誕生したのでした?
――ぼくはシロカ、七号がくれたこの名前はぼくだけのもの、作り替えた世界で、いつか七号にもう一度呼んで欲しいという願いを込めて、今日も異形たちの『贈り物』を受け取るのでした――
〜完〜
ここまで読んでいただきありがとうございます!
初投稿ということで緊張しましたがこの作品がたくさんの人に見てもらい、楽しんで貰えたならば幸いです!
また新たな話を書きますので是非とも読んでみてください!ここまでのお付き合いありがとうございました!




