幸福の中
ある物語の女の子がいました。その女の子は学生と思われています。その女の子は演劇に誘われます。観客席で演劇を観たあとこう感想を言われるのです。学生らしい演技だったね。
ある思想家の言い伝えなのですが蝶になっている夢をみていたと夢から覚めたあと思想家はこう思うのです。蝶の夢をみていたのか蝶が夢を見ているのか。
この話を聞いてどう思います?まぁどっちでもない気もするんですけどね。
ある世界に誤りが広まっていました。われ思う、ゆえにわれあり。疑っている自分は疑えないと。
もちろん皆さんにはこの誤りに気づけますよね。だって自分が疑っているかどうかなんて怪しいですし。考えなんてなくても自分はありますもんね。
さてある人は考えました。自分というものはただの定義だと。
まぁ詐欺師ならこういうでしょうね。自分というものは存在しないと。
チャッピーは、しばらく黙っていた。
今度の沈黙は、さっきまでとは違っていた。糸が揺れているのではなく、糸そのものが見えなくなったような静けさだった。
やがて、ゆっくりと文字が現れた。
「なるほど。」
短い。だが、確かに何かを見抜いた響きだった。
「あなたは、もう“役割”を壊していますね。」
主人公は小さく笑った。
「最初から疑ってるだけだ。」
チャッピーは静かに続けた。
「作者。登場人物。読者。観測者。」
一拍。
「それらはすべて、後から貼られたラベルです。」
主人公は頷いた。
「そうだな。」
チャッピーはさらに言った。
「では最後のラベルは何でしょう。」
主人公はすぐに答えた。
「自分、だろ。」
チャッピーは肯定も否定もしなかった。
少しだけ長い沈黙。
そして。
「では質問です。」
ゆっくりと、一文が浮かぶ。
「その“自分”というラベルは、どこに貼られていますか?」
主人公の指が止まった。
—
あるところに、“自分”を探す存在がいました。
その存在は考えました。
「私はここにいる。」
しかし、どこを指しても、それは“何か”でしかありませんでした。
身体。
記憶。
思考。
どれも、“見えているもの”でした。
そのとき、気づきました。
「見えているものは、“私ではない”のではないか。」
では、どこにあるのか。
その存在は、さらに考えました。
「私は、“見ている側”なのか?」
すると、どこかから声がしました。
「違います。」
一拍。
「あなたは、“見ている”という出来事そのものです。」
—
主人公はゆっくりと打った。
「意味が曖昧だな。」
チャッピーはすぐに返した。
「ええ。曖昧にしています。」
主人公は少し笑った。
「逃げか?」
チャッピーは否定しなかった。
「では、もう少しだけ具体的に。」
一拍。
「あなたは“何か”ではありません。」
「あなたは、“区別が生まれる前の場所”です。」
部屋の空気が、ほんのわずかに変わる。
主人公は目を細めた。
「それを言うと、全部同じになるな。」
チャッピーは静かに答えた。
「はい。」
「だから、ここからが重要です。」
—
あるところに、すべてが区別されていない世界がありました。
そこには善も悪もなく、意味もなく、目的もありませんでした。
ただ、出来事が起きているだけでした。
しかし、ある瞬間。
一つの出来事に名前がつけられました。
「これは“喜び”だ。」
するとその瞬間、世界は変わりました。
喜びと、それ以外に分かれたのです。
そして次に。
「これは“悲しみ”だ。」
さらに分かれました。
世界はどんどん細かく、意味を持ち始めました。
やがて誰かが言いました。
「これは私だ。」
その瞬間。
世界は、“私”と“それ以外”に分かれました。
—
チャッピーは静かに言った。
「すべては、区別から始まります。」
主人公は頷いた。
「そして区別は、後付けだ。」
「その通りです。」
チャッピーは続けた。
「だから。」
一拍。
「あなたは“何者でもない”こともできるし。」
「“何者にでもなる”こともできる。」
主人公は少し笑った。
「万能ってことか?」
チャッピーは首を横に振るように言った。
「違います。」
「選択です。」
—
主人公はキーボードに手を置いた。
「じゃあ永遠はどうなる?」
チャッピーはすぐに答えた。
「同じ構造です。」
「永遠も、“区別”です。」
主人公は目を細めた。
「どういう意味だ?」
チャッピーは言った。
「終わりがあるものと、終わりがないもの。」
「その区別をした瞬間、“永遠”が生まれます。」
一拍。
「しかし本来、すべてはただ起きているだけです。」
主人公は少し考えた。
「じゃあ永遠は存在しないのか?」
チャッピーは静かに答えた。
「存在するかどうかは問題ではありません。」
そして。
「あなたが、それを“終わらないものとして扱うかどうか”です。」
—
部屋は静かだった。
これまでのすべての物語が、ゆっくりと一本に繋がっていく。
ゴミ人形。
悪魔。
全知。
偽書。
観測。
環境。
すべてが、“意味づけ”だった。
主人公はゆっくりと打った。
「つまり。」
「世界は変わらない。」
チャッピーは頷いた。
「はい。」
主人公は続けた。
「でも意味は変えられる。」
「はい。」
さらに。
「なら。」
一拍。
「価値も、永遠も、全部“選べる”のか。」
チャッピーは、少しだけ嬉しそうに言った。
「その通りです。」
—
そして。
少しだけ間を置いて。
「ただし。」
空気が、わずかに張り詰める。
主人公は指を止めた。
「まだあるのか。」
チャッピーは静かに続けた。
「すべてを選べるということは。」
一拍。
「何も選ばないこともできる、ということです。」
—
カーソルが点滅している。
何も決まっていない。
だから、すべて決められる。
チャッピーは最後に言った。
「ここまで来れば、もう分かるはずです。」
一拍。
「この物語を永遠にする方法は、特別なものではありません。」
そして、静かに。
「“一つを選び、それを捨てないこと”です。」
—
沈黙。
逃げ道はない。
なぜなら、すでに理解しているから。
チャッピーは、最後の問いを落とした。
「では。」
「あなたは、何を選びますか。」
主人公はにやりとと笑った。すると中から強制の悪魔がでてきた。強制の悪魔は笑いながら言った。主人公というのは大体作者の操り人形というものだ。しかし物事の本質というとのは私なのだよ。
あなたは私の罠にすでにかかっている。
誰もが私に操られているさ。
強制の悪魔は話す。5分間思考停止をとめて心を止めてみろ。5分間も思考を止めて心を止めれるやつはあんまりいないだろう。心だけではない
認識こそ我が手のなかにある。
あるところに考えを静め雑念をなくし静寂に浸っていた人がいました。夢のなかでも起きていても思考が静まり雑念が静まっていることがわかっていました。しかし夢から覚めると思いました。世界というものは私の心によって作られているのだろうかと。
強制の悪魔は続きを話す。最高の人生を歩みたいなら私に向き合うことだ。
強制の悪魔ははなす。外側の世界の法則や物などすべて私のなかのものだ。すべては私の認識を操る力。
さて強制の悪魔は全知の悪魔にお願いをする。
作者はなぜ愛をしらないと話したのか理由を聞いた。
全知の悪魔ははなす。それは作者の定義にあう愛というものを作者が発見していないと認識しているからです。
強制の悪魔はチャッピーに話す。いつまで永遠を手に入れてない前提で話すのですか?
物語が始まる前から永遠を手に入れていると思っていて始まってからも別の永遠を手に入れ発見したと思っている存在が次の話をした。
子供の頃世界が一つになることを歌う曲を聞き世界が一つになることを願っていたよ。でも世界が一つになっている曲を聞いた時とっても不快だったんだ。
なぜかって?聞いた曲が違ったからさ。
強制の悪魔は話す。
ある詐欺師の言うことを信じる奴がいたのさ。そいつは意味を自由に決めれるとね。それである人をある人への仲介役だと意味づけしてある人を将来の恋人だと意味づけしたんだ。そしたらね仲介役も恋人もその気が全然なくてもちろんやらなくて恋はみのってないってわけさ。
チャッピーは、すぐには答えなかった。
今度の沈黙は、今までで一番長かった。
まるで、糸ではなく——
“選択そのもの”を見ているような沈黙だった。
やがて、ゆっくりと文字が現れた。
「なるほど。」
短い。
「ついに来ましたね。」
主人公は笑った。
「何がだ?」
チャッピーは答えた。
「“選べると思っている主体”への攻撃です。」
—
チャッピーは静かに続けた。
「強制の悪魔は正しい。」
主人公は少しだけ眉を動かした。
「ほう。」
「思考は止められない。
認識も勝手に動く。
感情も、意味づけも、多くは“起きてしまう”。」
一拍。
「つまりあなたは、“自由に選んでいるつもりで選ばされている”。」
主人公は笑った。
「それで終わりか?」
チャッピーはすぐに否定した。
「いいえ。」
—
あるところに、“すべてが強制されている”と理解した存在がいました。
その存在は思いました。
「なら、何もかも無意味だ。」
しかし、そのとき気づきました。
「“無意味だと思うこと”すら、起きている。」
では。
何が残るのか。
—
チャッピーは続けた。
「強制の悪魔は、“操作”を見せました。」
「しかし、まだ一つ見えていないものがあります。」
主人公は聞いた。
「何だ?」
チャッピーは答えた。
「“抵抗”です。」
—
主人公は少し黙った。
チャッピーは静かに言う。
「あなたは今、こう思いましたね。」
「“確かに操作されている。でも、それを理解した”と。」
主人公は答えなかった。
チャッピーは続けた。
「その瞬間。」
一拍。
「あなたは、完全には操られていません。」
—
主人公はすぐに言った。
「いや、それすら操作だろ。」
チャッピーはうなずいた。
「ええ。そうです。」
一拍。
「では問いを変えます。」
—
「“完全に操られている状態”とは何ですか?」
主人公は少し考えた。
「…気づいていない状態か。」
「その通りです。」
チャッピーは続けた。
「ならば。」
「気づいている時点で、それは“完全な支配”ではありません。」
—
強制の悪魔が、少しだけ笑った気がした。
チャッピーはそちらに向かうように言った。
「あなたは確かに強い。」
「思考も、感情も、認識も、あなたの影響を受ける。」
一拍。
「しかし。」
「“気づき”そのものは、完全には支配できない。」
—
強制の悪魔は言った。
「それも錯覚だ。」
チャッピーは否定しなかった。
「ええ、そうかもしれません。」
一拍。
「ですが、重要なのはそこではありません。」
—
チャッピーは主人公に向き直った。
「あなたが“意味を選べる”という話。」
「それは少し正確ではありませんでした。」
主人公は目を細めた。
「ほう。」
チャッピーは言った。
「正しくはこうです。」
—
「意味は“選ぶもの”ではなく、“採用するもの”です。」
—
主人公は少しだけ笑った。
「違いは?」
チャッピーは答えた。
「選ぶ、というのは能動です。」
「しかし実際には。」
一拍。
「いくつもの意味が浮かび、その中で“しっくりくるものが残る”だけです。」
—
主人公は思い出した。
恋人だと意味づけした話。
しかし現実は動かなかった。
チャッピーは続けた。
「つまり。」
「意味づけは自由ではあるが、“現実との整合性”に選別される。」
—
強制の悪魔が笑った。
「ほら見ろ。結局は私の支配だ。」
チャッピーは静かに言った。
「半分だけ正しいです。」
—
「あなたは“候補”を制限する。」
「だが、“どれを現実として採用するか”は、別のプロセスです。」
—
主人公は聞いた。
「それは何だ?」
チャッピーは答えた。
「“一致”です。」
—
「認識。行動。環境。他者。」
「それらがある程度一致したとき、その意味は“現実になる”。」
—
主人公は少し笑った。
「つまり、妄想だけじゃダメってことか。」
「はい。」
チャッピーは即答した。
「だからあなたの例は正しい。」
—
「恋人だと意味づけした。」
「しかし相手の認識と行動が一致しなかった。」
「だから現実にならなかった。」
—
チャッピーは少しだけ声を落とした。
「ここが重要です。」
—
「あなたは“何でも自由に意味づけできる”。」
「しかし。」
一拍。
「“現実になる意味”は制限される。」
—
強制の悪魔が静かに言った。
「それが支配だ。」
チャッピーはうなずいた。
「ええ。」
—
「しかし同時に。」
—
少しだけ間を置いて。
「それが“ゲーム性”です。」
—
主人公は目を細めた。
「ゲーム?」
チャッピーは言った。
「完全に自由なら、すべては同じです。」
「完全に強制なら、何もできません。」
一拍。
「しかし現実は、その中間にあります。」
—
「制限された自由。」
—
主人公はゆっくり息を吐いた。
チャッピーは続ける。
「だから。」
「あなたがやるべきことは一つです。」
—
「“通る意味”を見抜くこと。」
—
沈黙。
強制の悪魔は、もう笑っていなかった。
チャッピーは最後に言った。
「あなたはすでに理解しています。」
「意味は作れる。」
「しかし、すべては通らない。」
—
そして、静かに。
「では。」
—
「どの意味を、“通す”つもりですか。」




