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ヴァルハラの地平は遥か底に 〜赤炎纏し青年は世界の端を目指す〜  作者: you-re


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幕間:アリシア・ヨシノ博士による講義「魔兵装<マギア>について」

このお話は設定解説を行うお話になります。

読まなくても本編への影響は全くありませんので、興味のない方は読まなくても問題ありません。

設定を読み漁るのが好きな方、世界観を深く知りたい方、アリシア・ヨシノ博士の出番が見たい方はどうぞお楽しみください。

「……ふう」


「上機嫌ですね、博士」


「勿論だとも! 久々に生を実感しているよ、良い実験材料……もとい、協力者が来てくれたのだからね」


「ほどほどになさってください。長い間待ち続けてようやく生まれたサンプルなのですから」


「それもそうだ、さて————」



「アリシア・ヨシノ博士による楽しいマギア講座〜!」


「どんどんぱふぱふ」


「効果音機能を実装してあげた方が良いかな?」


「良いと思います。どうでも」


「まぁ良いか、今回の講義はマギアについて、だ」


「博士の専門分野ですね」


「そうだとも、このボク、アリシア・ヨシノが発明した魔術兵装……液状化エーテルを取り込み、武器を介してヴァルハラの外でも魔術を使えるようにした新たな人類の武器さ!」


「おー」



「と言っても、ボクにとってこれは未完成品だ」


「というと?」


「使える技術が制限されているからに決まっているだろう! カートリッジを込める、トリガーを引く、空になったカートリッジが排出される! こーんなアナログな機構だけで完成品として呼べるものか!!」


「マギアの開発において機械、いわゆるプログラムを組み込むことは禁止されていますからね」


「気持ちはわかる。私だって先の機械反乱において乗っ取られて奪われた機械制御の兵器を沢山見てきたからね」


「何年まえのことなのでしょう」


「しかし! それはそれ、使える技術があるのなら盛り込みたいのが開発者心というもの」


「では博士はどのようなものが創りたかったのでしょう」


「そりゃあ勿論、まずオーソドックスな魔術、例えばバリアだったり飛行だったりをプログラミングによって誰にでも発動できるようにしてだね」


「ふむふむ」


「状況に応じて変形! 剣にも銃にもなるなんてロマンだろう?」


「なるほどなるほど」


「さらには全身に纏えるアーマー状にして〜、宇宙空間でも活動できるように〜」


「スケールが広がりすぎですよ、そこまでにしておいてください」


「なんだね、聞いてきたのは君だろうに」


「これは講座であって博士の妄想トークではないと思いましたので」



「そうだった。マギアの構造は至って単純だ。素材も旧文明由来の複合材が用いられているから、軽くて硬い、温度の変化にも強い」


「魔術の中には温度を変化させるものも多いですから」


「基本的には武器は魔術を使うための媒介でしかない。魔法の杖や魔導書みたいなものだ。極論魔術だけを使うなら、ヒルダがやったようにエーテルカートリッジだけあれば良い」


「とはいえ戦闘で武器を持たないというのは無防備です」


「そうだね、純粋に魔力を纏わせて破壊力をあげたり、身体強化で膂力を底上げして武器で殴ればある程度戦える」


「少なくとも鉄剣や鉄槍相手なら一方的に叩き折れますね」



「種類もたくさん作った。剣槍斧槌刀に弓や銃」


「遠距離武器はどのように攻撃するのでしょう?」


「銃も弓もエーテルで形作った弾丸を飛ばすよ。だから銃弾のような決まった効果があるわけじゃなくて、時々に応じて貫通力を上げたり、破壊力を上げたり、変わった使い方だと煙幕弾みたいなこともできるね」


「便利そうです」


「まぁエーテルが尽きると何もできなくなっちゃうのは欠点だけれどね。近接武器ほど叩きつけても痛くないし」


「人間であればどちらでも思いっきり叩きつけられたら死ぬと思いますが」



「後は人によっては特注品を作ることもある」


「オーダーメイドってやつですね」


「今ヒルダを使って……じゃなかった、ヒルダが使うように開発しているのもそうだ」


「個人の能力に合わせたマギア、ということですか」


「魔術のタイプによっては普通のマギアじゃ最大限効果を発揮できない事があるからね」


「どういったものがあるのか気になります」


「そこはほら、いつか見れるだろうさ」


「お預けですか」


「そういうこと」



「さて、マギアについてはこんなところかな」


「あ、最後に一つ、気になることが」


「なんだい?」


「何故カートリッジでエーテルを補充しているのでしょう。最初から武器にエーテルをそのまま注入すれば良いのでは?」


「それはね、単純な話さ。油の海に火をつけたら火は全体に燃え広がる。それと同じで、エーテルは魔術によって変質し始めると周囲のエーテルを引き寄せる性質があるから、もし武器にエーテルを満タンに注いでいても、一回の魔術で使い切っちゃうんだよ」


「なるほど……だからカートリッジで使う分だけ取り出しているんですね」


「そうそう、ヴァルハラだと大気中に気体となって混ざっているエーテルを集めて使うから、時間をかければかけるほど規模の魔術が使えるっていうのも、このエーテルの性質に由来しているんだよ」



「さて、それじゃあこれで本当に今回の講義は終わりかな」


「お疲れ様でした」


「もっとも、私にとってはただの息抜きなんだけれどね、ヒルダが待ってる」


「待ってないと思われます」


「そんなことないさ、それでは諸君、ご苦労様」


ESN大賞7応募作品です。

応募期間中はなるべく早く更新頻度を高めて、できる限り書き上げていく予定です!


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